倉敷・道後温泉・厳島 西日本を巡る旅のすすめ[PR]

  • 文 中元千恵子
  • 2018年8月31日

倉敷美観地区をのんびりとめぐる川舟流し(画像提供:岡山県)

時代を残す町 倉敷

岡山県倉敷市の倉敷美観地区。多くの船が行き交った倉敷川の河畔には、白壁土蔵や町屋が連なっている。かつては倉敷川の河港として栄え、物資輸送の重要な集積地だった。1642(寛永19)年には代官所が置かれて天領となった。風情ある町を歩くと、ここだけ時が止まっているのではと錯覚してしまう。

江戸時代の米蔵を利用した倉敷考古館、張り瓦が美しい倉敷民藝館(みんげいかん)、さらに明治期に建てられた倉敷紡績所の赤レンガ工場を改修した倉敷アイビースクエアなど、見どころは多い。そして、倉敷観光のハイライトといえば大原美術館だ。倉敷紡績2代目社長の大原孫三郎氏が設立し、エル・グレコの『受胎告知』やモネの『睡蓮』(すいれん)など多くの名作を所蔵している。

倉敷民藝館(画像提供:岡山県)

ツタが絡まる老舗喫茶店「エル・グレコ」やフルーツパフェが人気の三宅商店、布小物を売る雑貨店なども点在し、歴史とモダンが溶け合っている。その町並みを舟から眺める川舟流しも人気だ。

三宅商店の桃のフローズンパフェ(画像提供:三宅商店)

この倉敷がある岡山をはじめ、広島、愛媛など、西日本各県の観光客が減少している。7月に起きた西日本豪雨災害の風評被害のようだ。元気な観光地まで落ち込ませてはいけない。旅に出かけて復興を応援する、という方法もあるのではないだろうか。

道後温泉の新たな歴史が始まる

道後温泉本館の風格あるたたずまい(画像提供:道後温泉事務所)

愛媛県を代表する名所の一つが、3000年の歴史を持つといわれる松山市の道後温泉だ。シンボルの道後温泉本館は、1894(明治27)年の建築。木造三層楼の屋上に赤いギヤマン窓の振鷺閣(しんろかく)をのせた風格ある建物は、現役の公衆浴場として初めて国の重要文化財に指定された。

「神の湯」「霊(たま)の湯」の2つの浴場は、砥部焼の陶板や庵治石(あじいし)を使ったレトロな造り。深めの湯船に身を浸すと、やさしい湯に包まれ、身も心も軽くなるようだ。

道後温泉本館「神の湯」の男性用浴室(画像提供:道後温泉事務所)

昨年には、飛鳥時代の建築様式をイメージした「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」が開館し、道後温泉の歴史の新たな1ページが開かれた。

フェリーで安芸の宮島へ

日本三景の一つであり、ユネスコの世界文化遺産にも登録された嚴島(いつくしま)神社へは、宮島口からフェリーで向かう。

安芸の宮島とよばれる厳島は、古くから島そのものがご神体とされ、樹木の伐採も禁じられてきた。船が近づくと、原生林に覆われた島の厳かさが感じられ、思わず背筋が伸びるようだ。

やがて弥山(みせん)を背にした嚴島神社の朱色の大鳥居と社殿が現れる。海に臨む寝殿造りの建物は、1168(仁安3)年に平清盛が修造した平安末期の姿を今に伝えている。

上陸して間近に望む嚴島神社は、壮麗さに目を見張る。沖合に立つ大鳥居も275mもの廻廊で結ばれた朱塗りの社殿も、潮が満ちるとまるで海に浮かんでいるようだ。

嚴島神社の参道には名物のもみじ饅頭(まんじゅう)の店が並ぶ(画像提供:広島県)

自然を尊び、自然と調和し、さらに潮の干満という自然の営みを演出に取り入れた嚴島神社は、自然に対する日本人の感性が凝縮された史跡の一つだろう。この風景に身を置いたときのすがすがしさ、たゆたうような心地良さは、訪れなければ分からない。

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