あの街の素顔

アート初心者でも楽しめる。カナダ・トロントのミュージアム巡り

  • 文・写真 鈴木博美
  • 2019年1月17日

  

多文化主義を掲げる移民国家カナダ。トロントは、そのことを象徴するかのように様々な文化やアートを楽しめる。カナダの巨匠の作品に出合える美術館や靴専門の博物館、グラフィティアートなど、トロントのユニークなミュージアムやアートスポットを、巡ってみた。

北米屈指のミュージアム。恐竜、鉱物マニア必見!「ロイヤルオンタリオ博物館」

斬新なデザインでユニークな外観がひときわ目を引く

ダウンタウンの中心に位置する、歴史建造物にクリスタルが突き刺さったような外観が目を引く「ロイヤルオンタリオ博物館」。1914年に開館し、所蔵品はなんと600万点以上もあるという。

「高円宮ギャラリー」では江戸時代を中心に歴史的な美術品や工芸品が展示されている

1階は“ファーストネーション”と呼ばれるカナダ先住民とアジアのコレクションを展示する。その一角にある日本に関する常設展示コーナー「高円宮ギャラリー」では、葛飾北斎や歌川広重、陶器、甲冑(かっちゅう)、三つ葉葵(あおい)紋の入ったかごなどが並ぶ。日本のよろいかぶとをながめていると、映画「スター・ウォーズ」に登場するダース・ベイダーの衣装を思い浮かべてしまった。衣装デザインの参考にしたという話もうなずける!?

カナダが誇る世界屈指の鉱物コレクション

巨大なトーテムポールを囲むようにそびえるらせん階段を上がると、2階は隕石(いんせき)や天然石などの鉱物コレクションが展示されている。900カラットの白鉛鉱に巨大なアメシストをはじめ600もの標本がショーケースの中で輝いている様は圧巻だ。

北米大陸に生息していた恐竜の見本が展示されている

博物館一番の見どころとなる恐竜ギャラリーでは、Tレックスが襲いかからんばかりに出迎えてくれる。全長約27メートルの草食恐竜バロサウルス前での記念撮影も人気だ。トリケラトプスの巨大な頭部にも驚く。こんなものが北米大陸を歩いていたのかと想像すると興奮してしまった。そのほか、世界中の鳥類のはく製や氷河期に生息していた哺乳類の化石などもある。展示方法も工夫されているので、楽しみながら自然史を学ぶことができる。

3階はエジプト文明、ギリシャ文明、ローマ帝国、近代ヨーロッパの歴史と文化、20世紀デザインがテーマで、ハトシェプスト女王葬祭殿の壁画の再現や、ミッドセンチュリーデザインの家具なども目を引く。

住所:100 Queen’s Park, Toronto
営業時間:毎日10:00〜17:30
入場料:大人20カナダドル、4~14歳14カナダドル
https://www.rom.on.ca/en

靴で人類の軌跡をたどる「バータ靴博物館」

世界最古の靴から始まり、様々な国や地域の履物が展示されている

ロイヤルオンタリオ博物館から徒歩5分、靴だけを集めた珍しい博物館「バータ靴博物館」がある。バータ(Bata)は世界70カ国に5300以上の店舗を有する靴メーカー。1894年に現在のチェコ共和国で創業し、第2次世界大戦が勃発した1939年に、2代目が従業員ら100人を連れてカナダへ亡命し、戦後トロントに本部(現在の本部はスイス)を移した歴史を持つ。日本での認知度は低いが、欧米諸国では老若男女向けのリーズナブルな品ぞろえの靴メーカーとして知られている。

博物館には世界中で収集した1万足を超える靴のコレクションが展示されている。これだけの靴があると、あらためて履物は人類と密接な関係にあるのだと感じ興味深い。ここでしか見ることができない貴重な靴も多数ある。

「Kurokawa no Asagutsu」

まず地下へ下りると、古代エジプトのサンダルからデザイナーズブランドの靴まで、世界各国の履物が時代ごとに展示されている。ショパンが初コンサートで履いた靴や桔梗(ききょう)紋が描かれた江戸時代の「Kurokawa no Asagutsu」もある。江戸時代にすでにスリッポンのようなおしゃれな履物があったのかと日本を再発見することもできた。

最上階の展示ルームでは定期的に企画展が開催されている

現代のコーナーではエルビス・プレスリー、エルトン・ジョン、ジャスティン・ビーバーなど著名人が履いた靴の展示や、マノロ・ブラニク、クリスチャン・ルブタンをはじめ、デザイナーズブランドのコレクションも豊富。靴好きなら見逃せないミュージアムだ。

住所:327 Bloor St W, Toronto
営業時間:月〜水、金、土:10:00〜17:00、木:10:00〜20:00、日:12:00〜17:00
入場料:大人14カナダドル、4~17歳5カナダドル
http://batashoemuseum.ca

カナディアンアートに触れる「オンタリオ美術館」

名もなき絵画からマスターピースまで約9万5000点の作品を所蔵する

正式名称は「アート・ギャラリー・オブ・オンタリオ」。1900年オープンという長い歴史を持ち、地元では通称“AGO”で親しまれている美術館だ。2008年にトロント出身の世界的に著名な建築家フランク・ゲーリーの設計でリニューアル・オープンし、建物自体もアーティスティックで必見。

美術館の広さは約4万5000平方メートル。東京ドーム(約4万6755平方メートル)ほどの規模だ

ここでは印象派絵画からポップアートまで多岐にわたる展示が楽しめる。中でも20世紀を代表する彫刻家ヘンリー・ムーアとカナダを代表する7人の風景画家グループ「グループ・オブ・セブン」のコレクションが充実していて見応えがある。「グループ・オブ・セブン」の作品は、オンタリオの自然が鮮やかな色彩で表現されていて印象的だ。館内はとても広いので時間をたっぷりとっておきたい。

住所:317 Dundas St. W, Toronto
営業時間:10:30〜17:00、水・金21:00まで、月曜休
入場料:大人19.5カナダドル、6~17歳11カナダドル
https://ago.ca

トロントのトレンド発信地にオープンした「コンテンポラリー・アート美術館」

世界各国のアーティストが様々な表現方法で見る者に刺激を与える

「コンテンポラリー・アート美術館」(通称「MOCA」)は、近年大注目のオシャレスポット「ザ・ジャンクション」にある。約100年前に建てられたという製造工場ビルを改装した「MOCA」では、カナダはもちろん、様々な国の現代アートを鑑賞することができる。

Tシャツに描かれた招き猫さえもアートに溶け込んでいる!?

企画展が中心なので、絵画、版画、彫刻、映像、コラージュ、アニメーション、インスタレーションなど、行く時期によって様々なスタイルの作品を楽しめる。企画展の他にも、シンポジウムやアートパフォーマンス、アーティストのトークショーなどイベントも開催される。

住所:158 Sterling Road, Toronto
営業時間:10:00〜17:00、金21:00まで、火曜休
入場料:大人10カナダドル、18歳以下無料
https://museumofcontemporaryart.ca

街角のアート「グラフィティ・アレイ(Graffiti Alley)」

ポップで個性的な絵が路地の壁を埋め尽くしている

トロントの街中では完成度の高いグラフィティを多く見かけるが、今人気を集めているのが「グラフィティ・アレイ」。ウォールペイントが描かれた路地が1キロほど続く“インスタ映え”スポットだ。

落書きの域を超えた緻密で完成度が高い作品ばかり

ポップで緻密な作品に目を奪われるが、上の写真のように手前のポールや木の電柱まで壁画と一体化させている凄ワザなものもあり見ていて飽きない。グラフィティ・アレイは壁画が映える日中の明るい時間に訪れよう。

場所:クイーン・ストリート・ウェスト(Queens Street West)とスパダイナ・アベニュー(Spadina Avenue)交差点近く

ミュージアムやアートスポットを巡ることは、その国の国民性や感性を知る機会でもある。ぜひ旅行中に1カ所でも足を運んでみたい。

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協力:トロント観光局
https://seetorontonow.jp

PROFILE

鈴木博美

鈴木博美
旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、カンボジア・ベトナム編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。

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