• LCCよりもレガシーキャリアのほうが実は安い? 《知らないと損するマイル活用術①》

LCCよりもレガシーキャリアのほうが実は安い? 《知らないと損するマイル活用術①》

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マイルを貯めてビジネスクラスで優雅に海外旅行――。マイルを貯めている人であれば、誰しも一度は夢想するシーンではないでしょうか。ところが、現実はなかなか甘くはありません。そこで、ここでは3回にわたり、「最小の投資」で「最大の利益」が得られるマイル戦略についてお伝えしたいと思います。第1回は、安い航空券の探し方について考えてみます。何しろいくらマイルを貯めるにしても、もともとの航空券の価格が高くては元も子もありません。

安い航空券といえばLCCを思い浮かべる人も少なくないでしょう。たしかに「日本と中国の航空券が1980円」のように、LCCのセールにはインパクトがあります。ところが、本当にLCCはそれほど安いのでしょうか?

(文・橋賀秀紀)

LCCのコストは新幹線の10分の1以下

たとえばLCCで安く飛べる区間の代表として成田~バンコク線が挙げられます。この区間の往復の底値は片道1万1500円と東京から新大阪までの新幹線よりも安くなっています。東京とバンコクの距離は約2869マイルですから1マイルあたりの単価は約4円にすぎません。ちなみに東京駅から新大阪駅までの新幹線は片道14720円(のぞみ普通車指定席)。営業キロは552.6㎞ですから約343マイル。1マイルあたりの単価は42.9円となります。つまりLCCの底値は距離あたりのコストが新幹線の10分の1以下であることがわかります。

北欧まで5万円台の格安航空券

しかし日本発のLCCのほとんどはアジア内しかカバーしていません。そこで日本とヨーロッパを結ぶ航空券との比較をしてみましょう。たとえば2020年6月出発の成田発ストックホルム往復は燃油サーチャージや諸経費込みで最安値が5万7620円(2019年12月下旬に調査)です。航空会社は中国東方航空の上海経由です。この区間は往復で計11925マイルにおよびますので、1マイルあたりの単価は約4.8円。新幹線よりは圧倒的に安いですが、LCCよりは少し高めとなりました。

フルサービスキャリアならマイル加算がある

ところが大事なものを忘れていないでしょうか? それはフルサービスキャリア(レガシーキャリアとも呼ばれます)では、原則的にマイレージが加算されることです。中国東方航空はJALとマイレージ提携をしているので、JALマイレージバンクに加算することができます。成田発ストックホルム行きの場合、成田上海間はJALマイレージバンクに70%加算、上海ストックホルム間は50%加算されますから、トータルで4800マイルほど加算されます。

機内食・お酒・機内映画・手荷物が無料なのにLCCとほぼ同じ単価

1マイルの価値がどの程度かは諸説ありますが、たとえばJALのマイルをe-JALポイント(JALホームページでの航空券・ツアー購入に利用できるポイントで1ポイントは1円分の価値がある)に交換する場合は10000マイル=15000ポイントとなります。そこで、ここでは1マイル=1.5円と仮定しましょう。このマイルはいずれ特典航空券となって還元されるので、57620円の航空券のうち、4800マイル(JALマイレージバンク)×1.5円=7200円相当は割り引かれると考えると、その還元率は実に12%にもおよびます。このマイル分を差し引いて再度単価を計算すると57620円-7200円=50420円。

50420円÷11925マイル=4.22円。1マイルあたりの単価はLCCとほぼ同等になりました。中国東方航空は機内食に加えてビールなどの酒類も無料。機内映画ももちろん見られますし、手荷物も20㎏までは無料。トータルで考えるとLCCよりもかなりお得といえます。また、LCCと比べて、遅延や欠航時の振替便の選択肢が多いといったことも、フルサービスキャリアのアドバンテージとして見逃すことはできません。

効率よくマイルを貯めるにはまずは安い航空券探しから

さて、こうした安い航空券を探すにはどうすればよいのでしょうか。筆者がおすすめしたいのはメタサーチとよばれるサイト。これは複数の旅行会社が扱う航空券を同時に表示するもので、つねに最安値に近い航空券の金額を知ることができます。

たとえば「スカイスキャナー」とよばれるメタサーチを例にして説明してみましょう。出発地と目的地の都市名を入力、出発日と現地出発日を入れて「検索」をクリックするだけで、その時点で安い航空券から順番に表示されます。「直行便のみ」のチェックマークを入れると直行便だけが表示されます。

スコットランドの若者が始めたスカイスキャナーは、世界を代表する航空券などの検索サイトに発展した。時間帯や所要時間、航空会社での絞り込みなど、かゆいところに手が届くサイトとなっている

最安値を見つける方法は

筆者がおすすめしたいのは、「目的地」を「すべての場所」にすること(目的地のところにカーソルを置く)。さらに出発日・現地出発日をクリックし、「月全体→最安値の月」とすると、自分の最寄りの空港から、1年間で一番安いエコノミークラスの航空券がいくらか知ることができます。時間に融通が利く人なら、このなかから自分の行きたい国や都市を選ぶことで、非常に安い航空券を買うことができます。休みがとれる日程が決まっている場合も、出発日と現地出発日を入力し、目的地を「すべての場所」にすることで、その日程におさまる航空券を安いものから順番に表示してくれます。意外な行き先が安いことに気がつくかもしれませんね。

スカイスキャナーで日付を指定せずに行先を検索すると、1年間で最も安い日の安い行先への航空券の総額が安い順に表示される。調査時には6か国・地域への往復航空券が1万円台以内におさまっていた

燃油サーチャージや諸経費も込みで表示

「スカイスキャナー」で表示される金額は、原則として燃油サーチャージや空港使用料などを含んだ最終的な支払額です。そのため、「額面は安いのに燃油サーチャージが高いから思ったよりも高かった」といったことにはなりません。なお、「スカイスキャナー」そのもので航空券は販売しておらず、そこから各オンライン旅行会社のサイトに飛んで、実際に購入することになります。

最安値には海外のあまり聞きなれない旅行会社もありますが、慣れないうちは日本の旅行会社で購入することをおすすめします。筆者がよく利用するのはエクスペディアやHIS系のオンライン旅行会社であるサプライスなどです。

パッケージツアーも活用したい

一人旅の場合は航空券とホテルを別々に手配したほうが安上がりになることが多いですが、2人か3人で旅行する場合、パッケージツアーを利用したほうが割安になることが多いです。

パッケージツアーについても、メタサーチを利用すると、安いツアーを簡単に探すことができます。たとえば「トラベルコ」の予算別検索。たとえば予算を3万円以内にすると、特定の出発日で3万円以内におさまるツアーの行先となる国だけを表示してくれます。こちらも燃油サーチャージや諸経費込みの金額が表示されるので安心できます。

2020年1月出発の東京発では3万円以下のツアーは8か国・地域が3万円以内でカバーできていた

次回はいよいよ、効率よくマイレージを貯める方法について、裏ワザも含めて紹介していきたいと思います。

燃油サーチャージはあまり気にしなくてよいってホント?

燃油サーチャージの指標となるのはケロシン系のジェット燃料のスポット価格。アジアではシンガポールの市場価格がおもに利用されています。日本発の航空券の場合はシンガポールのケロシン平均価格の2か月分の平均を算出し、その金額をもとに算出期間の4か月後のサーチャージを決めます。ですから、あらかじめケロシン平均価格を知ることで、ほぼ確実に燃油サーチャージの値上げ・値下げを推定することができます。

実は燃油サーチャージが引き上げられるとき、本当にその引き上げ額分がまるまる上がるとはかぎりません。大手航空会社では過去のデータにもとづき、精密な計算のもと、航空運賃が決められています。運賃を大幅に引き上げれば、急激に搭乗率が下落し、結局は収益が維持できなくなるおそれがあります。そのため、サーチャージを引き上げると同時に航空運賃そのものを引き下げて、あまり変化をもたせないようにすることがよくあります。また、LCCではもともとサーチャージを課していない航空会社が多いので、これらももちろんサーチャージの引き上げの影響を受けません。

ただし、マイレージの特典航空券の場合は、こうした弾力性を持たせることが不可能なので、燃油サーチャージの引き上げがそのまま上乗せとなるので注意が必要といえるでしょう。

PROFILE

橋賀秀紀(はしが・ひでき)

トラベルジャーナリスト。特に航空券・マイレージをはじめとした海外旅行全般を扱う。東京都出身。訪問国は123か国・渡航回数200回以上。著書に『エアライン戦争』(宝島社)など。記事の内容についてのお問い合わせ・取材の依頼などについては hashigahideki@gmail.comまで。