楽しいひとり温泉

温泉+涼しい秘境 トロッコ電車に乗って秘境温泉へ「富山県・名剣温泉」

  • 文・写真 温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト 石井宏子
  • 2018年7月10日

ランプの明かりと渓流の音に癒やされる、名剣温泉の露天風呂

あつーい。なんでしょう。この暑さ。例年になく早い梅雨明けとともに、いきなりの猛暑で、まだ、体が夏の暑さについていけない感じです。こんな時は、夏ならではのすずし~い秘境温泉に脱出したいと思います。秘境といっても、何時間も山登りなどというわけではありません。今回のひとり温泉は、温泉宿までの道のりも涼しくって楽しい。渓谷の風を感じながら、トロッコ電車に乗って行く温泉です。

黒部峡谷トロッコ電車で涼風に吹かれて温泉へ

富山県黒部市の宇奈月駅から乗車するのは黒部峡谷トロッコ電車。黒部峡谷の電源開発のために、建設資材や作業員の輸送に使われていました。絶景の峡谷を走るこの秘境鉄道に乗りたいという一般の人が絶えず、「生命の保証はしない」という前提で便乗させてもらったことからスタートしたそうですから、いかに断崖絶壁の地を走るのかわかりますよね。もちろん、今は観光鉄道として安全第一で運行されていますから、どうぞご安心を。そんなトロッコ電車で、ガタンゴトンと終点の欅平(けやきだいら)駅までおよそ80分。まぶしいほどの緑あふれる峡谷の景色を眺めたり、狭い手掘りのトンネルを通り抜けるスリリングな瞬間にドキドキしたり、心地いい涼風を浴びたりしているうち、あっという間に到着です。

終着駅の欅平から断崖の道を徒歩15分

終着駅の欅平から宿までは、徒歩15分。ゆるやかな上り坂程度ですからスニーカーで十分です。とはいえ、断崖をくりぬいた道を進みますので用意されたヘルメットを着用。これもまた、秘境気分でワクワクです。

切り立った山と深い渓谷が美しい名剣温泉

可愛いお宿が見えてきました。チェックインの時間に合わせて、ほとんどの宿泊客が同じトロッコ電車でやってきます。こよいの秘境のユートピアをご一緒するということで、てくてくと歩いているうち、到着のころにはなんだか連帯感が生まれてきて、ひとりでも寂しさを感じません。

客室は11室で、トイレつきの部屋もある

山の秘湯と思っていたら、山の植物のつるで編んだ照明や山の草花を飾ったインテリアのセンスが良くて可愛い。部屋の窓辺には絶景ビューの特等席がありました。すぐ下を流れる渓流の迫力がすごくて、その水音を聴いていると、体の中の水の流れも良くなっていくようで、すっかり浄化される気分です。

男女別内湯と露天風呂、貸し切り風呂もある

宿の奥手にある名物の露天風呂へは、ワイルドな木の橋を渡って行きます。「ちょっと、怖いかも……」「でも、頑張る」という程よい冒険心をかき立てられるところが、また、ちょうどいい秘境感。

深い渓谷の水音が響く断崖の露天風呂

名剣温泉の少し上流には河原から温泉が噴出する祖母谷地獄(ばばだにじごく)があり、ここから温泉を引いています。単純硫黄泉のつるつるとした感触で、ふんわりやわらかな肌触り。血行が促進されて肌はつやつや。湯は透明ですが、優しく硫黄が香り、小さな湯の花が漂っています。

富山湾の魚は毎日仕入れてトロッコで運ぶ

 

山の中でお刺し身?と驚いた逸品がこれ。「その日ご宿泊の人数分だけ、毎日トロッコで運んでくるから、とっても新鮮な富山のお魚なんですよ」と、仲居さんからお聞きして感激。山の秘境の宿なのに、これだけ丁寧においしいものを出してくださるなんて、すてきです。

山の恵みと海の恵みが共演するお料理

山菜や山野草は宿のおかあさんが山で採ってきて、娘さんがお料理。そして、富山湾といえば、白エビ。熱々で運ばれる天ぷらは、富山の地酒「満寿泉」とよく合います。

デザートも充実でテンションが上がる

アメリカンチェリーにぷるぷるのジュレがのった涼しげなデザートも、もちろん手作り。近くの「くろべ牧場まきばの風」のジェラート、山の水でいれたコーヒーと、最後まで手を抜かない素晴らしい晩餐(ばんさん)。秘境ひとり温泉の幸せな夜はゆっくりと更けていきます。 

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1. 6月から11月までの限定営業
2. トロッコ電車で行くアクセスも楽しい
3. 秘境なのに絶品の料理

富山県黒部市 名剣温泉
http://www.meiken-onsen.com/meikensyousai.htm/

*ひとり宿泊は電話で受け付け(+2000円)

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PROFILE

石井宏子(いしい・ひろこ)

いしいひろこ

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

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