豪華すぎる都市ライフ ベトナムが見せるふたつの顔 <前編>

  • 文・写真 江藤詩文
  • 2019年2月6日

ホーチミンシティーの中心部、グエンフエ通りにあるホー・チ・ミン像。周辺にはおしゃれなカフェやベトナム人デザイナーのショップなどがあります

ドイモイ(刷新)政策による経済成長と呼応して、観光業でも目覚ましい発展を続けるベトナム。そんなベトナムの経済の中心都市ホーチミンシティー(政治の中心は首都ハノイ)にあり、ベトナム唯一の「6ツ星」として世界に名をはせているラグジュアリーホテルが、「ザ・レヴェリー・サイゴン」です。

ベネチアングラスのシャンデリアが目を引くエントランスホール。天井にはベトナムの地図をモチーフにしたアートが施されています

「観光立国として世界の先進国に並ぶために、外資系ではない、ベトナム社交界の舞台となるベトナム発の独立したラグジュアリーホテルが必要」と考えたオーナー夫妻が贅(ぜい)を尽くした空間は、まるで「泊まれる美術館」。

きらびやかなシャンデリアが輝くエントランスホールを抜け、瑪瑙(めのう)を埋め込んだエレベーターで7階のレセプションに上がると、迎えてくれるのは芸術的なインテリアの数々です。大理石の壁には、ベネチアングラスのモザイクで有名な「シチス」のモザイクアート。大きな窓の中心には、イタリアの「バルディ」に特注した細工が見事な飾り時計。「こちらにおかけになってお待ちください」と案内されたソファは、同じくイタリアの「コロンボスティール」によるオーストリッチ張りで、世界にたった2脚しかなく、もう1脚はあの故マイケル・ジャクソンが所有していたそう。

タオルやリネン類はイタリアの最高級テキスタイルブランド「フレッテ」、アメニティー類はスイスの「ショパール」と細部までぜいたくさを追求。ホテルゲストは無料で参加できるホテル内のアートツアーも開催されています

客室は、ヨーロッパのクラシカルなテイストをベースに、アジアらしさもいい具合にブレンドされていて、豪華ながらも居心地がいい。

というのもこのホテルのオーナーは、世界中の最高級ホテルを研究した香港人とベトナム人のカップル。もともとベトナムの人々は、日本での雑貨などの人気からもわかるように、細部までデザインを凝らすなど、美意識が高く手先が器用といわれます。そこにフランス統治時代のヨーロッパのエッセンスや、香港文化を取り入れたシノワズリなどが混ざり合い、独特の優美さが生まれたわけです。

広東料理店「ロイヤル・パビリオン」では、本格的な広東料理もいいのですが、流行を押さえた点心もおすすめ。香港やマカオと時差のないヤムチャを体験できます。中国茶のバリエーションも豊富

「デリ」では、ベトナムらしいストリートフードも、インスタ映えしそうなおしゃれなひと皿に変身。ベトナムに来たら外せない春巻きやバインミーのほか、フォーなどもあります

この優雅なるミックスカルチャーは、レストランにも共通しています。広東料理の本場・香港の富裕層であるオーナーが「ベトナムで最高の広東料理」と太鼓判を押す「ロイヤル・パビリオン」や、ベトナム料理やヨーロッパ料理、フュージョン料理など今どきの料理を楽しめるオールデイダイニング「カフェ・カーディナル」、本格的なナポリ式のピザ窯を備えた「R&J」など、レストランは五つ。

私がもっとも気に入ったのは、テイクアウトもできる「デリ」。日本でも人気のベトナムらしい料理を楽しみたいけれど、街場のレストランに行く勇気はない。そんな初心者にもぴったりの、ベトナムらしいメニューがラインナップされています。高級ホテル内にありながら、東京でベトナム料理を食べるよりずっとリーズナブルなのもうれしい。

「レヴェリー・ラウンジ」の朝食。ウェスタンスタイルの卵料理のほか、朝からがっつり肉料理や、ベトナム料理もありました。上質で安全な食材を使い、食べ慣れた味をワンランク上に仕上げています

 

スイートルーム(ジュニアスイートを含む)に宿泊すれば、最上階に位置する「レヴェリー・ラウンジ」の利用も可能。時間帯によって、朝食やアフタヌーンティー、イブニングカクテル&カナッペがサービスされるほか、簡単なお菓子やドリンクは、終日用意されています。ビールやスナック菓子を含むミニバー(しかも毎日補充)も全室で無料だし、お客様に食べ物・飲み物をふんだんに振る舞うあたりも、フランス&中国文化っぽい。ちなみに、24時間対応のバトラーサービスも提供していて、どの客室でも追加料金で利用できます。

2フロアからなるスパ。スパメニューは、タイやスウェーデン、ハワイなど世界各国の技術を取り入れたマッサージのほか、ベトナム伝統の施術を掘り起こして現代的にアレンジしたものも

都会にありながらリゾートらしさを演出する屋外プール。プールサイドにはB&Bイタリアのデイベッドが配されていて、水中サウンドシステムでは、なんとクラシック音楽が流れていました

ホテル内には、これまた「ベトナム最高峰」を目指したスパもあります。私の経験上、マッサージ天国は、タイとインドネシアのバリ島が双璧。社会主義国のベトナムではこれまで、ほほえみの国タイのようなうっとりするおもてなしは期待できない印象でした。

けれども、ソフト面でも世界最高水準を達成するべく、サービスにも力を入れているのがこのホテル。全館どこへ行っても英語は完璧に通じるし、レストランはフレンドリー、レセプションはキビキビと迅速な対応で、このスパでは、ゆったりと丁寧なサービスを受けられました。

「クルージング サイゴン」ツアーのハイライト。ヴィンテージのシトロエンはオープンルーフトップで、身を乗り出して風を感じながら疾走するのは快感。すごい数のバイクと人々が放つ熱気がベトナムらしい

ホーチミンシティーは、ホテル外の食べ歩きも欠かせない。こちらはコロニアル様式の邸宅を改装した、フエの宮廷料理を食べられる「ドンフォー」

こうなると「アーバンリゾート」としてホテルにおこもりしたくなりますが、ホーチミンシティーで、それはもったいない。このホテルは、ドンコイ通りとグエンフエ通りに面したホーチミンシティーの中心部にあり、ショッピングや食べ歩き、散策にもぴったりのロケーションです。

ホテルが主催するアクティビティーで楽しいのが、サイゴン川のクルージングとホーチミン市街のドライブを組み合わせた「クルージング・サイゴン」ツアー。シャンパンやカクテルとおつまみで、アペリティフを楽しみながらサンセットを満喫し、暮れなずむホーチミンの街をクラシックカーで駆け抜けます。

ホテルから一望したサイゴン川とホーチミンシティー。日本の協力により、ベトナム初の地下鉄のオープンを間近に控えるなど、ますます進化を続けるホーチミンシティーの未来に注目したい

これほどの贅を尽くしたラグジュアリーホテル。東京やニューヨーク、香港で泊まったらいくらかかるかと思ってしまいそうです。けれども、アジアでも指折りの最高級ホテルでありながら、ホーチミンシティーにあるため、タイのバンコクのホテルなどと同様に、お得感のある価格で宿泊できるのも魅力です。ハネムーンや女子旅で、予算を抑えつつ、ワールドスタンダードなラグジュアリーホテルにデビューしたいという人も、ここなら安心です。

活気に満ちたこの街のエネルギーを感じに、さっそく出かけてみませんか。

>>後編へ続く


■取材協力
ベトナム航空
https://www.vietnamairlines.com/jp/ja/home

PROFILE

江藤詩文(えとう・しふみ)
トラベルジャーナリスト、フードジャーナリスト、コラムニスト。その土地の風土や人に育まれたガストロノミーや歴史に裏打ちされたカルチャーなど、知的好奇心を刺激する旅を提案。趣味は、旅や食にまつわる本を集めることと民族衣装によるコスプレ。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」シリーズ3巻。

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