絶景! 蒸気機関車でトスカーナの世界遺産オルチャ渓谷を巡る

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長靴型半島(イタリア)のほぼ中央に位置し、豊かな大地を抱くトスカーナ州。なかでもシエナ県南東部に広がるオルチャ渓谷はイタリアで最も美しい田園風景と謳(うた)われ、2004年にユネスコの世界遺産に登録されている。そうした絶景を、蒸気機関車やディーゼル列車で巡る1日観光ツアーがある。その名は「Treno Natura(トレノ・ナトゥーラ)」。

約400人の参加者が乗り込むのは、1915年から1920年にかけて製造された客車だ。それを牽引(けんいん)するのも、ほぼ同じ時期に造られた蒸気機関車である。

列車は在来線を走った後、やがて廃線区間へと入ってゆく。一帯は屈指の景勝地だが、車の普及や過疎化から1994年で定期運行は廃止され、以降はこうした臨時観光列車が走るのみとなっている。

時速50キロでゆっくりと走る列車の車窓には、なだらかな丘やブドウ畑が広がる。その日は麦畑を駆け抜ける鹿の姿をとらえることもできた。

満喫できたのは自然だけではない。目的地のトッレニエリ-モンタルチーノ駅前では村祭りが開かれていた。乗客は、そこで郷土料理を堪能するもよし、地元ワイナリーで高級赤ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」をテイスティングするもよし。トスカーナはグルメを120%満足させる大地であることも実感させてくれた。

2018年は7月以降も12月まで趣向を凝らした計12本のツアーが企画されている。四季折々の自然に包まれるスローな旅がここにある。

※今回紹介のツアーは5月20日に運行された回の模様。(文&写真 大矢麻里 Mari OYA)
インフォメーション: http://www.terresiena.it/it/trenonatura/calendario
取材協力: Agenzia Viaggi Visione Del Mondo di GJS Srl

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    大矢麻里

    大矢麻里(おおや・まり) Mari OYA

    イタリアコラムニスト。東京生まれ。短大卒業後、幼稚園教諭、大手総合商社勤務などを経て、1996年にイタリア・トスカーナの古都シエナに移り住む。国立シエナ外国人大学で学び、現地の料理学校で通訳・アシスタントを務めるかたわら執筆活動を開始。NHKラジオテキスト『まいにちイタリア語』をはじめ、イタリア文化や生活関連の連載・執筆多数。NHK『マイあさラジオ』など、ラジオ番組でもリポーターとして活躍中。著書に『イタリアの小さな工房めぐり』(新潮社)がある。

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