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ドイツ・古城街道 ニュルンベルクにナチスと戦争の爪痕

  • &TRAVEL編集部
  • 2018年7月13日

ホテルの最上階から、ニュルンベルク旧市街を見渡す

〈ドイツ・ロマンチック街道を歩く ローテンブルクから続く〉

ドイツ屈指の観光ルート、ロマンチック街道を訪ねる旅に出た編集部員は、ローテンブルクを後にして次なる目的地、ニュルンベルクに向かいました。ロマンチック街道から少し外れ、ローテンブルクを通るもう一つの観光ルート、古城街道へと踏み込んだことになります。おとぎの国を思わせる人口1万人あまりのローテンブルクとはうって変わり、50万都市のニュルンベルクは歴史の重み、それも、負の歴史を背負った街であることを、随所で感じました。

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マイクロバスから眺めたニュルンベルク中央駅

風格を感じさせる造りのニュルンベルク中央駅にほど近い、マリティム・ホテルへチェックインしたのは、6月16日午後3時すぎ。最上階のデッキから周囲5キロの城壁に囲まれた旧市街を見渡せば、年代を感じさせる赤い屋根やレンガが広がります。2005年に東京のオペラハウス・新国立劇場で見たワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の舞台装置そのままだなあと思い起こしていると、「第2次世界大戦のとき連合軍による空爆で、旧市街の90%は破壊されました」と、現地ガイドの正子シュナイダーさんが教えてくれます。え? まるっきり中世の建物に見えるんですが……。復興がそれだけ厳密になされた、ということでしょう。

ヒトラーが演説したツェッペリントリビューネ

荷物を置き、マイクロバスで向かったのは旧市街から離れた、ニュルンベルク南部。こちらはモダンな新市街地です。見本市会場メッセの脇を通り過ぎ、サッカー1.FCニュルンベルクの本拠地となっている競技場が見えてきました。ただ、目的地はそこではなく、隣の野外集会場、ツェッペリンフェルトです。今は屋外ライブの会場にも使われますが、むしろ、1930年代にナチスの党大会や軍事パレードに使われたことで著名な場所です。ヒトラーが演説をした大演壇跡のツェッペリントリビューネも、そこにありました。中世の趣を残すニュルンベルクは「ドイツ的」な美の象徴とみなされ、ナチスの党大会が毎年開かれるなど、第三帝国のプロパガンダに利用し尽くされた街でもあります。そのシンボルともいえる、夏の日差しに焼けつく広場を、時折風が吹き抜けていきました。

ツェッペリンフェルトの説明板

湖越しに、ナチス党大会のために造られた大会議堂をのぞむ

ツェッペリンフェルトから、隣接する大会議堂跡にマイクロバスで移動します。ナチスの資料館となっているモダンな「ドク・ツェントルム」を車窓から眺めつつ、その横の大会議堂跡の中庭へ。ナチス党大会のために造られた馬蹄(ばてい)形の建物は、古代ローマの闘技場・コロッセオさながら。第三帝国の崩壊で未完のまま残された建物を見ていると、「夏草や兵共(つわものども)がゆめの跡」という松尾芭蕉の句が浮かんできます。

中庭からみた大会議堂跡

中央広場とフラウエン教会

次第に日が傾く中、夕飯前に、旧市街のまん中にある中央広場をちょっと見物しました。仕掛け時計が有名なフラウエン教会に面した広場には、野菜や花、菓子を売る露店がたくさん。観光客の波をかきわけるようにしてバスへ戻り、英語で書かれた日程表を斜め読みすると、「クッキングイベント フランケン料理」とあります。フランケンとは、ニュルンベルクあたりの地方の名前。目の前で作ってくれた郷土料理を試食するのか、とぼんやり思っていると、たどりついたのは「Cookionista(クッキオニスタ)」という料理教室。夕飯は自分で作りましょう、ということでしたか。

料理教室の会場となった「Cookionista」

時差ぼけはますます激しくなり、一日中外を歩き回ってくたびれています。だが、作らないことには夕飯にありつけない。今回の旅でご一緒している旅行会社のみなさん4人と一緒に、女性の先生2人の指導を受けながら、ご当地料理に挑戦です。うっかり「料理は趣味」と漏らしたのが運のつき。先生に「じゃあ手伝って」と助手に指名され、タマネギをみじん切りにしたり、クネーデルというじゃがいもの団子を丸めてみたりと、大忙し。ショイフェレというブタの肩肉料理では、先生に付き従って肉塊を捧げ持ち、うやうやしくオーブンへ挿入。クネーデルをゆでるため大鍋に張った湯に大さじで塩を入れていたら、先生が来て「何杯入れたの?」。4杯だと答えると、やにわに塩の袋を持って鍋の中へどぼどぼ……。そんなこんなで写真を撮るいとまもなく、料理ができあがっていきます。

いただきます! 右上の肉がショイフェレ、左下の玉がクネーデル

できあがりは……うまい! ほとんど先生が作ったもので、私たちはお手伝いだけですが。ショイフェレはコクのある味で、表面はかりっと仕上がっています。ゆでる時に塩の量に仰天したクネーデルも、味は薄すぎずしょっぱすぎず、絶妙の塩加減。先生、目分量、神業!と心でつぶやきながら、白ワインが進みます。ただ、ショイフェレの肉は拳ふたつ分、クネーデルは野球ボール大と、とにかく大きい。見ただけでもうおなかいっぱい、の気持ちです。

食べることは旅の楽しみのひとつですが、できあがった料理を味わうだけでなく、訪問先ゆかりの料理を作るところから始めたい、という旅人も増えているそうです。そういう旅プランの参考にと、地元の観光局が料理体験を組み込んでくれたと、後で聞きました。

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