東京の台所

<37>片付けでストレス解消 パーティで整頓

〈住人プロフィール〉
 スタイリスト(女性)・53歳
 戸建て・3LDK・JR武蔵野線 新秋津駅(東村山市)
 入居3年・築3年

    ◇

 夫を早くに亡くし、スタイリストとして身を立ててきた。だから、もの選びはお手のもの。それ以上に得意なのが片づけと整理だ。

 ちょっと開けていいですか?とたずねると「どうぞどうぞ」と快諾。私が逆の立場なら絶対困るのだが、見事にシンクの上下のどの扉を開けても、食器棚のどの引き出しを開けても、パズルのようにキレイに整理整頓されていた。

「もともと、どうやったら取り出しやすく、スッキリ収まるのかなと考えるのが好きなんです。もやもやしているときは床みがきや整理をしていると、もやもやも忘れ、部屋もすっきりして一石二鳥です」

 100円ショップのカゴも上手に間仕切りに利用している。コツは、安いからと思いつきで買い足さず、同じ形、大きさに統一して買うことだそう。引っ越しのたびに、仕切りに使うカゴは捨てて、引き出しに合わせて新しいものに買い替える。

「ちょっともったいないですが、引き出しのサイズに収納道具を合わせるのと合わせないのとでは、整理のしやすさが全然違うんですよね」

 3年前に実家近くに購入した一軒家では、年に3~4回、大きなパーティを開く。25人くらいに一斉にメールを出し、テーマを決めて手料理を振る舞う。それもまた、家を整える励みになっているという。来客に片づけを手伝ってもらいやすいように食器の置き場所を考えると、結果的に見た目も整うからだ。

「でもね、整理の一番のコツは持ちすぎないこと。捨てること、買いすぎないことが大事なんですよね。持ちすぎると、ものが家に滞る感じで、心もすっきりしません。もったいないなと思っても、一度けじめを付けることが必要。持ちすぎるといいことがないし、逆にものを入れ替えると心も軽くなりますよ」

 人生で何か新しい事にチャレンジするというときも、まず台所や部屋を片付けるとか。

「片付けないところに新しいものを足してもだめなんですよ」

 だが、きっちりした生活には、ちゃんと抜け道も作ってある。

「昔はなんでもがんばっても気を張って完璧に、と思っていたけれど、今は気を抜くことも大事って思うようになったんです。だからどうしても体が重いときは、今日はな~んにもやらない日って決めて、1日中パジャマでソファでゴロゴロしているの。ぐだぐだ過ごしてもいい日を作るんです」

 きっちりの日と、ゆるい日と。自分のあやし方を知っている大人の台所は整っているが、汚すと怒られそうな妙な緊張感はない。昼下がり、猫の陸くんがニャンといいながらシンクの上に登って、いつまでもこちらを見ているのであった。

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PROFILE

大平一枝

長野県生まれ。失われつつあるが失ってはいけないもの・こと・価値観をテーマに各誌紙に執筆。著書に『東京の台所』『男と女の台所』『もう、ビニール傘は買わない。』(平凡社)、『届かなかった手紙』(角川書店)、『あの人の宝物』『紙さまの話~紙とヒトをつなぐひそやかな物語』(誠文堂新光社)、 『日々の散歩で見つかる山もりのしあわせ』(交通新聞社)、『昭和式もめない会話帖』(中央公論新社)ほか。最新刊は『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』(大和書房)。HP「暮らしの柄」。
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