旅空子の日本列島「味」な旅

蔵王を望む城下町の温泉街 山形県上山市

  • 文・写真 中尾隆之
  • 2019年1月9日

小高い丘にそびえる上山城天守閣

  • かかしのオブジェのある「かみのやま温泉駅」

  • 町なかに旅館が集まる温泉街の新湯通り

  • 黒あんと白あんがおいしい中條屋の中條饅頭

  • 葵(あおい)御紋付きの十五屋本店「三万石もなか」

  • 沢庵禅師が流されて3年ほど過ごした春雨庵

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山形市の南、蔵王の山並みを近くに望む上山(かみのやま)市は、江戸時代、松平氏3万石の城下町として栄えた。市街の小高い台地に、鉄筋コンクリートづくりながら天守閣や郷土資料館が上山城の雰囲気を伝えてくれる。

城の西側の坂道には200年の風雪に耐えた4軒のかやぶきの武家屋敷や、江戸初期、この地に流された沢庵禅師が3年過ごした建物の春雨庵などが歴史をしのばせる。漬物のたくあんを考案したことで名高い僧侶の不遇の時期だ。

上山のもう一つの顔が、駅名に「かみのやま温泉」とある通り、いで湯の町。550年ほど昔、諸国を行脚中の修行僧が、小池で足を癒やす鶴の姿を見て湯を発見したという。“鶴脛(つるはぎ)の湯”とも呼ばれ、奥羽三楽郷に数えられた。肌に優しいナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩温泉の熱い湯で知られている。

中心街に湯町、新湯、十日町や、郊外に河崎、葉山などの温泉地区があり、共同浴場は5軒、旅館は20数軒、足湯は5カ所を数える。駅から4~5分歩いた道路沿いの前川橋ポケットパークの足湯でひと休みした。

石垣の上にそびえる上山城に昇って市街や蔵王連峰など胸のすくような広い展望を堪能した。その足で坂道沿いの武家屋敷や広やかな春雨庵などをぶらついた。

江戸時代の初め、城主が庶民に初めて開放したという共同浴場の「下大湯」に浸かった。天井が高く、大きめな湯船にあふれる熱い湯はじわりと肌にしみる。たくさんの人々が昼なのに悠々と湯の中でくつろいでいた。

聞けば、共同浴場は午前6時(冬期6時半)から営業で、料金は150円。自宅で風呂など沸かす気になれない安さと営業時間だ。

名物は「板そば」や南郊の楢下宿(ならげしゅく)の「こんにゃく料理」やラ・フランスなどの果物。土産に人気の中條屋の「中條饅頭(まんじゅう)」は、薄めの皮にきめ細かで上品な甘さのあんがしっとりと合うおいしい饅頭である。皮とあんが溶け合う「三万石もなか」も舌にしっとりのやさしい甘みである。

〈交通〉
・山形新幹線・奥羽本線かみのやま温泉駅下車

〈問い合わせ〉
・上山市観光課 023-672-1111
・かみのやま温泉観光案内所 023-672-5703

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

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PROFILE

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター

nakao takayuki

高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

風土47

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都道府県のアンテナショップの情報を集めたポータルサイト。全国的には知られていないけれど味も生産者の思いも一級品、そんな隠れた名品を紹介する「日本全国・逸品探訪」など様々な記事が掲載されている。

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