原田龍二の温泉番長

夏と冬とで別の顔、河原を掘れば源泉が湧き出す「川湯温泉」

  • 2018年7月30日

“温泉番長”こと俳優の原田龍二さん(撮影=岡村智明)

これまで訪ねた温泉の数は、約200カ所。「温泉との出合いは一期一会ならぬ“一期一湯”」と話す温泉番長・原田龍二さんにとって、特に印象深かった温泉をご紹介します。

今回は、和歌山県にある「川湯温泉」。河原をスコップで掘ればオリジナルの露天風呂が作れるという、ユニークな温泉です。

和歌山県・川湯温泉

かわゆおんせん

熊野川の支流・大塔川のほとりにある、水着着用で入る温泉。河原を掘ると70度以上の源泉が湧き出してくるため、冷たい川の水を引き込んで温度を調整すれば自分好みの露天風呂を作ることができる(写真=熊野本宮観光協会提供)。泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。冬(12月~2月)は15メートル×50メートル、深さ60センチほどの巨大な露天風呂「仙人風呂」で、ゆったりお湯を楽しめる。
住所:和歌山県田辺市本宮町川湯
電話:0735-42-0735(熊野本宮観光協会)
営業:年中無休。「仙人風呂」の時期(12月~2月)は、午前6時半~午後10時。荒天時は問い合わせを
HP:http://www.hongu.jp/onsen/kawayu(熊野本宮観光協会)
料金:無料

僕が子どもの頃に家族で行ってみたかった感じの温泉

田舎のおじいちゃんの家に遊びに行って、縁側でスイカをかじったり、川で泳いだり……。小さい頃、そういう夏休みの過ごし方にものすごく憧れていました。僕は東京の下町育ちで帰省するような田舎もなかったから、夏休みでも特に代わり映えのしない毎日だったんですよ。変化がなさすぎて、宿題の絵日記に書くことがなかった。山とか川を描きたいんだよなぁって、ずっと思っていました。

今回ご紹介する和歌山県の川湯温泉は、山もあって川もあって、まさに僕が子どもの頃に家族で行ってみたかった感じの温泉です。世界遺産に登録されている熊野三山の一つ、熊野本宮大社の近くにあります……と言ったら場所をイメージしやすいでしょうか。県道沿いにあるので、車で気軽に行けます。

山も川もある、和歌山県の川湯温泉を訪れた原田さん(写真=BS-TBS「日本の旬を行く!路線バスの旅」)

一見、なんの変哲もない普通の河原ですが、スコップで掘っていくと70度超の源泉がじわじわと湧き出してきます。そこに冷たい川の水を引き込めば、オリジナルの即席露天風呂が完成! 自分で温泉が作れるなんて、おもしろそうでしょう? 

夏は川遊びと温泉の両方を楽しめる、和歌山県の川湯温泉(写真=熊野本宮観光協会提供)

夏は浮輪やパラソルを持参した家族連れでにぎわい、大小さまざまな湯船が河原に作られるそうです。温度調節も思いのままなので、ぬるめ派も熱め派も、自分にとってベストな温度を追求できます。

“水着を着て入れる混浴露天風呂”というのも、いいですよね。川遊びで体が冷えたら温泉につかり、温まったら再び川へ。家族みんなで川遊びと温泉の両方を楽しめるなんて、最高です。熊野川の支流である大塔川の水はすごく澄んでいて、時期によってはアユも泳いでいるとか。温泉にもときどき小さなお魚が迷い込んでくるので、ほかの生き物との“混浴”も体験できます。

冬になると、河原に巨大な露天風呂が出現

この温泉は一年中入れますが、冬(12月~2月)になると様子が変わります。夏の間は川の水量が多いので思いおもい好きな場所に湯船を掘れるのですが、水量が減る季節は個人でちょうどいい温度の温泉を作るのは骨が折れる。そのため、冬は地元の実行委員会がショベルカーを使って15メートル×50メートル、深さ60センチほどの大きな常設露天風呂「仙人風呂」を作ってくれます。

冬季限定の巨大な露天風呂「仙人風呂」(写真=熊野本宮観光協会提供)

これだけ広いと入る場所によって温度に差があるので、自分にとっての適温を探してお湯の中を少しずつ移動します。この適温探しも、やってみるとおもしろいんですよ。

実は、僕が川湯温泉を訪ねたのは仙人風呂の時期。でも、夏は夏できっと楽しいだろうなぁと思ったので、このタイミングでご紹介させていただきました。

温泉に入るときは「いただきます」と口にするのが僕の習慣ですが、そこには地球への感謝の気持ちを込めています。ちょっと大げさに聞こえるかもしれないけれど、温泉は地球からの贈り物ですから。

お尻の下や足の裏から絶えず“ぽこぽこ、ぽこぽこ”と源泉が湧き出し、その気泡が体をなでて水面へ上っていく川湯温泉は、「今この瞬間、“地球の恩恵”を受け取っている!」と全身でダイレクトに感じられる、とてもよい温泉だと思います。

(聞き手・渡部麻衣子)

◆連載「原田龍二の温泉番長」では、この5~6年の間、旅番組で数々の温泉を巡った温泉情報の猛者・原田龍二さんにとって、特に印象深かった温泉を隔週で一カ所ずつご紹介します。次回は標高2150メートルの場所にある、長野県の温泉を予定しています。

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PROFILE

原田龍二(はらだ・りゅうじ)

俳優。1970年10月26日生まれ。近況は、ブログインスタグラムで。

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