太公望のわくわく 釣ってきました

水鉄砲も墨鉄砲もくらいながら、大タルイカ仕留めた! 福井県小浜市沖

  • 文・写真 安田明彦
  • 2019年2月5日

昨年の11月末ぐらいから、兵庫県の日本海側から福井県にかけて船からの釣果で、タルイカという声が聞かれるようになりました。

クーラーのふたにどんと乗せたタルイカ。デカい! 重い!

この地域では久しぶりに聞く釣果です。実に3年ぶりくらいでしょうか。釣りで見かけるのは10キロオーバーくらいまでのようですが、20キロくらいになると言われています。食用になるイカの中では最大級です。

タルイカは、兵庫県から福井県にかけての地方名です。和名はソデイカ。安価であることから、回転ずしのネタになっているようですね。

タルイカと呼ばれる理由は、諸説あるようですが、漁法にちなむようです。巨大なスッテ(疑似餌)を海中へ放り込んでの樽(たる)流し立縄漁法が兵庫県の但馬地方で盛んに行われ、そのウキ代わりの樽にちなみタルイカと呼ばれるようになったと言われています。ちなみに、タルイカがスッテに掛かると樽が立つため、掛かっているかどうかがわかるようです。

昔、兵庫県新温泉町の浜坂漁港へ競りを見に行ったことがあるのですが、港一面、タルイカだらけでした。紅色のイカが整然と何百杯と並べられており、それはそれは壮観だったのを今でも覚えています。

釣りの話に戻りましょう。タルイカは、本来ならば、専用の仕掛けで狙うのです。というのも、巨大なイカが噴射する水鉄砲や墨鉄砲は「はんぱない」どころではありません。言葉で表せば「バッシャ――!」「ブッッシュ――!」です。「はんぱない」引きを味わいつつ、マイカも狙おうという作戦です。ハリスが切れない、またはモトスか切れないことを願って……。

行ってみれば満船状態。天気次第で釣り客の人数が変わる

ちなみに、冬のマイカは、初夏から晩秋にかけてのマイカとは、少し違います。大きいこと、そして肉厚なことから、俗に「メタボマイカ」と呼ばれています。冬場は荒れる日本海ですから、天気予報の好天と自分の休みが重なる日しか行けません。昨年12月20日、ぴったり合いました。ですが、予約人数が少ない。私が福井県小浜市の「天輝丸」に申し込んだ時はギリギリ船が出る3人目だったのですが、天気が良いとわかりどんどん予約が入ったようで、港に着くと竿(さお)が林立していました。満船だそうです。

まいったなー。人がすくなかったら2本竿で、1本はタルイカ専用の仕掛けにしようと思ったのに……。この時点で、タルイカは半ばあきらめた格好となったのです。

昼間はエサ釣りです。30センチ級のイサギ(イサキ)が釣れて、鍋用のウマヅラハギと、魚のお土産は確保。

寒イサギに鍋用素材のウマヅラハギをゲット

日が暮れるのも早い冬は、イカ釣りのスタートも早いのです。2.5号のスッテから4号のスッテへと交換しながら、仕掛けを落としていきます。この日はマイカの釣れだしが遅かったので、ゆっくりと交換できました。この交換が功を奏したのです。

左が初夏から狙うマイカの2.5号スッテ。冬のメタボマイカは右の4号スッテ。タルイカも乗ってくる

1時間ほど、誰も、何も釣れない時間が過ぎました。

わぁー、えらいときに来たなー。マイカも全然回ってこないし……。ほかのお客さんも、意気消沈の様子がありありです。

日没が早い冬は、イカを狙う時間が長くなる

この時期、マイカのタナは底近く。底から10メートルほど誘ってまた下ろす、の繰り返し。あまりの単純作業に、晩御飯のお弁当をほおばりながら釣りをしていました。

すると、ズシン!と強いアタリが。

来た来た来たー!マイカが、と思ったのですが、何か変です。引かないんです。クラゲでも掛かってしまったのか、とゆっくり巻いていると、ヤツはいきなり反撃してきました。

ジュジュジュジュッ。ラインが電動リールから引き出されます。強い引きがあったときに糸を送り出すリールのドラグは調整していましたので、最初の突っ込みはかわせました。

それにしても、重い。そして、引きが強すぎる。電動リールも作動しているのですが、巻くことができないぐらい獲物自体が重いのです。

「これは多分タルイカやわー!」と声を上げます。マイカ用の仕掛けにヒットしたタルイカですから、取り込みが大変です。周りのみんなに知らせれば協力してくれるのです。村古政人船長が、大きな掛け棒のギャフを持ってきてくれました。

スッテに乗ったマイカを食べに来たのだろうか? 巨大なマダイも上がった

結果として、このとき釣れた私のタルイカが、天輝丸でこの日釣れた1杯目のイカでした。道糸をつかみ、引き寄せますが、ここで、取り込んだスッテが何かに引っかかろうものなら、仕掛けもろとも引きちぎっていくパワーがヤツにはあります。

「ブッシュ――!」

あとすこしの所まで引き寄せたら、水鉄砲の反撃が。再度引き寄せ、船長に取り込みをバトンタッチ。スッテが船べりに一つ上がり、二つ上がり、三つ目を上げようとすると再び「ブッシュ――!」。反撃でスッテは再び海の中へ。落ち着いて、最初からやり直しです。

スッテが一つ、二つ、三つ目になると、ヤツはまた走ったのです。スッテのカンナに指でも掛かろうものなら、痛い目に遭うばかりか獲物もおさらばです。うまくかわして三度目の正直。四つ目のスッテに掛かっていたタルイカに船長が一発でギャフを掛けてくれました。

すると、今度は強烈な墨の噴射が。辺り一面、墨の海です。イカが大きいから噴射も強烈で、墨も大量なのです。船長がタルイカの漏斗(ろうと)の上をナイフでカットし、絞めてくれました。

さあどうする。クーラーに入れるにしても、後から釣れるであろうマイカの入るスペースはあるのか?というぐらい大きい。マイカのことは後回しにして、タルイカには墨をはかせるだけはかせて、袋に入れクーラーへ。

筆者と釣り上げたタルイカ。現場では墨まみれになるので自宅で撮影。重い~!

帰って重さを量ると、4.5キロありました。船長いわく、スッテ仕掛けならこれくらいの重さまでは釣れるそう。

群れが来た。マイカは群れが来ないとアタらない

筆者が釣り上げたメタボマイカ

京都府宇治市の北見さんはダブルで

メタボマイカは、尻上がりに調子が出てきて、計23杯。メタボマイカは1杯が約500グラムだったので、総重量約16キロの釣果になりました。

マイカはこんなにたくさん

天輝丸
http://www8.plala.or.jp/tenkimaru/


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PROFILE

安田明彦(やすだ・あきひこ)釣りライター

1959年大阪市生まれ。父親の影響で子供のときから釣りが大好き。大学卒業後、釣り週刊誌の記者、テレビの釣り番組解説者などを務め、「やっさん」の愛称で親しまれる。あらゆる釣りを経験するが、近年は釣って楽しく、食べてもおいしい魚だけを求めて行くことが多い。釣り好き、魚好きが高じて、居酒屋を営んだこともある。

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