リノベーション・スタイル

<23>渋谷徒歩10分、1階庭付き59m²

 都心に住みながらものんびり暮らしたい。そう思っている方は多いはず。勤務先が都内の場合は、やはり仕事場と家が近い方が便利ですし、好きな町に住んで、散歩気分でショッピングに出かけたいという方もいると思います。

 ただ、都内で新築マンションを購入するとなると、確実に超高級物件です。そんな中、中古マンションという選択肢を入れると、それほど背伸びをせずに理想の暮らしを手に入れることができます。

 河野さんご夫婦のお宅は、渋谷駅から徒歩10分程度。代官山も徒歩圏内で、まさに「渋谷に住む」という感覚です。築40年の中古物件ですが、1階で広い庭がついています。お二人はこの庭が気に入り、「庭を生かした部屋を作ってほしい」と、リノベーションの相談をしに来られました。

 そこで僕たちが考えたのは、庭までをひと続きの“原っぱ”と見立て、その中に小屋が点在しているというプラン。都心のど真ん中でのんびりした雰囲気を作ろうと考えました。

 小屋は、白くペイントした足場板を重ねて造っています。中にはキッチン、トイレ、バスなど水回りをまとめました。クローズ型のキッチンですが、窓をつけたのでリビングとつながりを感じられます。

 全体のゾーニングは大きく変えていませんが、スペースを広く使うため、寝室をリビングに持ってきて、ワンルームにしています。寝室とリビングの間にはブラインドをつけたので、人が来たときは隠せます。

 フローリングはアンティーク調のナラ材です。「釘キズ」「塗装の染み」「ブラシ跡」など、いろいろな加工のミックスができます。日本人の普通の生活で、ある程度の風合いを出そうとすると、たぶん300年くらいかかっちゃうんですよ(笑)。

 ここ5年くらいはナラ材が流行っていますね。少しワイルドで、色の変化がいいんです。暗い色にしても明るい色にしてもいいし、節が多くないのでカントリー調になりすぎない。ほどよく癖がある感じがちょうどいい。

 このお二人のように、中古マンションなら、リノベーションをして自分たちだけの空間を造りながらも、新築を購入するより安くあがります。築年数の古い物件は大きく値下がりもしないので、資産性も高いんです。新築マンションの場合は、だいたい20年で半値くらいまで下がるのが相場です。

 もちろん、新築は耐震もしっかりしているし、それなりにトレンドも取り入れたインテリアなので良い面もあります。ただ、それが自分にとって必要か不要か、ライフスタイルを編集することで、思ってもみなかった暮らしが手に入ることもありますよ。

(構成・宇佐美里圭)

PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

<22>セミオーダーのリノベで「カフェ部屋」

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<24>シャープな「独房」にレンガのアクセント

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