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ここに注目! 2019年に訪れたい話題の城

  • 文・写真 城郭ライター 萩原さちこ
  • 2019年1月7日

彦根城。ここ数年の整備で木々が伐採され、彦根駅や城下からも天守や石垣がかなり見えるようになった

新たな年のスタートだ。今年もたくさんの城をめぐり、その魅力をお届けしたいと思う。さて、実は2019年に注目の城はたくさんある。というのも、近年は城を訪れる人の増加に伴い、全国の城で調査・整備事業が活発化しているからだ。月山富田城(島根県安来市)や彦根城(滋賀県彦根市)、米子城(鳥取県米子市)のように、木々が間伐され、見違えるほど見栄え良く、歩きやすくなった城も多い。

月山富田城。山中御殿から見上げる、七曲がりと呼ばれる登城道。かつては森の中に入っていくような印象だったが、整備によって道筋がよく見えるようになった。山城の整備としては画期的で大きな話題だ

米子城。発掘調査や整備が精力的に進んでいるほか、期間限定のライトアップイベントなど人気で多くの市民が訪れている。元旦には、山頂で初日の出を見るイベントも

発掘調査も盛んだ。なかでも注目は、やはり信長の城。1576(天正4)年から築かれた安土城(滋賀県近江八幡市)で信長の城は一変した、という定説はここ数年で覆り、信長の新しい城づくりは1563(永禄6)年から築いた小牧山城(愛知県小牧市)までさかのぼれることがほぼ確実となった。数年前から発掘調査をしている小牧山城では毎年驚きの新事実が見つかり、信長が築いたとみられる3段の石垣や虎口空間のほか、2018年度には主郭付近で信長の屋敷と思われる建物の存在が確認されたばかりだ。2019年度も発掘調査は継続されるため、引き続き目が離せない。

信長が小牧山城の後に居城とした岐阜城(岐阜市)でも、本格的な調査が入っている。金華山の中腹で信長時代とみられる石垣が新たに発見されたうえ、2018年10月には山上で初の発掘調査があり、信長時代とみられる石垣が確認された。すぐに全容が解明されるとは思えないが、それほど壮大で夢のある調査・研究が進んでいるともいえよう。

岐阜城。信長の城づくりが解明されはじめている

2019年が節目の年となる城もある。築城開始から400周を迎える明石城(兵庫県明石市)や、福山城(広島県福山市)だ。1615(慶長20)年の一国一城令によって、全国の築城の歴史はストップする。そのため1619(元和5)年の築城は珍しく、特別な意義が必ずある。その理由と価値については、いずれこの連載でお届けしよう。

明石城では記念イベントが開催されるほか、福山城では福山城築城400年記念事業実行委員会の事業計画に基づいて、伏見櫓(やぐら)と筋鉄(すじがね)御門の国宝化を目指した調査を実施する動きがある。メモリアルイヤーならではの大きな歴史的発見も期待できそうだ。

福山城の伏見櫓。国宝化に向けた動きも注目される

少し気が早いが、2020年の大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」の主人公、明智光秀ゆかりの城もすでに盛り上がりを見せている。関連する城は、坂本城(大津市)、福知山城(京都府福知山市)、周山城(京都市)、亀山城(京都府亀岡市)など。大河ドラマ「真田丸」の放送中に大坂城(大阪市)の真田丸を描写した絵図が松江市で発見されたように、大河ドラマが歴史解明の起爆剤になることは少なくない。明智光秀は謎めいた人物だけに、城や歴史にまつわる新発見が期待される。今年で第26回となる全国山城サミットも、2019年は明智光秀生誕の候補地である岐阜県可児市で開催予定だ。

福知山城。丹波を平定した明智光秀が築いた

石垣が激しく崩落した丸亀城(香川県丸亀市)をはじめ、昨年は災害により多くの城が甚大な被害を受けた年でもあった。地域のシンボルとして力強く立ち上がる、復旧の様子もこの連載でお届けしたい。

丸亀城。2018年7月の西日本豪雨やその後の台風の影響で、帯曲輪(おびぐるわ)の石垣や三の丸坤櫓(ひつじさるやぐら)の石垣が激しく崩落した

(この項おわり。次回は1月21日に掲載予定です)

#交通・問い合わせ・参考サイト

■月山富田城
JR山陰本線「安来」駅から車で20分 ほか
http://www.yasugi-kankou.com/index.php?view=5228
(安来市観光協会)

■彦根城
JR東海道本線・近江鉄道「彦根」駅から徒歩約15分
http://www.hikoneshi.com/jp/castle/(彦根観光協会)

■米子城
JR山陰本線「米子」駅から徒歩20分
https://www.city.yonago.lg.jp/4439.htm(米子市)

■小牧山城
名鉄「小牧」駅からバス「小牧市役所前」下車、徒歩すぐ
http://www.city.komaki.aichi.jp/admin/event_1/midokoro/10983.html
(小牧市)

■岐阜城
JR東海道本線「岐阜」駅から岐阜バス「岐阜公園・歴史博物館前」
バス停下車、徒歩3分でロープウェー乗り場 ほか
http://www.city.gifu.lg.jp/3537.htm(岐阜市)

■明石城
JR山陽本線「明石」駅から徒歩5分
https://www.akashijo.jp/(明石観光協会)

■福山城
山陽新幹線・JR山陽本線「福山」駅から徒歩5分
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyamajo/
(福山市)

■福知山城
JR山陰本線・福知山線「福知山」駅から徒歩15分
http://www.city.fukuchiyama.kyoto.jp/life/facilities/entries/000594.html
(福知山市)

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PROFILE

萩原さちこ(はぎわら・さちこ)城郭ライター、編集者

萩原さちこ

小学2年生のとき城に魅了される。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演、講座などをこなす。著書に『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『戦国大名の城を読む』(SB新書)、『日本100名城めぐりの旅』(学研プラス)、『お城へ行こう!』(岩波ジュニア新書)、『図説・戦う城の科学』(サイエンス・アイ新書)など。webや雑誌の連載多数。
http://46meg.com/

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