アートなかまくらでの夕食、かんじきトレッキングも 豪雪地・秋山郷の「かたくりの宿」

  • 文・写真 こだまゆき
  • 2019年1月24日

アートなかまくらの中でこたつに入って特別ディナー

3年に1度開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で盛り上がった昨年の夏。実は芸術祭が終わった後も、新潟の越後妻有地域では、季節ごとにさまざまなイベントや企画展などが開催されています。この冬も1月19日(土)から「『大地の芸術祭』の里 越後妻有2019冬 SNOWART」がスタート。豪雪地ならではの魅力あふれる催しが満載です。なかでも私の一押しは「真冬の秘境・秋山郷 豪雪の里山暮らしを体験する限定プログラム」。この1泊2日の期間限定プログラムをひと足お先に体験してきました。

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廃校となった小学校の木造校舎を利用した「かたくりの宿」。送迎付きなので新幹線に乗るだけでオーケー

このツアーのありがたいポイントは越後湯沢駅からの送迎付きというところ。午後1時半に「かたくりの宿」がある結東集落の人が迎えに来てくれます。車窓からの景色がどんどん雪深くなっていき、およそ1時間半後、「一面、水墨画のような世界!」となった頃に到着します。

客室はすべて2階で和室7部屋。今回私は「1組」に泊まりました

かたくりの宿は1986年に休校、1992年に廃校となった小学校を改装した宿泊施設です。1884年に開校した「結東校」が始まりといいますから108年もの間この地域の人々の学び舎として使われてきた大切な場所。その後、校舎の再利用が強く望まれ、宿泊型の体験交流施設としてリニューアル。2009年の「大地の芸術祭」をきっかけに新たなスタートを切りました。今までは11月末~4月いっぱいは休業でしたが、今シーズンから期間限定で冬季営業をスタートすることになったのです。

机やオルガンなど小学校当時のものが置かれています。館内には昔の写真も

チェックイン後は夕食の時間までフリータイム。雪がちらつく中、カメラを持って集落を散策した私は、地元のおじさんとおしゃべりする機会がありました。今夜はかたくりの宿に泊まることを話すと「そうか、そうか」とニコニコ顔。小学校6年間と中学の1年間を過ごしたというその「卒業生」は、自分の学び舎によそから人が来てくれるのがうれしいと語っていました。

かまくらへの動線となっている体育館にはアートな仕掛けが

かたくりの宿で一番学校らしさが残っているのが体育館です。夕食はその体育館を通って校庭に作られたかまくらへ。外と変わらないくらい寒~い体育館ですが、ユニークなアートの仕掛けが用意されていて楽しくなります。

雪が降り積もるかまくら。ほのかな灯りに癒やされます

かまくらの中には豆炭こたつ。これが暖かいのです

ちょっぴり狭い入り口から腰をかがめて中に入ったかまくら。頭上にはライトのまわりをカラフルなモビールが彩る「またぎのシャンデリア」が吊るされています。これは秋山郷に残るマタギ文化にインスピレーションを得たアーティスト、長谷川仁さんの作品。「マタギ」から連想されるクマやキジ、タヌキなどの動物たちがモチーフとなっています。

カラフルな影がかまくらの内部に映り込みます。白い雪の壁に映る影絵といったところでしょうか

もちろん猟銃を持ったマタギのモチーフも。ゆるい動物たちがとってもかわいい!

そんなアートなかまくらの中でいただけるのは、地元の食材をふんだんに使った和風創作料理です。例えば、春に収穫したコゴミは干し柿と一緒に酒かすとクリームチーズで洋風のあえ物に。地元特産のへぎそばはジェノベーゼ味で。折り詰めに彩りよく盛られて運ばれてきます。

地元食材をふんだんに使った滋味深い味わいのものばかりで見た目も美しい

注文した熱かんを運んできてくれた管理人の渡邊泰成さん

もう1品はキノコ鍋。秋に収穫したマイタケやナラタケ、シシタケなどのキノコと一緒にいいうまみを出しているのは地元の銘柄豚・妻有ポーク。管理人の渡邊泰成さんも「秋山郷の冬といえば、かまくらとアートと食事になればいいなと思っています」と意気込みます。飲み物は新潟の地ビールや地元酒蔵の日本酒やワインなど豊富に用意されていますが、やっぱり熱かんがおすすめ!

身も心も温まるキノコたっぷりのお鍋

ライトの光を受けるとまた違った表情に。雪国ならではの素敵なアート鑑賞でした

かまくらディナーの後は結東温泉に入って身体を温め直しました。「この温泉の場所、学校だったときは何があったのでしょうか?」と渡邊さんに聞くと「校長室だったそうですよ」とのこと。秋山郷の山清水を利用しているという半露天風呂では、屋根から落ちる雪の音を聞きながらお湯につかりました。

かたくりの宿には男女別の内風呂と半露天風呂が。4月~11月は日帰り入浴もできます

2日目はかんじきを履いて雪上トレッキング

翌朝、障子を開けると青空が。40センチほどの降雪があったようです

2日目。食堂で朝食をいただいたあとは雪上トレッキングに出かけます。かんじきや長靴は無料レンタルが用意されているので安心。目指すのは「結東の石垣田」。石垣を組んで造られている全国的にみても珍しい棚田で、「美しい日本のむら景観百選」に選ばれているのだとか。

新雪の中、先頭を行く地元ガイドの瀧沢政則さん

トレッキングのガイド役は、かたくりの宿のすぐ目の前でおそば屋さんを営んでいる瀧沢政則さん(81)です。結東集落で生まれ育ち、もちろんこの小学校の卒業生。「ここは雪がたくさん降って大変だというのはあるが、春夏秋冬がはっきりしているのが良いところ。今ではここ結東が一番のんびりして過ごしやすいと思うようになった」と話します。そんな瀧沢さんの後について進むのは道なき道の新雪の上。時々ズブズブっとひざ上まで埋もれながらの雪上トレッキング。これも豪雪地帯ならではの特別体験です。

「結東の石垣田」。雪に覆われて石垣は見えませんが、棚田だということはわかります。瀧沢さんもここに田んぼを持っているそう

この辺りで水田が作られるようになったのは1892年以降。土より石のほうが多かったというこの辺りの土地では、田んぼを作るのに大変な苦労があったと伝えられています。

「だいぶ積もったなぁ」。昔の人が苦労して積み上げた石垣が足元にちらりと見えます

瀧沢さんがこのトレッキングガイド役を引き受けたのは、この結東集落の良さをたくさんの人に知ってもらいたいという願いからだと言います。

「高齢化してきているこの集落では、冬は子供のところへ行ってしまって空き家になっている家が何軒もある。昔と違って隣近所にあかりがついていないとなんだか寂しいもの。だから、夜寝る前に明日の天気はどうかな?と玄関の戸を開けたとき、かたくりの宿にあかりがついているとうれしくなるんですよ」

冬季営業を始めるにあたって「がんばってくれ」と瀧沢さんから言われたという管理人の渡邊さんもこの地に移り住んで10年目。「豪雪地・秋山郷の本当の良さを知ってもらうのは冬のシーズンだと思っています」と胸をはって話してくれたのが印象的でした。

「足腰がきく限りは1年でも2年でも頑張ってここで米作りしていこうかなと思っている」と語っていた瀧沢さん。いつまでもお元気で!

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■真冬の秘境・秋山郷 豪雪の里山暮らしを体験する限定プログラム
http://www.echigo-tsumari.jp/tour/tour_2019winter_katakuri

■越後妻有 大地の芸術祭の里
http://www.echigo-tsumari.jp/

■かたくりの宿
http://www.tsumari-artfield.com/katakuri/


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