リノベーション・スタイル

<28>洗面所を外に出し、引き戸で広さを

 ご紹介するのは、もともと住んでいた部屋を“TOKYO*STANDARD”というセミオーダーパッケージプランを使ってリノベーションした例です。自由に間取りを変えられ、床材や壁などの材料はプリセットの中から選び、比較的リーズナブルに短時間で部屋を変えられることが魅力です。

 Kさんご夫婦は以前から住んでいたマンションで長年感じていた不都合なところを一気に解決したい、と相談に来られました。ただ、壁が構造体となっていたので、間取りは大きく変えられません。そこで、少しずつ部屋を微調整していくことにしました。

 まず、おふたりがいちばん変えたかった水回り。洗面所、洗濯機置き場、トイレ、浴室が一室にまとまっていたのですが、とても狭く、着替えるスペースも十分にないほど。廊下のドアを開けた後に、もうひとつトイレのドアがあるのというも使い勝手がいまひとつでした。そこで、洗面所は外へ出して洗濯機置き場を広くし、お風呂とトイレの動線も二つに分けました。それだけでかなりストレスは軽減されたと思います。

 洗面所を外に出すのは意外といいんですよ。外でも何かと水は使いますし、見える場所にあっても嫌なものでもありません。壁をへこませて洗面スペースを作り、オープン型にすることもよくあります。

 もうひとつ、大きく変えたのは収納です。今まで押し入れや部屋のあちこちに散らばっていたモノを、ウォークインクローゼットにすべて入れました。1カ所にモノを集めることによって空間が整理され、書棚の前にフリースペースまでできました。

 ウォークインクローゼットは通り抜けできるように作ったので、玄関側とクローゼット側に廊下ができた感じです。一応引き戸も付けてありますが、開けてある状態がデフォルトです。ゲストルームも同様。トイレ以外はすべて引き戸にし、必要のあるときだけ閉めるという作りにしています。

 今回のポイントは、暮らし方を見つめ直し、空間をチューニングしたこと。新しく造作したのは本棚だけで、家具は以前使っていたものをそのまま使っています。180度暮らしを変えるのではなく、空間を調整して、生活をアップグレードすることに成功しました。

(構成・宇佐美里圭)

PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

<27>部屋とつながるバルコニーから絶景

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<29>部屋の中に三つの小屋がある

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