京都ゆるり休日さんぽ

一箱の贈りものがつなぐ口福。美しいおもたせ専門店「白」

  • 文・大橋知沙
  • 2018年12月7日

「おはぎ」(6個入り1620円・税込み)

久しぶりに会うあの人に、帰りを待つ家族に。手みやげを選ぶ機会が多くなる12月。選ぶ時間をも豊かにしてくれるおもたせの専門店が、ひっそりと祇園の路地にオープンしました。店の名は「白(はく)」。ギフトの店にしてはあまりに慎ましいその名前は、一つの贈りものがもたらすいくつもの幸せや喜びを静かに物語っています。

祇園の閑静な路地にたたずむ、おもたせ専門店「白」

「白という字は、一を足すと百になります。一日一つ、おいしいものをいただくだけで、九十九の幸せに気づくきっかけになるように。そんな思いを込めて名づけました」。そう語るのは「白」のスタッフ・近藤由紀さん。ごくシンプルな文字遊びに込められた知的で豊かなメッセージは、贈る人の気持ちをも伝えてくれるかのようです。

みずみずしいあんこと和三盆の穏やかな甘みが絶品

そんな「白」の一番の人気の品は、竹皮の箱にぎっしりと詰まった「おはぎ」。北海道産の大納言をしっとりと炊き上げた粒あんで京丹後米の餅(もち)を包み、和三盆で上品な甘みを加えたものです。見るからにジューシーなあんこは、ほおばるとするすると口の中で溶け、あずきと餅の粒感をアクセントに残しつつ、ぺろりとおなかに収まります。あんこ特有のざらつきや強い甘みの印象ががらりと変わるほど、みずみずしく軽やか。和菓子好きなら、つい「もう一つ」と手が伸びてしまう逸品です。

レモンをうつわに見立て、ゼリーを流し込んだ「枸円」(3個入り2700円・税込み)

おはぎの他にも、レモンを丸ごとゼリーに仕立てた「枸円(くえん)」、へしこ(サバのぬか漬)をレモンの風味の寿司(すし)ににぎり柿の葉で包んだ「へしこ寿司」や、おこわ風の寿司飯に利休麩(ふ)をのせ、クミンを隠し味に使った「麩すし」など、見た目にも味わいにも、自然と文化を感じさせるおもたせがそろいます。竹の皮や柿の葉などを用いた風雅なパッケージは、日本で昔から使われてきた包みの技法。自然の趣を添えながらも、殺菌作用にすぐれ、保存性を高めるという古くからの知恵が詰まっています。

へしこ寿司や麩すしはどれも野趣を感じる包み

「料理の世界では野趣と呼ばれる自然の気配を、おもたせでも感じていただきたくて。それでいて、ここは京都。古都の洗練と現代的な素材づかいも大切に、素朴になりすぎないバランスを大切にしています」。日持ちはおはぎが当日中、へしこ寿司は3日間、麩すしは2日間。自然の素材と昔ながらの包み方でできる日持ちを最大限に考慮しながら、毎日作りたてのおもたせが店に並びます。

包みを待つ間、お茶のふるまいが。月に1度、中国茶の先生を招いてのもてなしもある

贈りものを包んでいただくのを待つ間、カウンターでは自然茶をふるまっていただけます。季節ごとに変わる花のしつらえや窓際の庭の景色、茶杯の意匠などを眺めつつ、ゆったりとお茶を味わって準備が整うのを待つ。その時間は、贈りものを選んでいる自分自身も、ギフトを受けとる側になったかのようにワクワクと心躍ります。

すべて手作りのおもたせ。30日ほど日持ちするものも

「あの人はこれ好きそうだな」「包みを開けるときの喜ぶ顔が楽しみ」「一緒においしいお茶をいれていただこう」……。おもたせを選ぶときに浮かぶいくつもの思いは、一箱のおいしいものが気づかせてくれる、九十九の幸せのうちの一つ。記憶に残る贈りものは、受けとった人が次に誰かへのギフトを選ぶとき、きっと心に浮かぶはずです。手から手へ、人から人へ。贈り贈られてつながる思いは、九十九ではとても数え切れないほど、たくさんの幸せをもたらしてくれそうです。(写真・津久井珠美)

美しいしつらえやもてなしで、選ぶ時間も心満たされる



https://haku.kyoto.jp/

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PROFILE

大橋 知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブック、カフェ、雑貨などのムック本・書籍を中心に取材・執筆を手がけるほか、手仕事や印刷の分野でも書籍の編集に携わる。主な編集・執筆に『恋するKYOTO雑貨』(成美堂出版)、『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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