私的台北好味帖

料理研究家による台北「食」ガイド、甘さしっかり台南の豆花

  • 2018年12月7日

料理研究家の内田真美さんが自らの友人を案内するような気持ちで書いたという、台北の「食」ガイドブック『私的台北好味帖』(アノニマ・スタジオ)から、厳選したお店や料理を全6回でご紹介します。5回目は「冷菓と氷菓」の章から……。

私的台北好味帖

私的台北好味帖

内田真美(著) アノニマ・スタジオ

15年以上前から魅了され、何度も台湾へ足を運んでいる料理研究家の内田真美さん。旅の目的は、たしかな素材を使った味わい深い台湾の「食」。エリアを台北に絞り、「朝ごはん」「湯(スープ)と麺」「冷菓と氷菓」などのカテゴリーごとに厳選したお店やおすすめ料理、甘いものをじっくりとご紹介します。1728円(税込み)

デザイン:渡部浩美
写真:新居明子
翻訳協力:蔡奈欧子
編集:村上妃佐子(アノニマ・スタジオ)

内田真美さんInstagram(インスタグラム):@muccida

冷菓と氷菓

湿度高の台北は、新旧冷たい菓子の宝庫。

  

痛いほどに強い光が差す暑さの日。

ぬるい湯の中を歩いているような湿度の日。

辿(たど)り着いた店で食べる台湾の冷たい菓子たちには、瞬時に生き返らせてくれる作用があります。

南方の地である台湾は、果物の宝庫。

その果物を冷菓や氷菓にするのはお手のもので、台湾らしい淡い甘さが果実の美味(おい)しさの輪郭をはっきりと感じさせてくれます。

「薄甘天国」と勝手に呼んでいる、糖度が低いたっぷりとした糖水を使った冷たい菓子たちは、台湾で最も好きな冷菓です。

豆やら芋やら雑穀やら、つるんとしたものから、もちっとしたものまで、何から何まですべてを糖水ごと口に運ぶと、あっという間に暑さをはらってくれます。

薄甘い糖水は、体の隅々にまで届き、潤してくれます。忘れてはならない台湾の名氷菓のかき氷も、もちろん必食です。

台北の街には、冷菓と氷菓の旧(ふる)きも新しきも、どちらも揃(そろ)っています。

山水伯豆花(シャンシュイボードウフア)

毎朝作り立ての味も香りもしっかりとした豆花

銀耳豆花

台湾の豆花が大好きで、訪れる度に数度は足を運びます。よい豆の香りが残りつつも、さらっと喉(のど)ごしのよい台湾独自の豆漿(豆乳)に、焼石膏(しょうせっこう)を加え固めたものが豆花になります。そこに、店に寄ってそれぞれに違うトッピングをのせて、糖水(シロップ)をかけて楽しみます。暑い時には、冷たい豆花を。お店によっては、糖水を固めたシャーベット状のものを上にのせてくれます。寒い時には、生姜(ショウガ)の効いた温かい糖水をかけて。どの季節でも楽しめる、台湾に来たら必ず食べたい一品です。

そうなると、「老舗豆花店が多い台南の豆花を食べておかねばならぬ!」という気持ちになり、台南へと向かい、安平地区の豆花を嬉々(きき)として食べたことを思い出します。台北、台中、台南と北から南まで食べ比べると、台北は豆花も糖水もさらっと軽やかで、台中は台北と同様か、少しだけ濃く感じるお店もあります。台南はやはり暑さもあるのか、豆の香りも濃く、糖水も甘めで、琥珀(こはく)色も少し重くなります。

軽やかな豆花が主流の台北で、台南・安平の豆花が食べられるのが、ここ、「山水伯豆花」です。路地を入るとゆったりとした雰囲気の大安地区にあり、お店の前に学校があるので、夕方になると生徒たちが多く立ち寄っていて、豆花をおやつに食べられるなんて羨(うらや)ましい!といつも羨望(せんぼう)の眼差(まなざ)しを向けてしまいます。

傳統清豆花

店主のお祖父(じい)様が、安平で売り歩いていらっしゃった豆花を、三代目の現店主が、台北で再現したのがこちらの豆花だそう。毎朝作り立ての豆花は、薄い豆花用のヘラですくわれ器によそわれても形がキチンと残り、器の中で型崩れせずに糖水に浮かんでいて、豆の香りもしっかりとしています。焼石膏の香りはそんなに残っていませんので、豆の香りを楽しむことが出来ます。

糖水は、他の台北の豆花屋さんに比べると、琥珀色が黒糖色に寄り、甘さもしっかりとしています。豆の香りがしっかりしているので、糖水も甘めでないとバランスが悪くなってしまうところ、台南で食べた豆花と同様によいバランスに仕上がっています。

豆花と糖水そのものを味わいたいので傳統清豆花(チュワントンチンドウホワ)や、しっとりと煮込まれた白木耳の銀耳豆花(インアルドウホワ)など、シンプルなものをよく注文します。

台南を思わせるような暑い夕方には、冷たく香りよい豆花を食べに大安地区を歩きます。

■山水伯豆花

住所:大安區四維路154巷29號
電話:02-2708-7740
営業時間:11:50~21:00(土曜18:30まで)
定休日:日曜
最寄り駅:大安駅

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PROFILE

内田真美(うちだ・まみ)

料理研究家。長崎県生まれ。夫と娘の3人家族。雑誌、書籍、広告などで活躍している。台湾の食、人、土地に魅了され、台湾に長年通い続けている。著書に『私的台湾食記帖』(アノニマ・スタジオ)がある。本書『私的台北好味帖』は台湾ガイド第2弾。Instagram(インスタグラム:@muccida)も人気です。

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