旅空子の日本列島「味」な旅

城下町の面影残す湧水あふれる都 長崎県島原市

  • 文・写真 中尾隆之
  • 2018年9月7日

水の都を象徴する「鯉の泳ぐまち」の湧水スポット

  • 島原市のシンボル、キリシタン哀史を語る島原城

  • 湧水の水路に沿って石垣と建物が残る武家屋敷街

  • 情報と交流の拠点として3年前に開設した清流亭

  • 水屋敷の涼感に癒やされる湧水庭園の四明荘

  • 幻の名物の味が復活した銀水の「かんざらし」

  • 大爆発の惨事を今に伝える雲仙岳災害記念館

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猛暑続きの今年の夏。滝や清流、湧水(ゆうすい)あふれる町に心ひかれる。そんな町の一つが、雲仙普賢岳を背に有明海を前にする長崎県南東部の島原市である。

古くから海、道路、鉄道など交通の要衝で、島原半島の中心としてひらけた。島原の乱の舞台のひとつにもなった城下町だが、清水湧きあふれる水の都としても知られている。

玄関口の島原駅に立つと、正面にそびえる堂々たる松平氏7万石の天守閣に引き寄せられる。夏は堀のハスの花がみごとで、秋にはレンコン掘りの行事もある。

天守閣内はキリシタン弾圧の資料を中心とした郷土史料博物館になっていて、最上階からは市街はもとより有明海や眉山(まゆやま)が間近に展望できる。

城郭のすぐ北側には水路をはさんだ石垣沿いに武家屋敷が400メートルほど連なり、江戸時代のたたずまいと暮らしをしのばせる。

この水路に尽きなく湧水があふれるように、島原市は60ヶ所の湧水ポイントを数える昔から名高い水の都。なかでも新町地区は「鯉(こい)の泳ぐまち」と称する湧水の町。道路際や民家の塀伝いにすがすがしい水音とあふれるほどの湧水が流れ、色とりどりのニシキゴイが泳ぎ、五感を和ませる。

街歩きのスタートは情報入手や休憩の拠点として3年前に開設した観光交流センター「清流亭」。ここから住宅街をゆっくり歩いて、無料休憩所の「しまばら湧水館」でひと休み。緑と水に囲まれた涼しい屋敷で、目に肌に心に涼感がひんやり、心地よく走る。

ここから少し先にある医師の別邸として建てられた三つの池をもつ湧水庭園「四明荘」の縁側に腰を下ろす。水面を見つめていると、涼気とともに心が浄化されるような気持ちになった。水のチカラをいろいろと考えさせられた。

この湧水を生かした「かんざらし」は、白玉粉で作った小粒のだんごを湧水で冷やして、蜂蜜や砂糖で作ったシロップをかけて味わう。口にひんやり、のどにつるり。市内に約20店を数える島原ならではの名物甘味だ。

元祖は共同井戸・浜の川湧水近くの「銀水」の名物おばちゃん。亡くなって閉店のまま約20年を経て、味を惜しみ、懐かしがる声が絶えず、市が建物を入手して一部を改装。地域おこし協力隊の若い夫婦に運営を託して、かつての味が復活。共同井戸の生活風景とともに、幻の味がよみがえったと訪れる人が増えている。

27年前の雲仙普賢岳の大噴火を忘れないためにリニューアルなった「雲仙岳災害記念館」(がまだすドーム)にも足を延ばした。

〈交通〉
・島原鉄道島原駅から徒歩10~20分

〈問い合せ〉
・島原市しまばら観光おもてなし課 0957-62-8019
・観光交流センター「清流亭」 0957-64-2450

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

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PROFILE

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター

nakao takayuki

高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

風土47

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都道府県のアンテナショップの情報を集めたポータルサイト。全国的には知られていないけれど味も生産者の思いも一級品、そんな隠れた名品を紹介する「日本全国・逸品探訪」など様々な記事が掲載されている。

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