太公望のわくわく 釣ってきました

東京湾で鬼退治! 200メートルの深海から超高級食材をゲットせよ

  • 文・写真 西田健作
  • 2019年1月8日

東京湾で鬼退治? いえ、オニカサゴ釣りです

釣り人が最も誇らしげな表情になる瞬間と言えば、スーパーではめったにお目に掛かれない超高級魚を釣り上げたとき。しかも、そんな魚を東京湾で釣ったとしたら、なおさらです。2019年幕開けの掲載にふさわしい豪華な釣り物を求めて、千葉県浦安市から出船してきました。

狙うは東京湾の深い場所にいるオニカサゴ。1匹釣れれば大満足。ゼロでもやむなしの超高級食材です。新年に向けた大勝負で、見事に「鬼退治」といくかどうか。

船宿吉野屋に明かりがともり、釣り人が集まる

東京ディズニーリゾートで全国に知られる浦安ですが、元々は漁師町。東京メトロ東西線の浦安駅近くの旧江戸川沿いには、今でも船宿が軒を連ねています。この日お世話になったのは、老舗の吉野屋さん。山本周五郎の小説「青べか物語」に出てくる船宿のモデルになったこともあり、東京湾でも屈指の規模で知られています。

東西線の鉄橋の下に釣り船が並ぶ

定刻の午前6時30分の少し前、もやいを解かれたオニカサゴ釣りの船は、旧江戸川から東京湾へと出航しました。左手には、拡張工事中の東京ディズニーリゾート。オニカサゴが潜む東京湾の南端に向けてひた走る船上からは、羽田空港やアクアラインなどを眺めることができます。釣り場まで約1時間45分。寒いけど気持ちいい、東京湾クルージングの時間です。

オニカサゴは、天秤(てんびん)のアームに2メートル前後の2本針仕掛けをつけて狙います。餌は細長く切ったサバ、コノシロ、イカなど。今回の私の餌は、地元産。少し前に浦安の護岸で釣ったコハダ(コノシロ)の切り身を持ち込みました。

コハダは江戸前のすしでは光り物の代表格。皮は輝く銀色です。キラキラしたネタを海中でヒラヒラさせて、深い海の底でじっと上を見つめているオニカサゴを誘う作戦です。

午前8時過ぎ。いよいよ釣りの開始です。160、170、180……電動リールのカウンターが200メートルを示すと、張っていた道糸がふっとふけました。天秤の下に付けた約500グラムのおもりが海底に到着した合図です。

水深200メートルの海底の様子を頭に描いて竿をしゃくる

水深200メートルもの海底で、切り身をいかに小魚のように見せるのか。これが、オニカサゴ釣りの肝。ゆっくりと竿(さお)を持ち上げる人もいれば、シュッと竿を動かす人もいます。私は竿を速めにしゃくって様子をみることにしました。

それぞれの釣り人が秘策を尽くして高級魚を狙う

ほどなくすると、竿先にククっと魚信があって、上がってきたのは20センチほどのユメカサゴ。煮付けにするとおいしい魚ですが、この魚が釣れるのは、仕掛けが底をはっているとき。「ならば、もう少しシャクリを大きくしてみよう」。こうして海の中の様子を想像しながら、釣り人は微調整を繰り返すのです。

最初に釣れたユメカサゴ。煮付けで美味な魚だ

4匹ほどユメカサゴを釣った午前9時ごろ。今までとは違うアタリがありました。竿を立てて合わせると、クククンと竿先がお辞儀します。「ひょっとして」。焦る気持ちを抑え、電動リールのスイッチを入れてゆっくりと巻き上げると、25センチほどのオニカサゴが海面に現れました。小さい……でも、これでゼロ(おでこ)は免れたと、ほっと一息。

さらに1時間後、底付近で小さなアタリが。竿を立てると、竿先がグググ、グググと、さっきより大きくお辞儀しました。巻き上げると、今度は40センチ超のオニカサゴ。真っ赤な姿は、海面に咲く花のよう。なかなかのサイズです。

ついに40センチ超の良型オニカサゴをゲット

心に余裕ができると、さらに好循環になるから不思議なものです。きっと、釣りたい、釣りたいという焦りが消えるからでしょう。ごく小さいアタリに思い切って合わせると、ググググ、ググググ。さらに大きな引き込みがありました。竿のしなりを楽しみながら巻き上げると、46センチ、1.3キロのオニカサゴがタモに。これは、ちょっと自慢できるサイズです。

2匹の良型オニカサゴを手に記念写真。自然と笑みがこぼれる

藤田尚宏船長がスマホを持ってきて、船宿のウェブサイトでの釣果報告用にと、2匹の良型オニカサゴを持った私の記念写真を撮ってくれました。思わず緩む口元。やりました!

午後2時の納竿までに、さらに38センチほどのオニカサゴ、20センチのちびオニカサゴ、40センチ超のウッカリカサゴを追加。資源保護のため、2匹のちびオニカサゴは海に帰ってもらいました。

ウッカリカサゴも釣れた

この日の船中はオニカサゴの釣果が0~6匹だったので、私の5匹はなかなかの成績。良型の超高級魚を1匹どころか3匹もゲットしたので、大大大満足の釣行となりました。

大大大満足で帰路に就く。東京湾に日が沈む

持ち帰ったオニカサゴを改めて台所で眺めると、そのアタマのでかいこと。全長の半分ぐらいが頭で、身はわずか。さすが、超高級魚です。でも、料理してみると、捨てるところがほとんど無いくらい、味わい尽くせる魚でした。

皮目の部分がおいしいので、皮をひかずに、バーナーであぶって刺し身に。珍味の胃袋は、湯がいて細切りに。肝も添えて、ポン酢でいただきました。刺し身はほんのり甘く、胃袋はミミガーのようにコリコリで、肝もちょうどいいトロトロ感。うますぎる。

オニカサゴは皮目をあぶって刺し身に。胃袋と肝も珍味だ

別の日にはオニカサゴ鍋に。真っ赤な色が食欲をそそり、白身はあっさりとして上品な味でした。超高級魚を釣って食べての「鬼退治」は大成功となりました。

これだから、釣りはやめられません。みなさん、2019年もよい釣りを!

オニカサゴ鍋

船宿吉野屋
http://www.funayado-yoshinoya.com/

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

西田健作(にしだ・けんさく)朝日新聞記者

1971年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。15年ほど前に千葉県浦安市に引っ越し、ディズニーランドのすぐ近くで魚が釣れることを知り、釣りにはまる。朝日新聞社では文化くらし報道部で美術担当、映画担当などを務め、現在は同部次長(デスク)。外に出られない平日のモヤモヤから、ますます週末の釣りにのめり込んでいる。

今、あなたにオススメ

Pickup!