リノベーション・スタイル

<20>玄関になんと3千冊収容の本棚

 Yさんは、ビンテージ家具など、古いモノが持つ味わいが好きな方。もともとは古い戸建てに住んでいましたが、老朽化で引っ越しをしなくてはいけなくなり、同じエリアで新居を探していらっしゃいました。最初は新築マンションも視野に入れていましたが、気に入ったものが見つからず、中古マンションを購入してリノベーションをすることに。

 そして、偶然出会ったのが今回の部屋。3面に窓があり、周囲より小高い場所にあるので眺めは抜群です。少し変わった形の間取りだったのですが、構造上取り壊せない壁だけを残し、キッチン、リビング、ベッドルームをひとつの空間に配置しました。部屋に入ると窓の外まで視線が抜け、広々とした印象を受けます。取り払えなかった壁の向こう側は個室のままにし、お客様が来たときに泊まってもらう部屋などとして活用することにしました。

 リノベーションの際に、Yさんから強い要望があったのは、膨大な本を収納する書斎が欲しいということ。そこで、玄関スペースを広くとり、床から天井までびっしりと本を置ける壁一面の本棚を作りました。梁の上にも収納スペースを作ったので、3千冊くらいは入るのではないでしょうか。玄関に本を収納するというのはちょっと斬新かもしれませんが、窓がないので本が日焼けしませんし、ドアを閉めれば一つの空間になり、廊下が書斎になります。

 もう一つ、要望があったのが暖炉です。マンションの部屋に薪ストーブの暖炉を設置するのは難しいですが、今は「エコスマートファイアー」というバイオエタノールを使う暖炉があります。要はアルコールランプを使ったガスコンロのような仕組みです。換気設備や配管などの工事をする必要がなく、有害物質を含む煙が出ないため、都心のマンションでも暖炉を作れるんです。

 バスルームを開放的にしたのも特徴ですね。キッチン横に上部が開いた白い壁がありますが、その裏に洗面台があり、そのままバスルームへ続いています。壁1枚を隔てて一続きになっているので、ベランダからの光と風がバスルームまで届きます。バスルームは間接照明とガラスブロックを組み合わせ、開放的ながらも落ち着いた雰囲気になっています。

 明るくシンプルな部屋に、センスのいい家具や小物が映え、丁寧な暮らしが伝わってくるお部屋ですよね。

(構成・宇佐美里圭)

PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

<19>バスルームからキッチンまで続く開放感

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<21>廊下に「広場」、バルコニーに風呂

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