楽しいひとり温泉

温泉+都会のオアシス 大都会の真ん中で温泉養生 「東京都・大手町温泉」

  • 文・写真 石井宏子
  • 2018年7月24日

最上階にあるスパでトリートメントを受ける

夏休みは、どのように過ごしますか? 海外のリトリート(隠れ家)で本格的に体を整えたいけれど、仕事の予定も詰まっていて、日本をなかなか脱出できない方もいらっしゃることでしょう。ひとり温泉で、短い滞在でも徹底的に自分再生できるプログラムを見つけました。今回のひとり温泉は、パーソナルトレーナーのボディーリメイクを受けて、大都会の真ん中に浮遊するような温泉で心身のメンテナンスをする2泊3日のスパと温泉の養生滞在です。

「塔の日本旅館」がテーマの「星のや東京」の玄関

ずっとこの宿が気になっていました、という方も多いのではないでしょうか。毎日の通勤ですぐ近くを通っていて、どんなところなのかなあ、いつか滞在してみたいなあ。と、「行ってみたいリスト」に入れていた方もいるかもしれません。その「星のや東京」は、大手町のオフィス街の一角にひっそりと建っています。エントランスを入ると青森ヒバの大きな扉。テーマは都会の中の日本旅館。靴を脱いで畳へ上がると、都会の空気もすうっとほどけていくような気分です。

静かな雰囲気の部屋

今年6月にスタートしたばかりの2泊3日の滞在プログラム「深呼吸養生」は、海外のスパリゾートなどでは見かけますが、日本の温泉ではまだ少ない滞在型メンテナンスプログラムです。チェックインするとまず、「R-body project」のトレーナーが150分に及ぶパーソナルボディーリメイクをしてくれます。科学的アプローチに基づいて、関節の可動域や筋肉の柔軟性、バランスの偏りなどを詳細に分析していきます。たとえば、1本の細い木の板の上に乗り、ひざをたてて手を前に伸ばしてバランスをとることができるかなど、さまざまな動きをしてそれを写真に収めていきます。まず自分の体の現状を把握した後、今度は、深い呼吸をしながらインナーマッスルを鍛えたり、ピンポイントでストレッチをしたり。トレーナーが動きのお手本を示してから、同じ動作を自分でして、写真に撮って比べてみると、あら不思議。ずっと可動域が広がって、体がしなやかに動いているのがわかります。

内湯から露天風呂へと続くアプローチ

ゆっくりとした動きだったのに、全身汗びっしょり。少し休んだら、いよいよ、温泉です。温泉は最上階にあります。琥珀(こはく)色のお湯が印象的、内湯からトンネルのような場所をくぐると天井から光が差し込む露天風呂へと続きます。まわりはオフィス街ですから壁に囲われているのですが、ぽっかりと開いた天井から空を見上げる温泉にいると、都会の空に浮いているような開放感と、あたたかなお湯に包まれている安心感が交錯して、なんとも不思議な癒やしの感覚を味わえます。

温泉から見上げる都会の空。夜は星が見える

温泉は大手町エリアの再開発に合わせて掘削された大手町温泉を引いています。泉質は、含よう素-ナトリウムー塩化物強塩泉。pH7.48の中性でとろりとした肌触りです。ほんのりと潮や土の香りがする温泉は、かつての海水が地中深く閉じ込められて熟成しミネラルが凝縮。海の成分でもあるヨウ素が肌を殺菌し、濃厚な塩分とともに体を温めて血行を促進します。部屋で夕食をいただいたら、ぐっすり眠るためのスパトリートメントを受けて熟睡。翌朝は、腹式呼吸と深い呼吸を学ぶことで、日ごろいかに自分の呼吸が浅くなっているかを実感する「深呼吸ストレッチ」のパーソナルメニュー。深く呼吸をすることができると、脳にも体にもたくさんの酸素がいきわたるようで、スッキリと感じました。

各フロアにあるお茶の間ラウンジ

星のや東京の特徴的な場所は、各階にある「お茶の間ラウンジ」。そのフロアのゲストだけのセミプライベートラウンジです。時間ごとに異なる本が置かれていたり、いつでも好きな時にお茶やお菓子をいただいたり、大きなテーブルに腰掛けて宿のスタッフとおしゃべりしたり、ソファでごろっと寝転んだり、部屋にこもらなくてもくつろげます。

深呼吸養生だけの特別メニューのランチ

2日目のランチは、季節の野菜を中心とした30種類以上の食材を味わう小皿の特別メニュー。ひとつひとつの食材の味や調理法の違いによる食感、味わい、香りなど五感で楽しめるお料理です。ひとり滞在で過ごすことで、自分の状態を理解し、自分のペースでゆっくりと心身のバランスを整えていく時間が作れます。

光がきらめく昼下がりの温泉を独り占め

午後のスパトリートメントの前には、大浴場の温泉に貸し切りで入ることができます。スタイリッシュな木枠から注ぐ光がゆらめく湯につかっていると、街の喧騒(けんそう)がささやくように聞こえてきます。都会の真ん中で、ただひとり、ぼーっと温泉に浸って過ごす時間はとてもぜいたくです。温泉の後は、ボディーワークのほどよい筋肉痛を優しくリリースしてくれるボディーを中心としたスパトリートメント。がんばってきた自分へ感謝の時間です。

最後の夜はNipponキュイジーヌのディナー

最後の夜は、「Nipponキュイジーヌ」のディナー。フレンチの手法で日本を表現する浜田統之料理長のお料理は伝統的かつ斬新。日本の魚をクローズアップしてフルコースで旬を表現します。たとえば、こんなひと皿。マダイのうまみともっちりとした食感を引き立てる薄切りの大根、トマトのクリアコンソメと菜の花オイルをしょうゆ代わりにしていただく繊細なお料理です。

都会の真ん中で別世界へこもれる2泊3日のメンテナンス滞在は、自宅と旅の間に生まれた不思議な異次元のようで、思った以上にリフレッシュできるひとり温泉でした。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.東京の真ん中で温泉養生
2.ボディーリメイクしてスッキリ
3.ごほうびディナーも満喫

星のや東京
https://hoshinoya.com/tokyo/

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PROFILE

石井宏子(いしい・ひろこ)

いしいひろこ

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

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