リノベーション・スタイル

<4>ホームシアターのある夢の部屋

 Hさんは、とにかく最初から部屋のコンセプトがしっかりとしていました。まずは、長年の夢だった「ホームシアター」を実現したいということ。そして、水につながりのある運勢なので「水」をテーマにしたい、と。そこで、打ち合わせの初日に“海中の潜水艦で映画を見る”というような部屋のイメージが固まりました。

 部屋は、何年か前にすでに購入されていた3DK。長年「リノベーションしたい」と思いつつ、忙しくてそのままの状態だったようです。和室もある典型的な間取りでしたが、思い切ってワンルームに。スクリーンの大きさが120インチと決まっているので、それを基準に全体を設計していきました。シアターリビングを広くとった分、それ以外はコンパクトにしています。

 ただ、できるだけ広く感じられるよう、シアターリビングはスクリーン側がもっと広く、向かい側に向かって徐々に狭くなる台形になっています。天井の高さも狭い方を低く、広いスクリーン側を高くして、空間に広がりを持たせています。シアターとベッドルームは台形に沿って斜めに引いたカーテンで仕切れるようにしました。

 部屋の入り口は潜水艦の入り口のイメージです。天井は海中っぽさを出すために濃い青でペイント。バスルームは水色のモザイクでまとめています。ちなみに、バスルームの窓を開けると、湯船につかりながらスクリーンが見えるんですよ。

 この部屋は、日常生活を営む場所を、まるごと非日常の“ホームシアター”にしてしまった“夢の部屋”。部屋に人を合わせるのではなく、人に合わせて部屋を自由に変えられるのが、リノベーションの醍醐味ですよね。(談)

(構成・宇佐美里圭)

PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

<3> 「かもめ食堂」と「居酒屋」をひとつに

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<5> R壁で生まれた、新しい廊下

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