あの街の素顔

ベトナム、メコンデルタの町カントーでローカル&ワイルド体験

  • 文・写真 鈴木博美
  • 2018年11月20日

ホーチミンシティーから一足のばして

  

総延長4000キロあまり、世界有数の大河メコン川は、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れ、南シナ海に注ぐ。河口に広がるベトナム南部のメコンデルタ地帯では、いくつもの支流に分かれ、米や果物を中心とした豊かな農作物を育んでいる。

そんなメコンデルタで最も大きな都市であるカントーは、ベトナム南部の玄関口となるホーチミンシティーから車で南へ約4時間。日本ではあまり知られていないが、古き良きベトナムらしさが垣間みられることから、欧米人旅行者の間では人気のデスティネーションのひとつだ。

船が行き交うメコン川の水上マーケットは必見

  

カントーの名物と言えるのがカイランという場所で行われている水上マーケット。カントーの中心地から南に船で30分ほどのメコン川の支流で行われるこの水上マーケットは、夜明けとともにメコンデルタで採れた野菜や果物などをいっぱいに積んだ船が集まり、船上で売買が行われる。大きな船は卸業者で、小さな船はここで仕入れをし、町や村に戻り、地元の商店に卸すシステムだ。

  

船に掲げられたさおには、キャベツやカボチャ、パイナップルなどの作物がくくりつけられているが、これは船で売っている商品が一目でわかる看板みたいなもの。観光客も小さな船から商品を買うことができ、パイナップルなどの果物はその場でカットしてもらい食べることも可能。にぎやかで騒々しくもあるこの水上マーケットは、メコン川流域に住む人々の息吹そのものだ。

  

  

米麺はこうやって作られる!

  

ベトナムは日本同様に米の食文化だ。白いご飯はもとより、米麺にライスペーパー、フランスパンまで主食のほとんどが、お米からできている。特に麺は日本でも知られるフォーの他にも太さや形状で呼び名が変わるほど。ここカントーでは「フーティウ」という細くて平たい麺が主流となり、街には多くの製麺所がある。水上マーケット見物の後は、そんな製麺所を見学するのが王道だ。

  

フーティウを作る工程は、まず米を砕いて水と混ぜた生地を作るところから始まる。それを鉄板に丸く伸ばし、焼き上げるというより蒸し上げるという感じでクレープのようにしていく。次にザルで天日干し、乾燥後に機械で切ればフーティウが完成する。至って単純作業だ。

  

製麺所では、米粉の生地を鉄板でクレープ状に焼く作業に挑戦させてくれるが、これが案外難しい。破けないよう薄く伸ばすには修業が必要のようだ。製麺所で販売しているフーティウは完全に乾燥させていない半生タイプ。もちもちとした食感のフーティウは、この直売所でしか買えないそうだ。保存期間は1カ月ほどなので自宅で思い出の味を再現してみるのもいいかもしれない。

ワニを釣ってブタレースに興じる

  

近年、経済成長が続くベトナムでは、国内旅行がブームとなっており、家族で楽しめる施設が急増している。カントー郊外にある「ミーカン・ツーリストビレッジ」もそのひとつ。広大な敷地に宿泊施設やレクリエーション施設、果樹園が広がる観光村だ。

ここの目玉のひとつが「ワニ釣り」。肉をつけた釣りざおをワニが放された池に垂らして食いつくのを待つ。当然、針はついていないのでワニを傷つけることもなければ、釣り上げることも不可能。ワニとの駆け引きを楽しむ遊びなのだ。じっと待っているかと思うと、素早い動きで襲いかかってくる。肉を取るか取られるかの攻防戦だ。長引くほどギャラリーが集まり盛り上がる。

  

1日3回開催されるブタのレースは、出走ブタの仕上がり状態を見てレースの予想をする。ブタの投票券2万ドン(110円)を買い、見事的中した人は、金色の豚の貯金箱がもらえる。豚レースの次は隣でドッグレースが始まる。ドッグレースといえばグレイハウンド犬がトラックコースを駆け抜けるのを思い起こすが、こちらは小型の雑種犬が間仕切りした庭を走るほのぼのとしたレースだ。

  

施設内にはレストランもあるので、昼食を兼ねて遊びに行くのもおすすめだ。カントーの名物「オニテナガエビ」の炭火焼きを塩レモンでいただく。素材の味を楽しむシンプルな調理法は日本人にとても合う。

メコン川を望む、優雅な時間を約束してくれるリゾートホテル

1.ヴィクトリア・カントー・リゾート

  

メコン川の支流となるハウ川のほとりに立つ「ヴィクトリア・カントー ・リゾート」は、フレンチコロニアルスタイルでインドシナの香り漂う優雅なリゾート。南国の花が咲き誇るガーデン、大きなプール、川から運ばれてくる風が心地よいオープンエアのスパなどで1日優雅な気分に浸ってリラックスして過ごしたい。

  

ハウ川を望むスパイス・レストランでは、屋内、テラスの好きな場所で、地元の食材を生かしたベトナム料理はもちろん西洋料理も楽しめる。朝食ビュッフェでは、ライブキッチンでの各種麺料理、焼きたての本格パンに自家製ジャム、色とりどりの南国フルーツ、点心など、目移りしてつい食べ過ぎてしまう。

2.アゼライ・カントー

  

カントーは近年、リゾート地としても知名度をあげ、新しいホテルが続々とオープンしている。その中でも注目がハウ川に浮かぶ小島に立つ「アゼライ・カントー」。ラグジュアリーリゾートの代名詞「アマン」の創始者であるエイドリアン・ゼッカ氏が手がける新ブランドだ。リーズナブルでありながら極上の滞在を提供する。敷地内には、樹齢100年を超えるバンヤンツリーが群生し、ナチュラル感を際立たせている。

  

客室はヴィラタイプ。木のぬくもりとアースカラーが特徴的だ。シンプルながら高級感あるリバービュー・ルームの大きな窓を開け放てば目線の先に広がる緑とハウ川。やわらかな風の香り、遠くから聞こえる軽やかな船の音とともに上質な時間を満喫したい。

メコンデルタの中心となるカントーは、経済成長に伴いインフラ整備が進み、リゾート地として注目されつつある一方で、古き良きベトナムが残る注目の街。今が行き時だ。

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■取材協力
ベトナム航空

PROFILE

鈴木博美

鈴木博美
旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、ベトナム・カンボジア編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。

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