楽しいひとり温泉

温泉+選べる地獄 シェフにおまかせ? 自炊? どっちも楽しい地獄蒸し「大分県・鉄輪温泉」

  • 文・写真 温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト 石井宏子
  • 2018年11月13日

風情ある鉄輪温泉の路地にある「湯治柳屋」の玄関

ひとり温泉といえども、旅の食事は重要です。どんな温泉に入ろうか? どんな宿に泊まろうか? そして、同じくらい、どんなものを食べようか?は旅を決める上で、大きなポイントです。ひとりで泊まりたいけど、ご褒美になるようなおいしい夕食が食べたい、という時もあるし、温泉宿に行きたいけど、旅館の夕食は食べたくない。でも、外のお店へ出かけて食べるのもくつろげないし……。などなど、ひとり温泉の旅ごはんへの思いは様々です。

そんな時の救世主がこちらのお宿「サリーガーデンの宿 柳屋」。湯治宿と美食レストランのハイブリッド設計で、その時の気分で多様な泊まり方が選べるのです。

宿の中庭で地獄蒸し料理に挑戦

別府温泉郷というと、にぎやかな町中の温泉も楽しいのですが、のんびりと湯治気分を味わうなら、鉄輪(かんなわ)温泉がおすすめです。高温の温泉が湧く鉄輪温泉地区は、源泉を温泉として利用するだけでなく、蒸気の部分は、古くから調理や冷暖房など生活のエネルギーとして活用しています。お台所には、ガスや電気ではなく「地獄蒸し」の釜があって、バルブをひねると温泉の高温蒸気がシュウシュウとでてきて、食材がおいしく蒸しあがるのです。そう、名前は地獄でも、実は極楽な、地球のパワー利用というわけです。

宿の中心となる中庭の部分には、ずらりと地獄蒸しの釜が並んでいます。温泉の蒸気がふわふわと立ち上っていて、あったかい湯気を眺めているだけで、なんだか癒やされてしまいます。ここは、宿泊者がいつでも利用できるキッチン。竹ざるやお皿などもそろっていますので、いざ、鉄輪温泉でしか体験できない、温泉蒸気蒸し=地獄蒸し料理に挑戦です。

宿の玄関を出た路地には、地元のみなさん御用達のお店があり、ひとり滞在にも強い味方。数種類の野菜を少しずつセットにした「地獄蒸しセット」も売っているし、魚屋さんも、エビ1匹、魚1切れでも、気楽に買える優しい街。

調理器具もきれいに置かれている

地獄釜の横には、食材ごとに何分くらい蒸すとおいしいという目安も書かれていて、気楽にチャレンジできます。塩分を含む温泉の蒸気で、野菜の甘さが引き出されます。お魚や肉、卵などもうまみたっぷり。ごはんだって、パンだって、蒸せば、ふわふわほっかほか。ヘルシーでおいしい温泉蒸し料理のごちそうです。この場所は、滞在中のゲストがなんとなく集まってくる憩いの場。「何を蒸したんですか?」「今日は昨日よりうまくできました」「わあ、おいしそうですね」などと、会話も弾んで和気あいあいと過ごせます。

新館・旅館部の部屋

「サリーガーデンの宿 柳屋」は、古くからあった湯治宿を引き継いだ橋本栄子さんが、独自のセンスで改装。館内には、造形作家・望月通陽氏のデザインの暖簾(のれん)や作品が、山野草の生け花と一緒に飾られていて、歴史を感じる建物のすてきなアクセントになっています。どの部屋もひとり宿泊が可能ですが、ゆったり過ごしたい時は、新館・旅館部で畳の和室にベッド、部屋は最小限でいいという時には、本館・湯治部のシンプルな和室と、バリエーションが豊富なのがうれしい。

イタリアン「オット・エ・セッテ オオイタ」店内

さらに、この宿のすごいところは、食事が選べること。なんと、中庭に面している建物部分に、イタリアンのシェフ梯哲哉(かけはし・てつや)さんの店「オット・エ・セッテ オオイタ」が、旅館にビルトインする形で存在しているのです。自分で地獄蒸しを作るのも楽しいですが、「今日は、何にもしたくな~い」「今回の旅は、自分へのご褒美においしいディナーが食べた~い」というひとり温泉旅には、2食付きのプランを選択すれば、地獄蒸しイタリアンのディナー付き。

地獄蒸しで調理する梯シェフ

梯シェフが作る料理は、大分県の食材にこだわり、飲むこともできる宿の温泉水や、地獄蒸しの調理法を駆使して、鉄輪温泉でしか食べることができない美食のフルコース。

大分の食材がぎっしり詰まった前菜

プレリュードと題された前菜は、木箱の上に三つのお料理が並んでいます。左から干し柿とクルミの白あえ、イノシシ肉のパテ、紫芋。「下にもお料理があるんですよ」そっと引き出しを開けると、薫製の煙の中に大分の野菜や魚介がぎっしり詰まっていて、もう、最初の一品からワインが進んでしまいます。

やわらかな肌触りの温泉

温泉は雰囲気の違う大浴場があり、時間によって男湯と女湯を入れ替えています。宿の敷地にある自家源泉をかけ流しで利用。こちらの浴室には内湯と露天風呂、そして、バルブをひねると源泉の蒸気がでてくる「温泉蒸気の蒸し風呂」もあります。泉質はナトリウム-塩化物泉で、pH3.3の弱酸性。塩の成分が肌をベールのようにおおいますので、しっとりぽかぽかが持続します。鉄輪温泉のエリアはメタケイ酸が豊富な温泉が多くてこの宿のお湯も477.7ミリグラム含有。メタケイ酸は美容的な言い方をするならブースター的な役割。温泉で肌がしっとり潤うのを助けてくれます。

ところで。この記事を読んで、地獄蒸しの自炊にも挑戦したいけど、シェフの美食イタリアンのディナーも食べたい、と、お悩みの方には、「2泊3日で地獄イタリアンと本場・地獄釜を体験」という欲張りプランがあります。旅人ゴコロをわかってくれる宿ならではの幸せ滞在です。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.ぜいたく、シンプル、滞在の部屋が選べる
2.シェフの美食、自炊、どっちも楽しい
3.保温&保湿の湯で冬の旅にもぴったり

サリーガーデンの宿 湯治柳屋
https://beppu-yanagiya.jp/

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PROFILE

石井宏子(いしい・ひろこ)

いしいひろこ

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

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