宝石のようなオリーブ手摘みとエンジェルロード 香川・小豆島

  • 文・写真 こだまゆき
  • 2018年11月15日

小豆島のオリーブ農園「井上誠耕園」でオリーブの収穫体験をしてきました

オリーブの産地といえばスペインやイタリアなどの国を思い浮かべる人が多いと思いますが、国内の産地といえば瀬戸内海に浮かぶ小豆島。三重、鹿児島、香川の3県にオリーブの苗木が試験的に植えられたのが今から110年前の1908年。その時に唯一、栽培に成功したのがこの小豆島だったのです。今では国産オリーブオイルのシェア8割以上を誇る「オリーブの島」となりました。今回はそんな小豆島でオリーブの収穫体験をしてきました。

<小豆島の写真をもっと見る>

高松港から土庄港まではカーフェリーで約60分の船旅。きらめく海と美しい島影を眺めていたらあっという間でした。所要時間約35分の高速艇も

小豆島の土庄港に到着後さっそくレンタカーを走らせると、道路脇や民家の庭先など、あちらこちらでオリーブの木が目に入ってきました。こんなにもオリーブが身近にあるなんて! わくわくする気持ちを押さえながら向かったのは「道の駅 小豆島オリーブ公園」。ガイドブックなどで必ず目にする、小豆島を代表する人気の観光地です。

こちらのギリシャ風車は絶好の撮影スポット

約2000本のオリーブに囲まれた「道の駅 小豆島オリーブ公園」は、瀬戸内海を見下ろす小高い丘にあります。オリーブの木と木の間から時折見える青くて穏やかな海。緑や赤、赤紫色などの実が鈴なりになっているオリーブが美しくて、何度もカメラのレンズを向けてしまいました。太陽の光を浴びるとキラキラ輝いているように見えるオリーブの葉っぱもフォトジェニック。散策路を歩きながら、早くも小豆島が好きになってしまったのでした。

オリーブ植栽110周年を記念して設置された「始まりの本」というモニュメント。こちらも「道の駅 小豆島オリーブ公園」の人気のフォトスポットです

今回オリーブの収穫体験をしたのは小豆島で親子3代続く柑橘(かんきつ)・オリーブ農家の「井上誠耕園」です。現在は3代目園主・井上智博さんのもと、約150名の従業員さんが7種類のオリーブと14種類の柑橘類を栽培し、加工から販売までを一貫体制で行っています。スタッフさんの中には島外からの移住者も多く、大阪や奈良、東京、埼玉など出身地は全国各地にわたっています。

海を望む南向きの斜面にある井上誠耕園のオリーブ畑。その面積は東京ドーム3.3個分で5000本近いオリーブの木があるそうです。今は収穫の時期なのであちこちに脚立が

どんどん道幅が細くなる農免道路の脇に車を停めて、急な坂道を歩くこと数分で収穫体験をするオリーブ畑に到着しました。渡された前掛けを腰に巻いたらさっそくオリーブの収穫スタート。茎をつまんで1粒ずつ摘みとり、採ったオリーブは前掛けのポケットに入れていきます。「色はあとで分けますので、この木になっているオリーブはどれでも摘んでもらってオーケーです」とスタッフさん。夢中になって摘んでいるとあっという間にポケットが重くなるのですが、目の前の木にはまだまだ実がたくさん。これは思っていた以上に大変な作業! 気が遠くなります。

国連の旗のモチーフに使われているオリーブは「平和の象徴」とも

実は外国のオリーブ産地では、機械を使って木を振動させ、実を揺らして一気に落とす方法が主流で、1本のオリーブの木の収穫はわずか15秒ほどで終わるのだとか。「傾斜地でオリーブを栽培している小豆島では、外国のように大掛かりな機械を使うのはそもそも無理なんですよ」と3代目。しかし井上誠耕園が一粒ずつ手摘みで収穫する理由はそれだけではありません。一番の理由は、オリーブは傷がつくとそこからすぐ酸化が始まるデリケートな果実だから。品質の良いオリーブオイルを作るためには、手間がかかっても実を傷つけない手摘みが一番という考えからなのです。

品質の良いオリーブオイルを作るために1粒ずつ丁寧に手摘みで収穫されるオリーブ。1本の木を終えるのに3人がかりで半日かかるそう

収穫したオリーブは鮮度を落とさないために24時間以内に、その熟度具合で8段階に選別されます。なぜなら緑色の熟度の若い実は塩漬けや食用オイル用に、黒く完熟したものは化粧用のオイルにと用途が違うから。この熟度別に分ける「選果」作業も体験したのですが、これまた終わりなき作業! 手摘み以上に気が遠くなりました。ちなみに微妙な色の違いは深く考えたらダメなのだとか。素早い判断でパパっと選別していくスタッフさんを尊敬のまなざしで見てしまいました。

オリーブは鮮度が大事。収穫して24時間以内に「選果」の作業をし、敷地内にある搾油所に運ばれます

熟度別で8段階に分けます。スタッフさんがその見本を作ってくださったのですが、なんだかオリーブが宝石のように見えてくるから不思議。そのくらい井上誠耕園では一粒一粒を大切に扱っているのです

タイミングが合えばその後の工程となる搾油工場の見学もできます。オリーブの実はペースト状に粉砕してかき混ぜた後、遠心分離機を使って水分と油分に分けられます。今回は熟す前の緑色の実を搾って出てきたフレッシュオイルの香りをかぐことができたのですが、青りんごのように爽やかでびっくり。オリーブオイルって果汁なんだ!と再認識した瞬間でした。このオリーブの収穫体験は、12月初旬まで開催中の収穫祭2018の一環で1日2回行われているもの(要予約)。見晴らしが良く、そこにいるだけで幸せな気持ちになれる井上誠耕園のオリーブ畑にぜひ足を運んでみてください。

搾油機から流れ出てきたばかりのフレッシュなオリーブオイル。鼻を近づけてみると爽やかな果物の香りが

こだわりを持って作られる井上誠耕園のオリーブオイルや化粧品は、国道沿いにある「らしく園」本館の直営ショップ「mother's」で販売されています。地元の特産品もありますのでお土産選びにもぴったりですよ。

池田港から徒歩10分の国道沿いにある井上誠耕園のショップ。1階は食品や化粧品、雑貨、スイーツなどを販売するショップ「mother's」

2階はさまざまなオリーブ料理が楽しめるカフェレストラン「忠左衛門」。井上誠耕園のオリーブオイルをたっぷり堪能できます

この日、3代目園主・井上智博さんのおすすめで足を運んだのが、「小豆島八十八ケ所霊場」のひとつ「西の瀧」です。小豆島には、四国のお遍路さんとは異なる八十八の霊場があって、それを周るお遍路さんがいるのです。ちなみに小豆島遍路の道程は約150キロで、1週間程でぐるりと周るのだとか。1000キロを超えると言われる四国遍路は無理でも、小豆島遍路ならできそう?なんて、ちょっとだけ興味が湧いてしまいました。

小豆島八十八ケ所霊場の第42番札所「西の瀧」へ続く長い石階段

井上誠耕園のオリーブ畑から、さらにつづら折りの道を車で上がっていった先にある「西の瀧」。小豆島に14カ所ある山岳霊場のひとつにも数えられているだけあって、そのロケーションたるやダイナミック! 本堂は切り立った岩壁のふもとに建っていて素晴らしい眺めでした。

「西の瀧」からはご覧の見晴らし。この写真にはありませんが、エンジェルロードも見えましたよ

小豆島の名産品といえば醤油(しょうゆ)、そうめん、佃煮(つくだに)など。この旅では「金両醤油」で小豆島醤油とガーリックオイルをお土産に。そして「なかぶ庵」で生そうめんを食べてきました

今回はエンジェルロードに一番近い「小豆島国際ホテル」に宿をとりました。別名「天使の散歩道」とも言われるエンジェルロードは潮の満ち引きで現れる砂の道のこと。引き潮のときには歩いて渡ることができ、大切な人と手をつないで渡ると願いがかなうというロマンチックなうわさがあることから縁結びスポットとしても人気の観光地になっています。

小豆島国際ホテルの客室はすべてオーシャンビュー。今回泊まった最上階プレミアムツインルームからはエンジェルロードを望む絶景が

小豆島国際ホテルのフロントには、その日の最大干潮時刻が張り出されているので安心です。「引き潮の前後2、3時間は歩けますので、明日は朝食前のお散歩に渡ってみてはいかがですか?」なんていうアドバイスも。夕方、お部屋から眺めたときは海に消えていたエンジェルロード。その幻想的な光景は小豆島の忘れられない思い出になりました。

夕暮れ時のエンジェルロードは海に消え。自然がおりなすはかない現象にしばらく目がくぎづけでした

■井上誠耕園
https://www.inoueseikoen.co.jp/

■井上誠耕園収穫祭2018
https://www.inoueseikoen.co.jp/lp/rashiq/event181006.php

■道の駅 小豆島オリーブ公園
http://www.olive-pk.jp/index.html

■小豆島国際ホテル
http://www.shodoshima-kh.jp/

<小豆島の写真をもっと見る>

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

こだまゆき

こだまゆき

フリーライター。知らない土地での朝食がなによりも楽しみなフォト派のライター。iPhoneで撮るのも一眼レフで撮るのもどちらも好き。自由で気ままな女性ならではの目線で旅のレポートをお伝えしています。執筆業は旅関連の他、ガジェット、雑誌コラム、インタビューなど。趣味は顔ハメパネル。

今、あなたにオススメ

Pickup!