リノベーション・スタイル

<36>「アメリカの警察署のような部屋」って?

 結婚を機に、ご主人の勤務先に近い川越エリアで新居を探していた志村さん夫婦。志村さんは学生時代から我々のことを知っていて、「いつかはブルースタジオで」と思っていてくれたようです。

 そんなわけで、今回のリノベーションは長年積み重ねてきた志村さんの「理想の住まい」のアイディアをひとつひとつ実現していくことになりました。

 まず最初の打ち合わせで出てきたのは、「アメリカの警察署のような部屋」という言葉でした。突き詰めて行くと、つまりそれは古いビルで、スチールサッシがあったり、カーペットが敷いてあったりということ。「ジャーナルスタンダードファニチャー」のカーキ色のソファを置きたい、など具体的に家具のイメージもありました。

 そこで、「1960年代のアメリカ映画に出てくるようなオフィス」という要素を散りばめて部屋全体をまとめていくことに。建具はできるだけ木製にし、玄関からキッチンにかけては、オーク材の無垢のフローリングをパーケット貼りにしました。キッチンシンクや棚もそれに合わせました。壁側にはちょっとしたダイニングスペースを設けましたが、どこかアメリカのダイナーっぽい雰囲気ですよね。印象的な、炭がかったブルーの壁は、木のブラウンが一番きれいに見える色を選んでいます。

 キッチンを一段おりると、タイルカーペットのリビングへ。リビングはふたつありますが、ガラスで仕切っているため広く感じられます。将来的には奥のリビングを子供部屋にすることを想定しています。

 玄関の廊下とLDKを仕切る引き戸は、一面を黒板塗装でペイントし大きな黒板に。いま、黒板はちょっとした流行りなんですよ。黒板塗装にはピンクやブルー、グリーンなどいろいろあります。

 リビングの反対側には、ベッドルーム、バスルーム、洗面所、トイレなどが一体になった空間あります。玄関から中に入ると左側にドアがあり、そこからウォークスルークローゼットを通って、ベッドルームへつながっているのです。クローゼット横には洗濯機もあり、生活動線がスムーズです。このような空間のつなげ方は、女性に人気がありますね。

 取っ手などの細かいパーツやシンク、照明などにも徹底的にこだわり、志村さんが長年夢見ていた理想の住まいが実現しました。

 ちなみにこちらの物件は560万円と破格の値段でしたが、それは郊外という理由だけでなく、隣が墓地だったということもあります。日本人には気にする方が多いですが、静かだし隣に建物が立つこともなく、考え方によってはよいことばかりなんですよ!

(構成・宇佐美里圭)

PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

<35>暮らしのリズム生む「長屋」風で

一覧へ戻る

<37>ギャラリーのような都心の隠れ家

RECOMMENDおすすめの記事