企画・制作:朝日新聞社メディアビジネス局


台湾の「エバー航空」は、英国のSKYTRAX(スカイトラックス)社の格付けで
最高評価の5つ星を獲得している世界の航空会社11社のうちの1社。
最高評価を受けたサービスはどのようなものなのか――。
朝日新聞デジタルの旅サイト「&TRAVEL」の辻川舞子編集長がレポートする。
最初に搭乗するのは、エバー航空の成田発、台北(桃園)行きのフライト。機内持ち込みの手荷物だけなら、自動チェックイン機にパスポートをかざすだけで手続きが完了する。搭乗券を手に搭乗ゲートに向かう。
子どものとき海外で暮らしたことのある私にとって、旅はいつも身近なものでした。ヨーロッパで味わった景色や食べ物。大人になって旅した南米での体験――それらすべてが、いまの自分を形作っていると感じます。いろんなところを旅してきたけれど、まだまだ行ってみたいところがある!空港で発着案内板を眺めるだけで、胸が高鳴ります。
乗り込んだ機体は、「ドリームライナー」と呼ばれるボーイング787型機。機体は金属ではなく、炭素繊維複合材が使われている。そのため水による腐食の心配がなく、客室内の湿度は従来の4倍ほど高く保たれているという。窓も大きく、機外の景色がよりダイナミックに楽しめる。シェードは、明るさが5段階に調整できる電子シェードが採用されている。
エコノミークラスでも、スマホに充電できるUSBポートが座席ごとに付いている。有料だが機内wifiも使えるため、気になるメールの確認や、SNS投稿も可能だ。ヘッドレストは、頭を固定できる仕組みになっていて、安心して眠れる。長時間フライトの必需品になっている首枕も、これなら不要かもしれない。
静電気で髪が枕に張り付き、肌はかっさかさ――。飛行機に乗るということは「乾燥との闘い」だと、いつも思っていました。ところが、今回感じたのは、日常と変わらない湿度。乾燥はストレスになるんだと、改めて気づきました。
トイレは、グレーの壁面と落ち着いた照明の、シックな空間。私は、モダンなパッケージのアメニティーに注目しました。ハンドローションやアロマミストの、ラグジュアリー感のある香りに癒されました。
台湾からの帰りの便は、同じくボーイング787型機のビジネスクラス「ロイヤルローレルクラス」。出発までのつかの間、桃園空港の出国エリアにあるエバー航空のVIPラウンジ「infinity」で休息した。軽食、飲み物のサービスが受けられるほか、シャワールームも使える。このラウンジはビジネスクラス利用者など限られた乗客しか入れず、座席にも余裕がある。空港内には、レストランやカフェはたくさんあるが、座席確保に苦労することも多い。人混みの空港内とは思えない落ち着ける環境に、ラウンジの価値はあるのかもしれない。
空港の喧騒の中に身を置くのは楽しいけれど、たまには静かに過ごしたい。ラウンジでワインを傾けながら、パソコンに向かったり、新聞を読んだり、ぼんやり窓の外を眺めたり。そんな自分に向き合える時間も、私は好きです。
台北-成田線の「ロイヤルローレルクラス」の機内食は、ニューヨークタイムス紙の世界十大レストランに選ばれた台北の点心料理店「鼎泰豐(ディンタイフォン)」監修の中華料理、10年連続でミシュランガイドの3つ星を獲得している京料理の老舗料亭「一子相伝 なかむら」監修の日本料理、西洋料理の3種類から選べる。
ワインなど飲み物メニューも銘酒がセレクトされている。2015年から2年連続で、エバー航空の機内提供ワインが英国の旅行専門誌「ビジネストラベラー」に「ベスト・ビジネスクラス・セラー」と認められた。機内シャンパンも2018年まで6年連続で、「ベスト・ビジネスクラス・スパークリング」を受賞した。日本酒なら、世界的な人気を集める「獺祭(だっさい)」などが選べる。
台北を訪れると、長い列に並んでも食べたくなる「鼎泰豊」の小籠包。それを、雲の上でいただくというぜいたく!皮からじゅわっとあふれるジューシーな肉汁は、お店と同じです。滋味あふれる鶏肉のスープ、胡麻の餡がたっぷり入ったおまんじゅう、香り高い烏龍茶……まるでレストランのようでした。
エバー航空が2012年に初めて導入した「ロイヤルローレルクラス」は、BMWデザインワークスが手を組み、2018年に運航開始したボーイング787型機でさらに進化した。純羊毛のシートカバーやレザー製のヘッドレストで仕立てられたシートに座ると、正面に18インチフルHDタッチ式パネルが目に入る。余裕のある空間のため、タッチ式パネルまで手が届きにくいが、すべての操作が手元のコントローラーでも行えるので非常に便利だ。
離陸前、客室乗務員から肩から斜めにかける3点式シートベルトを締めるよう促された。腰部だけを固定するのに比べ、安心感が高まる。座席は、フルフラットにすることができ、寝返りも十分可能な座席幅が確保されているので、ストレスを感じることなく、安眠できそうだ。マッサージ機能が付いているのもうれしい。備え付けのヘッドホンは、ノイズキャンセリング機能が付いている。頭にかけてコードを接続するだけで、機内の騒音がほとんどなくなる。映画や音楽を聴くだけなく、睡眠時に使うのも有効だ。
食事とお酒で胃袋が満たされたら、フルフラットになって、座席のマッサージ機能を選びました。ノイズキャンセリング機能がついたヘッドホンで好きな音楽を聴きながら、満天の星空に眺めているうちに、すっかりリラックスして眠りに落ちました……。
世界には700を超える航空会社があるという。スカイトラックス社はそのうち、毎年200を超える航空会社を対象に、空港サービス、座席、機内用品、機内食、エンターテインメント、客室乗務員のサービスなど、幅広い項目を調査している。調査には、乗客へのアンケートも含まれる。同社が高品質の究極の証である5つ星に認定しているのは、現在、エバー航空を含めて11社しかない。
ほかには、全日本空輸やシンガポール航空、カタール航空、キャセイパシフィック航空などで、アジア勢が目立つ。アジアの繊細な感性に根ざす、きめ細やかなサービスが評価されているのだろう。競合ひしめくアジアのなかで、今後どのように進化していくのか、私の中でエバー航空は、ずっと注目していきたいエアラインの一つになった。

辻川 舞子
1993年、朝日新聞社に入社。広告局(現・メディアビジネス局)に配属。ファッション業界を担当し、朝日新聞のファッション面新設で日本新聞協会の「新聞広告賞」を受賞。2013年の朝日新聞デジタル「&」の創刊から編集部員として携わり、2018年6月から編集長。