リノベーション・スタイル

<8> 部屋のなかに自転車をつるして

[COSTA]<br>森田三朗さん(33歳)、央子さん(33歳)<br>東京都目黒区<br>築35年/59.67m²/工事費850万円


[COSTA]
森田三朗さん(33歳)、央子さん(33歳)
東京都目黒区
築35年/59.67m²/工事費850万円

 ご夫婦でメッセンジャー会社にお勤めで、自転車好き。最初から「室内に自転車を置きたい」とおっしゃっていました。そこで、「もしかして組み立てとかもしますか?」と聞くと、もちろん!とのこと。「じゃあ、部屋の真ん中に土間を作っちゃいましょう」となり、ちょっと変わった間取りが生まれました。

 物件はマンションの1階で、36平米の庭があります。さらにその先には公園が広がり、まるで緑の海。そこで、玄関から庭までを土間続きにし、自転車を部屋の中で自在に動かせるようにしたんです。リビング・ダイニングは土間より一段高いフローリングにまとめています。海に浮かぶボートハウスのようなイメージなので、「COSTA」(海岸)と名付けました。

 土間の天井には鉄製フックを取り付け、自転車を吊り下げられるようにしています。自転車のプロショップでよく見る方法ですね。自転車好きの友人も多いようなので、少し多めに自転車を架けられるようにしました。

 ベッドルームは他の部屋から独立しています。既存のガラスブロックが美しかったのでそのまま利用しました。キッチンは半クローズの対面型。ご夫婦が選んだグリーンがアクセントです。

 ちょっと凝っているのがバスルーム。こちら、実は黒のコルクタイルを使用しています。温泉などの大浴場で使うことはありますが、高価なので個人宅で使うことはほとんどありません。奥様の提案で使用することになったのですが、けっこういいんですよ。感触が柔らかくて冬でも温かく、音が吸収されるので反響しない。ちょっと不思議な感じがします。

 マンションは1階が敬遠されがちですが、庭があったりすると、戸建のよさとマンションのよさの両方を味わえるんですよね。今回のリノベーションは1階だからこそできたこと。戸建だと玄関が道路に面していても気にならないのに、マンションだとダメになるのはちょっと変ですよね。

 また、この物件は最寄り駅から遠いのですが、それも考えようです。自転車の移動が多ければ駅までの距離は関係ないですし、隣にある大きな公園も自分のものだと思っちゃえばいいんですよ。広大な公園の中に自分専用のコテージがある。そうすれば、バッキンガム宮殿に住んでいるみたいじゃないですか(笑)。正門から家まで公園を15分横切って玄関にやっとたどり着く、みたいな。

 ようは、すべて考え方次第です。「マンションは2階以上じゃないとイヤ」「駅から近くないと無理」という固定観念を取り払うだけで、選択の幅が広がりますよ。(談)

(構成・宇佐美里圭)

玄関から見たリビング。土間がそのまま庭まで続いている


玄関から見たリビング。土間がそのまま庭まで続いている

ワーキングスペースはあえてざっくりと。倉庫のような雰囲気


ワーキングスペースはあえてざっくりと。倉庫のような雰囲気

グリーンをアクセントにしたオープンキッチン


グリーンをアクセントにしたオープンキッチン

寝室のガラスブロックは既存のものをそのまま活用した


寝室のガラスブロックは既存のものをそのまま活用した

黒いコルクタイルを使ったバスルーム。冬も暖かいという


黒いコルクタイルを使ったバスルーム。冬も暖かいという

間取り図


間取り図

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

<7> 古道具の存在感を引き立たせる

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<9> 陽だまりで猫とゴロゴロしたい

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