太公望のわくわく 釣ってきました

「明日は明日の風が吹く」 夏の青物釣りで物思いにふける 横須賀市の東京湾

  • 文・写真 猪俣博史
  • 2018年8月7日

大漁&爆釣も楽しいけれど、行き交う船を眺めてぼんやり物思いにふける時間も悪くない。日々なかなかそういった時間は持てないものだ

関東では早々に梅雨が明けた今年は、7月に入る頃には早くも真夏のような暑さがやってきました。

三浦半島の東京湾側沿岸では、例年この頃から青物の活性が高くなってきます。まずサバやイワシが接岸しはじめ、次第にアジの群れが岸近くまで回遊。20センチ前後が中心ですが、時には40センチ前後の大サバや尺越えのアジが交じり、釣り好きたちのテンションを一気にアップさせます。

今年も、ぼちぼちサバが釣れはじめているとの情報を聞き、7月上旬の夕マズメに中学生の長男を引っ張り出し、涼みがてら、横須賀市のうみかぜ公園へと向かいました。

うみかぜ公園には、テニス、バスケットボールのコート、マウンテンバイクのコース、スケートボードやバーベキューのエリアもある

ねらうのは、連日岸壁に回ってきているというサバの群れ。これをカゴ釣り仕掛けでねらいます。カゴ釣りとは、その名の通りカゴにコマセ(まき餌)を詰め、複数のハリが付いた胴付きと呼ばれる仕掛けで釣る方法。平たくいえば、ウキをつけたサビキを遠投するのです。足元を釣る通常のサビキ釣りよりも広範囲を探れるのがメリットです。

駐車場のすぐそばで釣りができる釣り場は、なかなかない

この日は潮のタイミングも悪くはなく、前日もそれなりの釣果が上がっていたので、状況としては悪くないはずでしたが、海は沈黙……。周囲を見回してもまったく釣れているようすがありません。

さて、こうなるとひたすら待ちです。息子はというと、ロッド片手に音楽を聴きながらスマホ操作に夢中。そんな彼の後ろ姿を眺めつつ、私はしばし物思いにふけり……。

釣りをしながら、音楽を聴きつつ、スマホを操作。これも時代ということなのか……

今でこそ毎日パソコンやゲームばかりしている彼も、小学生の頃は結構な釣り好きでした。近所の堤防や砂浜でキス、カレイ、カマス、イイダコなどを、常識破りの斬新な竿(さお)さばきでよく釣りました。親が言うのもなんですが、釣りのセンスは結構よかった。そんな彼も次第に釣りから遠ざかり、今や父親とはロクに口もきかない思春期真っただ中。人生という旅のなかで必ず通る道とはいえ、いろいろと気をもむ年頃です。

自分の場合はどうだっただろうか、とふと回想。暑い夏になると、母が縫ってくれた布の袋に安い竿を入れて、まだ埋め立てられる前のこの場所にあった漁港に、毎日のようにイワシやサバを釣りに来た小学生の頃。やはり、自立心が芽生えはじめた思春期以降は釣りから遠ざかり……。そして、再び釣り竿を手にしたのは、生まれた我が子と一緒に釣りをしたいと思ったからだったな。

と、ひとりでノスタルジー&男のロマンにひたっていると、周囲にポツポツとサバが掛かりはじめ、辺りがにわかにざわつきはじめました。私たちにも20センチ弱のサバ4尾がヒット。しかし、さあ!と意気込んだのもつかの間、アタリはパタッと止まってしまいました。

その日の魚の活性は行ってみないとわからない部分はあるが、良い日はかなりの数が釣れる

釣果としては寂しい……。が、釣れただけでもよしとしよう

結局この日の釣果はこの4尾のみ。「なんだよ、大漁だって言ってたじゃない? ぜんぜん釣れなかった」と息子は不満げですが、昨日釣れていたからといって今日釣れるかというと、そう簡単ではないのが釣りの面白くも難しいところ。「いい時もあれば、悪い時もある。『Tomorrow is another day』、明日には明日の風……ならぬ、海がある。息子よ、それが人生だ!」

そんなこと言うと、とたんに煙たそうな顔をするのだろうな、きっと。

少ない釣果を最大限に楽しむ!ということで、サバは小さいながらも干物に

横須賀市・うみかぜ公園
http://www.nicspark.com/yokosuka/umikaze/#map_e

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PROFILE

猪俣博史(いのまた・ひろし)写真家

1968年神奈川県横須賀市生まれ。慶応義塾大学商学部卒業。卒業後、カナダを拠点に世界各地を放浪。帰国後、レコード会社、広告制作会社勤務などを経て1999年にフリーに。鎌倉、葉山を拠点に、ライフスタイル系のほか、釣り系媒体なども手がけ、場の空気感をとらえた取材撮影を得意とする。&wでは「鎌倉から、ものがたり。」(https://www.asahi.com/and_w/kamakura_list.html)の撮影を担当。神奈川県三浦半島の海辺に暮らす。

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