あの街の素顔

<エストニア便り>夏至祭「ヤーニパエヴ」を体験

  • 文・カルーシオン・マリア
  • 2018年7月25日

華やかな伝統衣装は日本の着物のように子供からお年寄りにまで幅広く着られています

ヨーロッパ各国では早くも長いホリデーシーズンが始まる6月の下旬。夏休みを前に北の国エストニアでは、国民がクリスマスの次に楽しみに待っている大きなイベントがあります。

それは、北半球では一年で最も日照時間の長い夏至を祝う祭り「ヤーニパエヴ」です。

毎年6月23日の戦勝記念日と、24日の夏至は祝日となり、軒先や市内を走るバスなどあちらこちらにエストニア国旗が飾られます。冬が長く厳しい国ならではの夏の始まりを、現地に住んでもうすぐ3年のわたくしカルーシオンが、首都タリンの旧市街から少し離れた自然豊かな野外博物館で体験してきました!

タリン旧市街から公共交通機関で約30分

ヤーニパエヴを体験できるのは6月23日のミッドサマー・イブ。イベントはエストニア国内の様々な場所で開催されていますが、特にエストニアの伝統衣装や踊り、夏至祭ならではのグルメにも遭遇できるといえば、この野外博物館です。

夏場は通常午前10時から午後8時まで入館することができますが、夏至祭のイベントは19時からパフォーマンスやライブミュージックなどが楽しめるということで、18時入館を目指しました。

エストニア野外博物館

入り口でチケットを購入し、敷地内に足を踏み入れると、早速多様な伝統衣装を身にまとった人々と遭遇。高揚感に包まれ、シャッターチャンスを逃さないよう、カメラを準備します。

森に囲まれ、都会の喧騒(けんそう)からシャットアウトされたこの野外博物館は、東京ドーム約15個分の広さを誇る広大なエリアに、17世紀から19世紀の農村や農家、教会、学校などの建物が展示されています。

どこか昔の日本を思わせるかやぶき屋根の家や大きな井戸などもあり、約7800キロも離れている日本とエストニアに共通点があるような、あたたかい気持ちになります。

敷地内を可愛らしい馬車に乗って移動することもできます。長時間歩くのが困難な場合や、子供連れの家族などにオススメです!

焚き木の周りに人々が輪になって集まり、歌いながら点火の儀式が行われる

生演奏のバイオリンとアコーディオンのフォークミュージックに合わせ、フォークダンスを踊る

夏至祭のイベントのメインは、大きなたきぎに火をともし、その周りで歌って踊ること。その火はオリンピックの聖火のように、夏至祭の朝にパレードで使われた後、地元の自治体に渡され、各地でともされます。そして夜が明けるまで踊ったり、ゆったりとその火を眺めたり、白夜を楽しみながら暖をとったりします。

夏の始まりとはいえ、エストニアは天候と気温の変化が激しいです。夕方から夜が中心のイベントでは肌寒いことも多いので、防寒具は持っていくのが無難です。筆者も薄着に脱着が簡単なセーターとマフラーを着用し、たきぎの最前列に陣取り、暖をとりました。

  

森のあちらこちらで目にする大きなブランコは、エストニア人なら子供の時に必ず遊んだことのある国民的遊具とも言えるものです。一つのブランコにたくさんの子供たちが乗り、ギーコーギーコと音をたてながら遊んでいます。耳に残るブランコのきしむ音も、夏至祭のだいご味の一つなのでしょう。エストニア人の夫の話では、子供の頃、白夜の始まりともいえるヤーニパエヴだけは、特別に遅くまで遊ぶことを許してもらえたのだそうです。

ヤーニパエヴにはシャシュリクを食すのがエストニア流

  

長い夜を過ごす間におなかがすいてきたら、屋台でエストニアのバーベキューを楽しみます。大きなブロック状にカットされた肉のマリネを鉄の串に刺し、焼き鳥のように炭火で焼いたものをシャシュリクと言います。炭火で大胆に焼かれた肉の香りが食欲をそそります。大きな鉄板には他にもポークソーセージやチキンのロースト、かぶりつきたくなる巨大なローストポークもあるので目移りしてしまいます。

最後の最後まで迷ったあげく、エストニア人の風習にならってシャシュリクをチョイス。ベークドポテト、甘酸っぱいキャベツの漬物ザワークラウトと、きゅうりのマリネもたっぷりお皿に盛ってくれます。

野外ステージで演奏されるフォークミュージックのライブを聴きながら食すバーベキューは絶品です! ただし、集まる人の数に比べて屋台の数はわずかなので、購入するまで30分以上ならぶことになるかもしれません。

家族連れや旅行者にも便利なエリア

野外博物館があるロッカ・アル・マーレ地区には、旧市街地にはない大型ショッピングセンターやデパート、大型ホームセンター、アスレチック施設を併設した動物園、コンサートホールなどがあり、家族や観光者にとても便利なエリアになっています。タリンの中心から公共のバスを使用した場合はZOO(エストニアでは「ゾー」)で下車。そこから徒歩でそれぞれの施設に行くことができます。ヤーニパエヴの時期には無料のバスも運行しているのでインフォメーションで確認を。

ロッカ・アル・マーレのショッピングセンター

スーパーマーケットはお土産探しの穴場

お土産は、観光地よりも、郊外にあるスーパーでそろえてみてはいかがでしょうか。品ぞろえも良く割安で、現地の人々の生活も垣間見られるスーパーマーケットでお土産を購入することは、旅行通の裏ワザでもあります。

エストニアにもたくさんのオススメしたいスーパーがありますが、フィンランド系列のPRISMA(プリズマ)とエストニアのスーパーSELVER(セルベル)は特にオススメです。

  

ロッカ・アル・マーレ・ショッピングセンター内にあるPRISMAでは、フィンランドのお菓子や食器、衣料品から、日用品、スポーツ用品、おもちゃ、生鮮食品などありとあらゆるものを取りそろえています。フィンランドを代表するインテリアブランドのひとつVALLILAの、エストニア限定デザインの生地で作られたグッズも購入できます。

ショッピング中の子供にはきれいに洗われた新鮮なバナナかリンゴをひとつ無料で提供していたり、子供連れ優先のレジがあったりと、小さい子供連れでのショッピングが快適にできるように工夫されています。

またエストニアでは買い物のポリ袋は有料で、エコバッグを持って行くのが当たり前。

お買い物の際はマイバッグを持って行くことをオススメします。現地でおしゃれなバッグを調達するのもいいかもしれません。

  

2018年に入り、いくつかのスーパーマーケットは24時間営業を始めていますが、ヤーニパエヴなど祝日には閉まっているか営業時間を短縮していることが多いので、確認が必要です。

夏至祭からはじまる夏休みシーズンはほかにも、グルメや音楽フェス、ガーデニングイベントや車のイベントなどなど毎週末のようにイベントが目白押しです。初めてエストニアを訪れるなら6月から8月をオススメします。(イラスト・あんじミサ)

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