迫力満点の断崖絶壁・摩天崖に圧巻 隠岐西ノ島ハイクの旅

  • 文・写真 熊山准
  • 2018年12月4日

自然が生み出した国賀海岸・摩天崖の絶景だよ!!

はじめまして! いきなり金髪のおっさん人形が登場して面食らわれたかもしれません。こいつは“ミニくまちゃん”と申します。ライター熊山准の「ゆるキャラ」として7年ほど前に誕生して以来、日本国内はもとよりハワイにスペインにエベレストにと世界中を旅しております。いわゆる「ぬい撮り」というスタイルですね。

そんなミニくまちゃんがこの秋訪れたのは、島根半島の沖合約50キロに浮かぶ隠岐諸島の西ノ島。島前(どうぜん)と島後(どうご)とに分けられる隠岐の二つのエリアのうち、島前三島と呼ばれる三つの島の中心となる島です(ほかには中ノ島と知夫里島があります)。隠岐全体がユネスコの世界ジオパークに登録されているのですが、なかでも圧巻の絶景が広がっているのがここ西ノ島。今回はその大自然を歩きまわろうという魂胆です。

で、いきなり核心に入っちゃうんですが、この西ノ島のいちばんの見どころは何といっても日本離れした断崖絶壁と牧草地が7キロにわたって広がる国賀海岸・摩天崖(くにがかいがん・まてんがい)です。

国賀海岸の対岸の赤尾展望台から。複雑に入り組んだ地形も美しいね

約600万年前にはじまった火山噴火によって生まれた隠岐諸島。2万年前の氷河期には本土と地続きでしたが、やがて温暖化による海面上昇で現在の姿になりました。200〜250メートルもの切り立った崖が続く国賀海岸は、日本海の荒波と風雨による浸食でかたちづくられたのだそうです。

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お馬さんも近くで見られるよ

この摩天崖をより日本離れさせているのは、崖上に広がる牧草地と放牧された牛さんやお馬さんの姿でしょう。まるでヨーロッパのようなのです。

なぜ牛や馬がいるのか? 歴史的に漁業とともに牧畑による農業と畜産業が盛んだった西ノ島。農作を続けると土地がやせてしまうため、一定の周期で段々畑での農作と放牧をくり返していた、その名残が国賀海岸だそうで、かつては島全体にこのような牧草地帯が広がっていたのだとか。ああ、その姿も見てみたかった。

国賀海岸ハイクのハイライト「通天橋」。海と空とのコントラストが映える  

摩天崖には、崖から海まで歩くことができるハイキングコースが整備されていて、誰でも気軽に散策を楽しむことができます。所要時間は上りで1時間、下りで45分ほど。楽ちんなのはもちろん下りですが、徐々に高度を増してゆき最後にご褒美の絶景が広がる上りコースも達成感たっぷりなので体力に自信のある方にオススメです。ぼくはというと、下りコースを選びましたけども……。

あちらこちらで牛さんも見かけた。たまに崖から落っこちちゃうのもいるらしい

ちなみに、いくら開放感たっぷりの気持ち良い草原といえども寝っ転がるのは禁物。というのもあたり一面に馬と牛のふんが転がっているうえ、そこにダニがたかるから。島の人によると立っているだけでもはい上がってくるそうなので、サンダル履きも避けた方がよいでしょう。チョー絶景なんですが長居は禁物という矛盾!

もうひとつ、西ノ島オススメのハイキングコースが焼火(たくひ)山への登山です。8合目付近に、古くから隠岐の漁師はもとより三陸エリアまで広く信仰を集めた焼火神社が鎮座する信仰の山。登山道はいくつかあるのですが、ちょっと汗をかきたい方に向いているのが北東側の大山ダムからアプローチする旧参道のコースです。

森林の中をひたすら歩きます

現在でも旧正月に漁師たちが船で乗り付け山頂を目指すという参道は国賀海岸と異なり、うっそうとした森林中心のトレイル。展望も山頂までおあずけながら、明治時代に設置された一町(108メートル)ごとの石仏がところどころ残っているため飽きることがありません。対馬海流のおかげで意外と冬でも温暖な西ノ島(の南側)ゆえ常緑樹が多く紅葉はごく一部でしたが、四季折々の自然を楽しむことができます。難易度は、山頂までわずか2時間ほどの道のりなので、首都圏なら高尾山(東京都八王子市)の稲荷山コースが歩ける方なら余裕でしょう。今シーズンほとんど山に行けなかったぼくでも、ちょいと汗ばむていどで済みました。

焼火山の山頂近くから望む壮大な景色。手前右手が中ノ島、奥でかすんでいるのが島後エリア

山頂付近の展望台からは中ノ島と島後を一望。もとは西ノ島と中ノ島、知夫里島がひとつの火山で、いま海面上に残っている島前の島々がカルデラの外輪山だということがよくわかります。

焼火神社にたどりついた。自然と一体になった本殿

そして焼火山もうひとつのハイライトが焼火神社。岩にめり込むように建てられた圧巻の本殿は、通殿、拝殿ともに国の重要文化財に指定されています。平安時代、海から三つの火の玉が焼火山に飛び込んだという伝説に由来する神社。隠岐汽船のシンボルマークが神社ゆかりの模様でもあるのは、航路創設者が焼火神社の宮司だったからというのはちょっとしたトリビアかもしれません。焼火神社の現宮司・松浦道仁さんは西ノ島町観光協会の会長でもあり、タイミングがよければ社務所で宮司がたてたお抹茶をいただくこともできますよ。

結構なお点前(てまえ)でした 

社務所からの景色もよく気持ち良い。

そんなこんなでまるで違った魅力の二つのハイキングが楽しめる隠岐西ノ島。他にも島流しにされた後醍醐天皇が住んでいた黒木御所跡に、手でイカがすくえる地とて知られる隠岐一ノ宮・由良比女(ゆらひめ)神社、そしてもちろん日本海の海の幸たっぷりの島グルメ……とハイク以外の魅力は盛りだくさんなのですがそれはフォトギャラリーにて。ともあれ島で生まれ育った人でも「たまに行っちゃうからね」という摩天崖は、一度は見ておいた方がよいかと存じます。

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PROFILE

熊山准(くまやま・じゅん)ライター/アーティスト

1974年、徳島県生まれ。北海道・沖縄の大学生活からリクルートを経て、2004年「R25」のライターとして独立。IT、ガジェット、恋愛、旅、インタビューなどさまざまな分野・媒体での執筆のほか、自らのアバターぬいぐるみを用いたアート活動を行う。第1回妖怪そっくりコンテスト境港市観光協会長賞、2015年マレーシア・サバ州観光大賞メディア部門・最優秀海外記事賞。ライフワークは夕焼け鑑賞。

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