楽しいひとり温泉

温泉+ご褒美 がんばった後に行きたい温泉宿「大分県・由布院温泉」

  • 文・写真 温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト 石井宏子
  • 2018年10月16日

由布院温泉「玉の湯」の玄関

がんばらなければならない時には、ご褒美が必要です。大きなプロジェクトを抱えている時、ここが踏ん張りどころと、根を詰めて仕事や勉強に邁進(まいしん)しなければならない時。人生には、時折そういう場面があるものです。そうして何かを達成した時は、自分へのご褒美に、ちょっとぜいたくな「ひとり温泉」で、へとへとになった脳や体を癒やしましょう。

大分空港から、直行バスに乗り由布院温泉へ。由布院駅前でバスを降り、駅前の「ゆふいんチッキ」で荷物をお願いすると、500円で宿まで運んでくれます。身軽になったら、由布院の街をぶらりとお散歩。今日の宿「玉の湯」までは、徒歩15分ほどです。

宿泊者専用のライブラリーラウンジ

由布院の街は、とてもにぎわっていて、たくさんの人が歩いているのですが、玉の湯へ到着して1歩中へ入ると、とても静かでゆったりとした空気が流れています。

「ああ。こんな時間が欲しかった~」と、ライブラリーラウンジで腰を下ろし、お茶をいただきます。

回廊を通って部屋や温泉を行き来する

玉の湯は16室のお宿。離れタイプの部屋が回廊で結ばれています。お部屋タイプはおまかせの「お一人さまプラン」があって、どのお部屋になるかは、その時のお楽しみ。山野草が美しい庭を眺めながら回廊を歩き、お部屋へと進みます。

和室の奥にベッドルームやリビングがある

この日の部屋はメゾネットタイプ。上の階に和室とベッドルームがあり、高い目線で眺める緑の風景は小鳥になったような気分です。

部屋専用の温泉は、源泉かけ流し

下の階に坪庭を眺める部屋専用の温泉があります。ひのき風呂の深めの湯船に源泉がかけ流しで注がれています。どんな時間でも、いつでも気ままに入れる自分だけの温泉があるというだけで、なんだかとても豊かな気持ちになります。

男女別大浴場は内湯と露天風呂がある

それでも、まずは、大浴場へ。大きな湯船にたっぷりと注がれた温泉で手足を伸ばして、がんばってやり抜いた日々の疲れを癒やします。玉の湯の自家源泉の泉質は単純温泉。pH8.2の弱アルカリ性。つるりとやわらかな感触で肌がなめらかになる美肌の湯です。源泉の温度が高いので、大浴場は温度管理のために循環濾過(ろか)していますが、お湯が寄り添ってくるような新鮮さを感じます。深めの内湯で首までどぼんとつかり「ふううう」と脱力。がんばってカチカチになっていた、肩や背中のこわばりがすっと和らいでいくようです。

ふと大きな窓に目をやると、木々の向こうから、由布岳がのぞいていました。

山菜や旬の野菜の前菜

山の恵み、里の恵みを丁寧に仕立てた夕食は、しみじみとおいしいものばかり。大根のおすしはカボスをきゅっと絞って爽やかに。ほんのりと甘いサツマイモなど、少しずついただいていると次のお料理が運ばれてきます。

大分の海の恵みのお造り

大分の海からはヒラメ、そしてマスの昆布じめ。うまみの濃い魚は大分の日本酒がよくあいます。

スッポンのおすましで元気をチャージ

お吸い物は3種類から選べます。へとへとな体を癒やしたいと、スッポンのおすましを選びました。ぷるぷるつるんとしたスッポンは、ほろほろととろけるほど柔らかく、スープにはうまみがたっぷり。とてもおいしくて、体の中がぽかぽかとしてきます。

クレソンたっぷりのシャモ鍋

さあ、メインディッシュです。これも、数種類から選べるのですが、この宿のクレソンたっぷりの鍋がお目当てだったので、クレソンたっぷりの「シャモ鍋」にしました。ひとり鍋はさみしいかしらと、ちょっと心配しましたが、さにあらず。

お宿の仲居さんが、一番おいしく味わえるようにと、目の前で鍋を作ってくれます。「1カ月ほど家にこもって、本を執筆していたんです。書き終えたらご褒美にこの宿へこようと、必死にがんばりました」「わー、すてきですね。どんなご本なんですか?」。なんて、「がんばりました」話も明るく聞いてくれて、楽しく過ごしているうちに、鍋がいい感じに出来上がってきます。最後にネギとクレソンをたっぷり入れて、はふはふと味わいます。クレソンの優しい苦みがクセになるおいしさ。由布院でしか味わえないごちそうです。

さて、夜は部屋の温泉へゆっくり入ろう。秋の虫の音と湯の流れる音。脳と心が柔らかくなっていくようで、ぐっすりと眠れました。

地元のロースハムや牧場のチーズなどが並ぶ洋朝食

朝食は、洋食をセレクト。クレソンのポタージュは、クリーミーな味わいの後にほんのりと広がる緑の余韻がたまらないおいしさ。スープで内臓をゆっくりと目覚めさせて、サラダをいただいていると、大分特産のシイタケたっぷりのオムレツが運ばれ、そして、別府温泉の老舗「友永パン屋」の食パンを使った、ふんわりサクサクのトーストが焼き上がってきます。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.温泉街散歩を楽しんで宿へ到着
2.日々の騒々しさを忘れるゆったりとした時間
3.へとへとの体にも優しい里山のごちそう

玉の湯
https://www.tamanoyu.co.jp/

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PROFILE

石井宏子(いしい・ひろこ)

いしいひろこ

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

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