太公望のわくわく 釣ってきました

エサがウニ! 幻の「高級魚」イシダイ釣りに挑む 和歌山県由良町

  • 文・写真 安田明彦
  • 2018年10月30日

筆者が釣り上げた40センチのイシダイ。この日のイシダイで最長寸だった

イシダイ釣りと言えば、エサが高級!というイメージが釣り師の中でもあるものです。

確かに、使用するエサが、ウニだったり、ナガレコ(トコブシ)だったり、サザエだったり、アカガイだったりしますからね~。

そのまま人間が食べてもおかしくないものを、魚釣りのエサとして使うのですから。

渡船場で予約してあったガンガゼをバッカン(エサ入れ)などに入れてもらう。もちろん生きている

しかもイシダイと言えば、”幻の魚”として、崇められて?いるように思います。使うエサが高級、それでいて、釣れない確率が非常に高いとなると、それはぜいたくな釣りになってしまいますよね。

でも、普通の人だって、イシダイ釣りができるんですよ。時期を選びさえすれば、幻ではなくなってしまうんです。それが秋なんですね。

はさみでトゲを「散髪」して使うことがほとんど

今回は、イシダイ釣りに、和歌山県由良町・大引の磯へ行ってきました。同行してもらったのは、石鯛釣技会の木村俊一さんです。私のイシダイ釣りの師匠でもあります。日本で有数のイシダイを釣る釣り師でしょう。

そして釣技会メンバーの橋口次男さん、前勉さんの4人で沖磯「ヒジキの東の鼻」へ上がりました。

真っ先に竿(さお)受けの位置を決めさせてもらいました。ちょうど中間の地点です。右に木村さん、その右が前さん、左には橋口さんです。

4人が並んで竿を1本ずつ出した

今シーズン、大引はイシダイの釣れる確率がうんと高く、1人で2~5尾と、数釣りができています。そして、良いサイズの魚が多いことが特徴です。例年ですと、大引を含む中紀地区の秋のサイズは30~40センチが中心で、時折40センチオーバーが出るという感じですが、今年は、50センチ級もバンバン上がり、平均で40センチ前後と、サイズもよくなっているのです。

潮が小さくなり、釣果が出なくなってきたようですが、イシダイ専門の木村さんらと行けば、まずボウズは無いのです。そうです、幻なんて言わせない人たちなんです。

私の実感でも、イシダイは遅合わせをすれば、釣れる魚です。それだけ、中紀の磯、特に大引の磯は、イシダイの魚影が濃いともいえるのです。

関西では置き竿が中心。投げ込み、糸フケ(ゆるみ)を取ったら、竿受けにセットする

「1投目から要注意やで」と木村さんが耳打ちをしてくれます。ここには釣り人が絶えず入っていて、マキエは効いているはずだから、イシダイは必ずいると読んでいるのです。なので、朝の1投目は、当たる確率がうんと高いということです。

事前に行った木村さんは、「前回も28あたりで当たってきた」というのです。28とは、リールのカウンターの数字です。

そんな話をしつつ、木村さんがエサのウニをつけてキャスト。

アドバイスをもらっていても、そこは裏をかいて、25で仕掛けを落ち着かせた私。というのも、百戦錬磨のこのメンバーと一緒の釣りをしていたのでは、必ず釣果に差が出るからです。何といっても、イシダイ釣りは、秋のこのシーズンに、1回か2回行けたら、良い方ですから。

1投目に来ると宣言した木村さんに、まさに1投目でアタリが

突然、木村さんの竿先が、バンッ!と弾みました。この強さは明らかにイシダイのアタリです。「入るよ、入るよ」と木村さん。すると、もう一度バンッ!と弾んだ竿先は、竿の胴のあたりまでしなります。「来たよ!」と軽々と合わせを入れ、取り込んだのは35センチとやや小型のイシダイ。

「ねっ、ねっ! 1投目でしょ」

ものの見事に、1投目で幻を仕留めた木村さんでした。

宣言通りに釣り上げ、笑顔を見せる木村さん

こりゃいかん。25で止めていたのでは釣れん、と読んだ私は、あわてて仕掛けを回収し、28に仕掛けを落ち着かせるのでした。

するとどうでしょう。アタリが来ました。竿先が大きく曲がったのです。ここで合わせていたのでは、掛かりません。イシダイがエサのウニを割っているだけなのです。こんなアタリが何回か続き、最後に竿がもむようになってから合わせたらよいと、師匠に教えてもらっていました。

もむとは、竿先が、グングングンと、入り込んでいく様をいいます。イシダイがハリをくわえて、逃げようとしている様がもむ状態なんです。こうなる前に合わせると、魚のかかっていない素バリを引く羽目に。「遅い合わせ」がイシダイ釣りでは鉄則です。

と言いつつも、最初はあのイシダイ用の剛竿が曲がった状態で、竿が立つのか心配でしたが、心配いらずでしたね。竿は立てられます。釣れます。

ヒラを打ち(横になり)ながら上がってきます。縞目が見えました。イシダイです。しかもちょっと大きい。取り込んだのは40センチのイシダイでした。28に打ち込んでの、まさに1投目でした。思わず「やりました!」と叫びました。

40センチクラスからイシダイと呼ぶ釣り師が多い。それ以下はサンバソウ。能の「三番叟」でかぶる烏帽子(えぼし)の図柄に魚の模様が似ているので名付けられたらしい

何か変な引きだと思ったらコロダイだった。66センチ

続いて橋口さんもイシガキダイをゲット。前さんも小さいながらもイシダイを。

ね、イシダイは幻ではないでしょ、この人たちにかかってしまうと。

橋口さんの竿がきれいに弧を描く。釣れたのは……

橋口さんが釣ったのは、イシガキダイでした

竿がしなる興奮を、私は4回も味わえ、夢のような釣りができました。木村師匠は3回、橋口さんは5回も、前さんは1回でしたが、こんなに釣れるイシダイ釣り場は、ほかにはないでしょうねー。

合計4尾ものイシダイを仕留めることができた筆者。この日はついていた

イシダイの皮は、珍味。ほどよく湯通ししてポン酢でいただく。もちもちとした食感が楽しめる

寒くなるこれからの季節は、脂の乗ったイシダイの身を入れたイシダイ鍋が合う

上野渡船
http://minnaga.com/uenotosen/

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PROFILE

安田明彦(やすだ・あきひこ)釣りライター

1959年大阪市生まれ。父親の影響で子供のときから釣りが大好き。大学卒業後、釣り週刊誌の記者、テレビの釣り番組解説者などを務め、「やっさん」の愛称で親しまれる。あらゆる釣りを経験するが、近年は釣って楽しく、食べてもおいしい魚だけを求めて行くことが多い。釣り好き、魚好きが高じて、居酒屋を営んだこともある。

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