• 私たちが空を目指した理由 航空会社に内定した学生の思い

私たちが空を目指した理由 航空会社に内定した学生の思い

空の旅を華やかに演出する航空会社は、学生の就職企業人気ランキングで昔も今も上位を占める。その人気の源泉はどこにあるのだろうか。航空会社の客室乗務員(CA)やグランドスタッフに内定し、この春から一線に立ち始める学生3人に、空の仕事を目指した理由や内定までの努力、どんなスタッフになりたいのか、語ってもらった。

今回、インタビューに協力してもらったのは、いずれも明治学院大学4年で、全日本空輸(ANA)の客室乗務員に内定した稲垣由希子さん、清海萌子さん、ANAエアポートサービスのグランドスタッフに内定した木村祐葵さん。

1年に一度だけ訪れる非日常の体験

――これまでの飛行機での旅の思い出は?

稲垣さん 飛行機に乗る時、何時間も前に空港に行くほどの航空ファンの父と、CAを目指し最終面接で涙をのんだ母の間で育ちました。そのためか、夏の家族旅行といえば、飛行機に乗れる北海道か沖縄でした。飛行機の旅は、1年に一度だけ訪れる非日常の体験であり、特別なイベントでした。

稲垣由希子さん

清海さん 大学1年の春休み、アルバイトで貯めたお金でオーストラリアの語学学校に約1カ月通い、英語の勉強と趣味のサーフィンに打ち込みました。行きの飛行機では、「着いたら何をしようか」とわくわくしていましたが、帰りは自分の英語のつたなさに落ち込んでいました。そんななか、流暢な英語で外国人のお客様と話す客室乗務員の姿に刺激を受け、意識するようになっていました。

木村さん 私が小学5年生のころから、父は東南アジアに単身赴任していて、毎年夏に家族で会いに行くのが恒例でした。行きは父に会える喜びでいっぱい、帰りはちょっと寂しい気持ちが混ざった機内でした。飛行機は私にとって、遠くにいる人に会うことのできる夢のような乗り物です。今でも空港に行くとワクワクした気持ちになりますし、乗る前は必ず展望台に行き、飛行機を眺める時間をつくります。

片言の日本語で和ませてくれたスタッフ

――客室乗務員やグランドスタッフを志望した理由は?

稲垣さん 最初は、飛行機や海外旅行、異文化に触れることが好き、という理由から、漠然と客室乗務員になりたいなと思っていました。でも、いざ就職活動を始め、OG訪問を重ねるうちに「こんなステキな女性たちと一緒に働き、自身を成長させたい」という気持ちが一番大きいことに気づきました。

木村さん 3年次にパリ留学していた時、国内旅行のため空港に行ったのですが、パスポートを忘れて乗れませんでした。返金もされず、新しいチケットを買わなければなりませんでした。その時、空港スタッフの女性が、パニック状態だった私たちを見て、片言の日本語で一生懸命笑わせようとしてくれました。焦って不安な気持ちでいた私たちは、初めて落ち着くことができました。トラブルが起きたときのスタッフの温かい対応に今でも感謝しています。

こういう経験もあり、大学生になることから、漠然と空港スタッフにあこがれるようになりました。接客の基本を学びたいと、ホテルのフロントでアルバイトしました。セルフサービスの浴衣をよかれと思い、手渡したところ、「ほっといてくれ」と言われたことがありました。求められるサービスは人によって違うことを思い知らされました。お客様のために自分にできることを追求できる仕事のやりがいを知り、グランドスタッフを志望しました。

木村祐葵さん

清海さん 私の母の姉は若いころに単身オーストラリアへ渡り、いまも現地で暮らしています。時々日本へ帰ってきては、現地の様々なことを教えてくれ、私は「国際的に働く自立した強い女性」として憧れを持っていました。そんな時、オーストラリアから帰る機内で、まさにそれを体現している客室乗務員の姿に刺激を受けたことが、志望するきっかけになりました。

留学の代わりにフィリピンで土木作業

――内定するために努力したことは?

稲垣さん 「CAになる!」と目標を定め、逆算しながら物事を進めてきました。エアライン就職に力を入れている大学を選び、TOEICはエントリーシート提出ギリギリまで毎月受験し、最後はスコアを100点上げることができました。また、留学に行けない代わりに、興味があったフィリピンでインフラ整備のボランティアに参加し、道を作る土木作業も経験しました。実はこの経験が面接で一番生きてくるネタとなりました(笑)。

木村さん 企業研究のために航空会社の整備工場見学に足を運んだり、空港に行って働く姿を観察したりしました。空港では、ベンチに座って、カウンターのスタッフがお客様とやりとりする姿をじっと眺めていました。インターンシップの参加にも力を入れました。グランドスタッフの仕事を身近で経験することができたので、その経験とその時感じた仕事への思いを伝えられるように面接前は何度も練習をしました。

清海さん 語学には特に力を注ぎました。大学2年次から必修以外の英語の授業を履修したり、学内のTOEIC講座に参加したりしました。英語以外では、周りの学生に差をつけようと新聞をスクラップしてコメントを書き留めていました。後にスクラップした記事がESで応用できたり、面接で応用できたりと、非常に役に立ちました。

清海萌子さん

学ぶ姿勢忘れず成長目指す

――どのような客室乗務員やグランドスタッフになりたいですか?

稲垣さん 頼ってもらえる客室乗務員になりたいです。お客様にとってはもちろんですが、仲間にとってもです。そのために、気さくで親近感のあるサービスができるよう心がけたいです。チームのバランスも保ち、仲間に頼っていただける存在になれたらいいなとも考えています。また、お客様はもちろん、先輩・同期・後輩からも学ぶ姿勢を忘れず成長し続けたいです。

木村さん 常にお客様に何をして差し上げられるか考えることのできるグランドスタッフになりたいです。インターンシップでグランドスタッフの方の仕事を見ていた時、ジャンプイン(飛行機が離陸する直前にチェックインする)のお客様がいて、その際の的確な判断とその後の対応が素晴らしくてとても感動しました。お客様にとって大切な時間を同じように大切に思い、最後まであきらめずにベストを尽くす姿が目標です。また、空港は多くの人と出会える場所でもあるので、自分と関わるすべての人から常に学ばせていただく気持ちを忘れずに、いろんなことにチャレンジしていきたいと思っています。

清海さん 私は現在プールの監視員としてアルバイトをしていますが、この仕事は客室乗務員の仕事に似ている部分があると考えています。監視員の年齢や性別も幅広く、毎回違うメンバーと仕事をしているため、自身がまとめ役になる時もあればそうでない時もあります。その中でも自分でできることを探し、小さな事でも仲間を思いやる行動をすることで、チームの中に信頼感が生まれ、良い雰囲気になります。するとチームの連携も上手くいくことが多く、結果としてお客様から信頼していただいたり、お客様の命も助ける事ができます。お客様や一緒に働く先輩や後輩などに、小さな事でも相手を思える行動ができる客室乗務員になりたいです。それが、お客様や仲間から信頼を得ることにつながると思います。