カナダ・トロントでソウルフードやB級グルメを味わうなら?
- 文・写真 鈴木博美
- 2019年1月21日
「人種のモザイク」といわれる移民国家カナダ。世界各国の食文化が交差し、バラエティーに富んだ料理を楽しめる。中でもトロントは街を歩けばグルメに当たると言ってもいいほど、おいしいものにあふれている。効率よくトロントのソウルフードやB級グルメを味わえる、マーケットや人気のフードホールを巡ってみた。
トロントの歴史を物語る「セントローレンス・マーケット」でグルメハンティング
「セントローレンス・マーケット」は、1803年から続く歴史あるマーケット。現在の建物は、1845年に完成したもの。当時は1階が警察署、地下が牢獄、2階が市議会議事堂だった。地下の売り場を歩けば、牢獄だった形跡を今も見ることができる。1899年に市庁舎が移転し、1904年に市場として改装されて以来、この場所で「セントローレンス・マーケット」は開かれている。現在はトロントで最もにぎわうグルメスポットのひとつだ。新鮮なチーズや肉、総菜を眺めているだけでもワクワクする。
ここで押さえておきたいのが、トロント発祥のピーミールベーコンと呼ばれる、豚ロースを燻製(くんせい)にしてコーンミールでまぶしたもの。冷たく乾燥された場所であれば長期保存ができることから、当時はイギリスに輸出されていた。
マーケット内にある「カルーセルベーカリー&サンドイッチバー」は、ピーミールベーコンサンドの老舗。ベーコンというよりは厚切りハムのようでジューシー。トロントニアンのソウルフードとも呼べるピーミールベーコンは、滞在中に一度はトライしたい。
住所:92-95 Front St E, Toronto
営業時間:火〜木 8:00〜18:00、金19:00まで、土 5:00〜17:00、月曜休み
http://www.stlawrencemarket.com
行列ができる可愛くておいしい、おにぎり&和スイーツ
海外で和食といえば、すし、天ぷら、最近はラーメンも世界的ブームだが、ここトロントではおにぎりが……。トロントを代表する観光スポットのひとつ、ケンジントンマーケットという若者が集うエリアに立つ「リトル・ペブルズ」は、ホームメイド和スイーツのカフェだが、見た目にもこだわったおにぎりが人気を集めている。
桜の塩漬けと梅のおにぎりやきんぴらのおにぎり、シイタケだしのみそ汁など、どれもアイデア満載で実にいい味。現地ではビーガンフードとしても認知されている。ランチタイムは小さな店内がいっぱいになるほどお客がひっきりなしにやってくる。日本のカフェでもおにぎりを販売したらヒットしそうだ。
住所:160 Baldwin St. Store #8 Toronto
営業時間:月〜金 8:30〜19:00、土10:00〜19:00、日11:00〜19:00
http://little-pebbles.com
カナダ人のソウルフード、プーティンの人気店
プーティンはフライドポテトにグレービーソースとチーズをのせたファストフード。ケベックで生まれカナダ全土で親しまれている国民的B級グルメだ。グレービーソースが味の決め手となる。チーズにもこだわりがあり、チーズカードというフレッシュチーズをたっぷりのせる。
ケンジントンマーケットから徒歩10分ほどのところにある、謎のおじさんの顔がインパクト大の「スモークズ・プーティネリー」は、カナダ全土で展開するプーティン専門店。ステーキから野菜までトッピングのバリエーションが豊富。グルメ・フライドポテトといったところだが、見た目の通り高カロリー食品だ。
住所:455 Spadina Ave, Toronto
営業時間:日〜火11:00〜23:00、水・木翌3:00まで、金・土翌4:00
http://smokespoutinerie.com
おしゃれエリアで“すしブリトー”はいかが?
ラグジュアリーなショッピングエリアに立つヨークヴィル・ビレッジ・ショッピングセンターの地下にあるフードホールには、こぢんまりとしてはいるものの、アジア料理や中東料理、ヘルシーフードなどが味わえる厳選された店舗が入っている。照明を落としたスタイリッシュで落ち着いた雰囲気の中でゆっくり食べられる穴場的存在のフードホールだ。
ここでにぎわっていたのが、いま欧米で人気のすしブリトーを提供するお店。肉や野菜をブリトーのようにのりで巻いてラップ感覚で食べる。ランチタイムに、おしゃれな女性が巨大な太巻きにかぶりつく姿が印象的だった。
住所:87 Avenue Rd, Toronto
フードホール営業時間:月〜金11:00〜20:00、土19:00まで、日18:00まで
http://yorkvillevillage.com
トロントの最先端グルメを! トップシェフが一堂に会するフードホール
市庁舎のすぐ近くに位置する「アセンブリー・シェフズホール」は、「トロントの17のトップシェフのお店を一つ屋根の下に集合させる」というコンセプトをもとにオープンした。いまトロントでファストフードの域を超えたフードホールとして注目を集めている。移民の街らしくワールドワイドな料理やスイーツはどれも本格的な味を提供する。さながらシェアハウス・レストランといったところだ。
トロントの最先端グルメをいろいろと体感できる上に、ダウンタウンの中心に位置するので旅行者にとっては非常に使い勝手がいい。何を食べるか迷ったら、まずはここに立ち寄ってみよう。
住所:111 Richmond St W, Toronto
営業時間は店舗によって異なる
https://www.assemblychefshall.com
次は胃袋と好奇心を満たしてくれるトロントを旅してみてはいかがだろう。
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協力:トロント観光局
https://seetorontonow.jp
PROFILE

鈴木博美
旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、カンボジア・ベトナム編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。
