太公望のわくわく 釣ってきました

脂ノリノリの寒グレ釣り エサ取りとの果てしなき闘い 和歌山

  • 文・写真 安田明彦
  • 2018年12月25日

グレ釣りでは有名なポイントの鷹島

寒い季節が来るとおいしくなる魚があります。一般的に知られているのが、寒ブリや寒サバといった魚でしょう。

釣りのターゲットにはなりますが、あまり一般的でないのがグレです。最近では、スーパーでもたまに見かけるようにはなりましたが、なかなか市場には回ってこない魚で。磯釣り師の間では、グレは寒い季節が脂ものって、もっともうまいシーズンと言われているのです。

グレは関西近辺の地方名で、九州ではクロと呼んでいます。標準名ではメジナとクロメジナの2種類があります。メジナを口太(くちぶと)、クロメジナを尾長(おなが)とも呼び、磯釣り師の間では、口太と尾長で通ります。関東圏ではメジナを口太メジナ、クロメジナを尾長メジナと呼んだりします。磯のグレ釣りは、関西、四国、九州地区など、西日本中心に行われてきたようです。

寒グレを狙って行ったのは、和歌山県湯浅町の沖磯です。湯浅湾内はチヌ(クロダイ)釣り場として有名ですが、グレももちろん釣れます。以前行って、そのグレの味の良さにほれ込み、ひとりで12月11日に行ってきました。磯渡し期間は2019年1月末までで、2月は休んで3月から再開します。単独行にしたのは、北西の風が吹くと沖磯に行けないというリスクがあったからです。寒い時期においしくなる魚なのに、冬場に吹く季節風の、北西風には弱いという、何とも皮肉な話です。

当日は冬に入ってから一番の冷え込みとなり、渡船の甲板には真っ白に霜が降り、滑ります。とは言っても、海水温は例年よりはいくぶん高く、沖へ行けば17度を超えていました。

鷹島のカンドリという磯に上がらせてもらいました。湯浅の一級磯です。

グレのフカセ釣りでは、マキエは重要なアイテムの一つ

まず、磯の上でマキエづくり。生のオキアミと集魚材を混ぜ合わせます。グレ釣りというのは、海底の巣穴などに潜んでいるグレを、マキエで上層へおびき出して釣るのが基本です。なので、マキエは欠かせない存在なのです。それから仕掛けづくり。ハリスは1.5号を。前回行った時に、さほど大きいサイズが釣れるわけではないとわかっていたため、号数を決めました。

潮の流れや、エサ取り(本命以外の魚)の状況を見るため、手前にマキエします。潮は流れず、エサ取りはオセンと呼ばれるスズメダイがわんさと出てきます。その下にちらちらとグレの姿が。

最初は、マキエの位置と、仕掛けすなわちサシエを入れる位置とをずらして投入する作戦にしました。マキエに反応して浮いてきたグレを遠くで狙おうということです。これで最初の1尾はゲットできて、ボウズは逃れました。25センチあるかないかのレギュラーサイズで、ここでは、このサイズ以上がキープとなります。

最初に釣れたグレ。釣れるかどうかはエサ取りとの知恵比べ

何尾か釣っていくと、ウキが着水するとオセンが群がってくるようになりました。ポイントをずらして仕掛けを投入し何尾かゲットするうち、あたり一面エサ取りだらけに。こうなると仕掛けを大遠投するか、マキエを打った位置へ仕掛けを入れ飛び上がってきたグレにサシエを食わせるかです。

マキエすれば、水面が真っ黒になるほどオセンがわいてくる

まず、マキエにかぶせるように仕掛けを投入し、連続で釣り上げましたが、リリースサイズがほとんど。元気なのは、小型が多いんですね。

これがオセン

マキエを打つのをやめ、仕掛けをチェンジ。遠投用にタナは4ヒロ(約6メートル)に設定しましたが、サシエが残るだけで本命は釣れず。また、マキエの中を釣る仕掛けにチェンジ。

弁当配りを兼ねた見回りの船長さんがやってきました。冬の磯釣りでは、少しでも温かいお弁当が、何よりのごちそうになります。そして、うまさも倍増するのです。配られて、すぐに完食しました。これで、グレも入れ食いになってくれたらなー。

寒い冬の磯釣りでは、少しでも温かいお弁当はうまくてほっこりする

潮が下げ潮になり、左へ流れる潮がはっきりしてきました。これなら、手前にまいていたマキエも少しは潮下へ流れて、マキエの効果も表れるはず。

磯の上、つまり地上からは、海の中は想像の世界でしかないのです。たった一つのサシエを、狙った獲物に食わせるのが釣りのだいご味でもあるのです。その最たるものが、磯のグレ釣りに代表される、フカセ釣りです。

本命やいろいろな魚が釣れるといった結果が出ることで、それまでやっていたことが正解になるわけです。はたして、正解は出るのか……。

5、6回ほど流したとき、明らかにウキが海中へと引き込まれたのですが、タイミングが合いませんでした。サシエは残っていませんでした。

アタリが出たということは、少し、正解に近づいていると、思ってよいのです。で、数投後に正解が出ました。25センチながら本命のグレです。釣れること、すなわち正解かどうかが重要です。大きさはその次です。

エラぶたの縁が黒くなっていたら尾長の証拠

続いて磯ベラが釣れました。ということは、きっちり仕掛けは4ヒロまで落ちて、底近くを流れていると想像できます。

磯ベラが釣れることは、サシエが底近くまで落ちでいる証し

で、合わせると、ギューーンと竿(さお)がひん曲がりました。道糸を出すと、海中では相手の方が有利ですから、ここは竿で目いっぱいこらえます。走りが止まり、2度3度と巻き上げてきたときに、またも突っ込まれたのです。ズルズルという感触の後に、テンションがなくなりました。ハリスが根で傷ついて切られていました。得体のしれない大物にやられてしまったのです。これを釣っていれば、大正解だったかも。でも今回は、正解に近づけたことで満足感があります。

10尾釣れ、1尾を放流。このあとさらに1尾を放流

仕留めたグレ10尾のうち、8尾を持ち帰りました。おいしいグレは、小さくてもたたきにしました。うまいですね。4尾は干物に。妻も「ええあんばいで、おいしいわー」と。もちろん、作った自分も、大満足の塩加減でした。

おいしいグレは、皮をあぶってたたきにし、野菜と一緒に食べる

冬は乾燥しているので、干物造りに最適。いいあんばいに出来上がった

なぎ丸
http://www.naxnet.or.jp/~nagimaru/

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PROFILE

安田明彦(やすだ・あきひこ)釣りライター

1959年大阪市生まれ。父親の影響で子供のときから釣りが大好き。大学卒業後、釣り週刊誌の記者、テレビの釣り番組解説者などを務め、「やっさん」の愛称で親しまれる。あらゆる釣りを経験するが、近年は釣って楽しく、食べてもおいしい魚だけを求めて行くことが多い。釣り好き、魚好きが高じて、居酒屋を営んだこともある。

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