クルーズへの招待状

まるで海の上の別荘「コスタ ネオロマンチカ」日本海周遊クルーズ

  • 文・上田寿美子
  • 2018年7月31日

洋上の別荘「コスタ ネオロマンチカ」(撮影=すべて上田英夫)

まだ乗ったことのない新しい客船に乗るときは、未知の世界に入り込むようなわくわくする楽しさがあります。一方、乗船経験のある客船で再びクルーズする時には、まるで、定宿に戻ってきたような安心感と親しみやすさを覚えるのも大きな魅力です。

今回乗船した「コスタ ネオロマンチカ」はイタリアの老舗(しにせ)コスタクルーズの客船で、昨年も石川県・金沢発着クルーズに乗り、楽しい船旅を体験しました。今年は、乗船までの時間も有意義に使おうと、金沢駅から港へ行く前に、大樋(おおひ)美術館を訪問しました。

大樋(おおひ)焼の名作が並ぶ美術館

約350年の歴史を持つ大樋焼は、ろくろを使わず手ひねりで作り出す風合いと、うわぐすりの一種である飴釉(あめゆう)の独特の発色が特徴といわれています。美術館には初代大樋長左衛門から現在の十一代にいたるまでの作品が展示され、伝承の技を現代へと受け継ぐそのさまが見事でした。ここはミシュランの観光ガイド版ともいえる「ミシュラン・グリーンガイド」で一つ星に認定された大樋家の個人美術館でもあります。お茶をたてて振る舞ってもらえる呈茶(ていちゃ)付きの入場券(1500円)を買えば、武家屋敷内にある、建築家・隈研吾氏が設計した立礼室で、和菓子と大樋焼の茶碗(わん)で抹茶がいただけます。そこで、文化勲章を受章した十代大樋長左衛門作の茶碗を選び、普段はなかなか触れることのできない名茶碗で抹茶をいただく風流な金沢の夏を楽しむことができました。

日本の美に親しんだ後は、いよいよ“海の上のイタリア「コスタ ネオロマンチカ」”に乗船です。金沢駅から続く一本道の向こうに黄色い煙突と白い船体が見え始めると、懐かしさがこみ上げてきました。

金沢港で懐かしい「コスタ ネオロマンチカ」に再会

船内に入り、早速客室に向かいましたが、エレベーターの位置も分かっているので迷うことなく到着。ベッドの上には見慣れた船内新聞「Today」が置いてありました。これは、1日のスケジュール、催し物案内、食事時間、天気予報やドレスコードなどが記された重要な情報源で、毎日これをよく見ることが円滑なクルーズライフの決め手となります。

そして今夜のドレスコードを見てみると、なんと「仮面」と書かれているではありませんか。初めてならびっくりするようなドレスコードですが、これも去年の経験から「そうか、今夜はベネチアのカーニバルが開催されるのだ」と分かりました。

ベネチアで例年2月前後の時期に行われるカーニバルは、仮面や仮装をした人々が街に繰り出し、仮面コンテストが行われることで知られる世界三大カーニバルの一つ。それにちなんだコスタクルーズ恒例の船上イベント「カーニバル・オブ・ベニス」は、仮面をつけたり、奇抜な衣装で仮装したりして皆で踊る人気イベントです。

昼間はカーニバル用衣装づくり教室が開かれ、会場入り口では仮面も販売。ただし仮面をつけていなくても自由に参加できるので気楽なものです。もし仮面を買ったら、次回の船旅で再利用もできるでしょう。大入り満員の会場は、熱気あふれるダンスの連続で大いに盛り上がりました。

怪しい仮面の販売コーナー

翌日は、ゆっくりと船内を散歩しながら、昨年と同じところ、変わったところなどを見て回りました。進化した点は、香港で唯一ミシュランの三つ星を獲得したイタリアンレストラン「8 1/2オット・エ・メッツォ・ボンバーナ」のシェフ、ウンベルト・ボンバーナ氏が監修するレストラン「リストランテ・カサノヴァ」が新設されたこと。フォアグラなどの高級食材を使用した料理と、ロマンチックな雰囲気がすてきでした。そして今年から一風堂監修のラーメンも船上で食べられるようになっていました(カサノヴァでの食事と一風堂監修のラーメンは有料。乗船代金には含まれません)。

「リストランテ・カサノヴァ」の豪華な料理

3日目の朝、韓国の束草(ソクチョ)に上陸。韓国東北部に位置し、雪岳山(ソラクサン)国立公園や海水浴場で知られる観光地です。ここでは、671年に創建された洛山寺に詣でました。海に面した高台にある古刹(こさつ)で、境内には海を見守る海水観音像が建立され、洛山寺全体が「韓の国三十三観音聖地」の一つにも数えられているそうです。

韓国・束草(ソクチョ)の海水観音像

船に戻ると、今夜のドレスコードは「ガラ(フォーマル)」。ガラとはお祭りなどを意味し、今夜特別な催しがあるということを表しています。船内新聞をよく見るとやはり、「船長主催の歓迎パーティー」がありました。そこで、ちょっとおめかししてカクテルドレスに着替え会場に行くと、カクテルやカナッペが振る舞われ、おしゃれな気分に。やがて船長が登場し、歓迎のスピーチの後、船の機関長や船医などのシニアオフィサーたちを紹介しました。

パーティーの後は、メインダイニングの「ボッティチェリ」で夕食です。ここでの食事は、乗船代金に含まれているので、日替わりの選択式フルコースメニューの中から好きなものを好きなだけ注文できます。しかも外国船で問題となる“言葉のハードル”を下げるため、入り口には毎晩料理サンプルが並び、各料理の後ろに料理名と番号を書いた札を立て、乗客はどれを食べるか実物を見て決めたら、ウェーターに番号を言えばよいという簡単なシステムとなっています。

今夜はイタリアンナイトでメニューもパスタやリゾットなどイタリア料理が豊富に登場し、ウェーターもイタリア国旗の赤・白・緑のちょうネクタイとエプロンでお出迎え。さらに、食事の後半にはカンツォーネが流れ、乗客がウェーターと踊ったり、最後は大勢が肩を組み食堂内を練りまわったりと和気あいあいとしたムードでイタリア船の夕食を楽しみました。

イタリアンナイトでウェーターとダンス

4日目は福岡県の博多港に到着。ちょうど、博多祇園山笠の時期で、川端通り商店街にも二つの飾り山と四番土居流(ながれ)の舁(か)き山が展示されていました。博多祇園山笠は、博多の総鎮守・櫛田神社に奉納される神事で、770年以上の伝統を持つ夏の風物詩です。

博多で勇壮かつ美しい舁(か)き山を見物

船上では、イタリア語教室、イタリア料理デモンストレーションなどの文化講座も開催。さらに、海の見えるピッツェリアがイタリア気分を盛り上げてくれます。しかも、ここには世界のクルーズ船の中でも珍しい、薪で火をおこす本格的な石窯があり、職人が注文を受けてから丁寧に焼き上げてくれるので、熱々のピザが食べられました(有料)。

薪窯(まきがま)で焼く本格的ピザ

このクルーズは、日本を中心にアメリカ、イギリス、メキシコ、台湾、韓国など10カ国以上の乗客がいて、プールサイドも地中海のリゾートのようにエキゾチック。日本にいるのか外国にいるのか迷うような何とも不思議なところも興味深い点でした。

しゃれた大人用プール

翌日は、京都府の舞鶴に入港。舞鶴をはじめとする京都府北部地域は「海の京都」と呼ばれ、とくに舞鶴港は府内でとれる水産物の8割が集まる宝庫です。そこで、旬の地魚をクルーズ客にも味わってもらおうと港で「舞鶴のさかな提供店マップ」を配布。舞鶴地方卸売市場で取り扱われた生鮮魚介類を提供する飲食店15軒では、マップ裏面のクーポン券でお得に食事ができるシステムになっていました。

7月は岩ガキの時期だそうで、そのうちの1軒「魚源(ととげん)」に行き、新鮮な刺し身の盛り合わせや大きな岩ガキを堪能しました。また、船から徒歩圏内には道の駅「舞鶴港とれとれセンター」があり、豊富な海の幸から好みのものを選び、その場で焼いてもらうこともできます。

京都府の舞鶴で食べた新鮮な刺し身と岩ガキの盛り合わせ

そして今夜は、クルーズのラストナイト。白い服を着て楽しみましょうという「ホワイトナイトパーティー」が開催されました。白い風船に飾られた会場には、白いズボン、白いシャツなどを身に着けた人々が集まり、コスタ・ネオロマンチカ恒例のみんなでダンスです。さらに、この夜は会場の一角にビュッフェ料理を並べ、豪華なお夜食も無料でサービスされ、クルーズのフィナーレを飾りました。

「ホワイトナイトパーティー」の始まり

昨年と同じ船に乗ってみると、乗組員との再会、懐かしいイベントなど、勝手がわかることが心地よく、洋上の別荘気分を味わうことができました。さらに、コスタクルーズでは再乗船者向けの「コスタクラブ」というリピータークラブに登録すると、乗船実績に応じたポイントにより、色々な特典を得ることができます。

「コスタ ネオロマンチカ」の日本発着クルーズは今年も13歳未満の子供客は2名まで乗船代金無料(大人2名と同室の場合。港湾税等は別途必要)という、子供連れにお得なクルーズです。子供用の遊戯室やプログラムもありますので、夏休みの家族旅行にもピッタリの船旅といえるでしょう。

このクルーズの問い合わせ先
https://www.costajapan.com/

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PROFILE

上田寿美子(うえだ・すみこ)

sumiko ueda

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて30年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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