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ドイツ・ロマンチック街道を歩く ノイシュヴァンシュタイン城で思わぬ試練

  • &TRAVEL編集部
  • 2018年8月10日

ノイシュヴァンシュタイン城。4カットしか撮れませんでした。そのわけは……

<ドイツ・古城街道 ワーグナーの聖地と世界遺産の街 バイロイトから続く>

ドイツ・ロマンチック街道を訪ねる旅に出た編集部員は、ニュルンベルクを後にして、旅のクライマックスともいえる場所へ向かいました。ノイシュヴァンシュタイン城。ディズニーランドのシンデレラ城のモデルにもなった、バイエルン王ルートヴィヒ2世が造らせた城です。ローテンブルクから、古城街道のニュルンベルクやバイロイトへ足を伸ばし、再びロマンチック街道へと戻ってきた編集部員に、予期せぬ試練が待っていました。

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ニュルンベルクにある神聖ローマ皇帝の城、カイザーブルクから、この旅をずっとサポートしてくれているマイクロバスに乗り込んだのは、6月18日午前11時すぎ。行き先は約250キロ離れたシュヴァンガウです。そこにノイシュヴァンシュタイン城があるのです。

アウトバーンから一般道へ入り、田園地帯を抜けていくうち、雲行きが怪しくなってきます。走ること3時間、山にそびえ立つ城の姿は、雨の向こうでした。

雨に煙るアルプ湖。ノイシュヴァンシュタイン城が建つ山のふもとにある

シュヴァンガウに着くと、民族衣装をまとった現地ガイドの女性、エリヒ・ゲスラーさんが迎えてくれました。晴天よりは涼しいとはいえ、雨の城見物か……と少しがっかり。バイロイトでのにわか雨に懲りて傘を持ってきたことだけが救いでした。ふもとのレストランでソーセージと地ビールをいただいて気分を盛り上げ、すぐそばのアルプ湖のほとりにあるバイエルン王博物館で予習です。ルートヴィヒ2世らが輩出したバイエルンのヴィッテルスバッハ王家の歴史を、日本語の携帯イヤホンガイドを聴きながら学びます。

ふもとのレストランでとった軽食

バイエルン王博物館。かつてはホテルだった

小一時間して博物館を出ると、雨はほぼやんでいました。城の近くまで山道をバスで登ります。5分ほどで下車すると、近くに撮影ポイントがあるとのこと。

撮影ポイントか……見晴らしのいい丘かと思っていたら、たどりついたのは「マリエン橋」という橋。「ルートヴィヒ2世の父親マクシミリアン2世が、野山の散策が好きだった妻のマリーのために造りました。最初の木造の橋はすぐ落ちてしまい、鉄製に架け替えられました」と、ゲスラーさんが教えてくれます。王妃様ゆかりの橋でしたか。

城の撮影スポット、マリエン橋の上は大渋滞

あふれんばかりの人が橋の上でカメラを構えています。近づいてみると、恐ろしいことがわかりました。橋がかかる谷が途方もなく深いのです。100メートルはありそうだ。……足が前に出なくなりました。ああ、またしても。編集部員は高所恐怖症です。しかも今回の高さは、2日前に訪れたローテンブルク城壁の比ではない。

しかしこの取材旅行でまず必要なのは、数百メートル先に優雅な姿をさらすノイシュヴァンシュタイン城の写真です。撮らずに帰るなどあり得ないのです。橋の入り口まで行っては戻りを5分ほど繰り返し、意を決して一歩を踏み出します。

「Nohhhうぎゃー?※#$!!!」。意味不明の絶叫をしながら小走りに撮影ポイントを目指します。挙動不審者と思われたのか、自分の周囲1メートルくらいぽっかり空いたのは、撮影に好都合でしたが。カメラを構え、少しずつ角度を変えて1枚、2枚、3枚、4枚……もうだめ! 「▽■$%&~~」。またもや意味不明のおたけびとともに全力で引き返します。道に戻ると、1分間ほどひざの震えが止まりませんでした。

ホーエンシュヴァンガウ城も美しい姿だ

一息ついて、ノイシュヴァンシュタイン城を目指します。途中、見晴らしのいい場所から、黄色いホーエンシュヴァンガウ城が見えました。ルートヴィヒ2世が子供の頃を過ごした城です。そこからほどなく、ノイシュヴァンシュタイン城です。

ノイシュヴァンシュタイン城が見えてきた

城の近くまで来ると、大勢の観光客がそろって空を見上げています。どんよりとした空を見てどうするのかと思って上を向くと、城の上空をパラグライダーがゆうゆうと旋回しながら、少しずつ下降してきます。どこから来たんだ? 

城の上空に現れたパラグライダー

ノイシュヴァンシュタイン城はロマンチック街道屈指の観光スポット。混乱を避けるため、チケットには入場時間が刻印されています。編集部員の入場券は16時15分。時間になり、大勢の観光客とともにゲートをくぐります。

空港か駅を思わせるゲート。入場券をかざして中へ入る

日本語の携帯用イヤホンガイドを借り、耳にかざして録音された説明を聞きながら歩きます。らせん階段を上って4階へ。「玉座の広間」へ入ると、イヤホンガイドのBGMに、おや?と思いました。ルートヴィヒ2世はこの広間を、中世ヨーロッパの伝説にある「聖杯」の間と考えていたそうですが、その場所でのBGMが、聖杯騎士の物語であるワーグナー「パルジファル」だったのです。気の利いた選曲は続き、「トリスタンとイゾルデ」の壁画がある寝室では「トリスタンとイゾルデ」が、白鳥のひく小舟で現れる騎士ローエングリンの絵が飾られた居間では「ローエングリン」が。視覚と聴覚で盛り上げる細やかさは、ドイツ流のおもてなしでしょうか。

ふもとの村へは、山道を歩いて下ります。空はいつのまにか晴れ上がっています。ガイドのゲスラーさんはご年配と思われるのですが、変わらぬペースの確かな歩みです。山道に不慣れな編集部員は置いていかれがち。時折、観光馬車とすれ違うのは風流ですが、馬の「落とし物」もそこかしこにあり、なんだか複雑な気持ちです。

ふと道端を見ると、小ぶりの万年筆のようなものが。落とし物かと思って近づくと……なめくじでした。(&TRAVEL編集部・星野学)

帰路はバス停に戻らず、山道を歩いて下った

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