リノベーション・スタイル

<39>「宴会ベルトコンベア」で家呑み仕様に

 テーマはずばり「居酒屋」です。ご夫婦ふたりともお酒が好きで、仕事が終わって帰宅したら、家でのんびりお酒を飲むのが楽しみだそう。週末も、友達を家に呼ぶことが多く、「飲食を楽しむ」ということが生活の中心にありました。

 そこで考えたのが、私たちが命名した「宴会ベルトコンベア」というキッチン、テーブル、畳へと続く一連のシステム(笑)。まず、テーブルとコンロを一体型にして、作る、食べるという行動をつなげました。そして、さらに、おふたりから要望があった畳スペースも、コンロやテーブルと並ぶように一直線に設置したのです。

 畳は小上がりにして高さを調節し、畳に座っても椅子と同じテーブルにつくことができるようになっています。ちょうど掘りごたつのような感じです。畳スペースは広めにとったので、ゴロゴロ寝転がったり、酔っぱらってそのまま寝たりすることもできるようになりました(笑)。

 椅子は1組置くのがちょうどいいスペースなので、ダイニングテーブルには5名くらいがぴったり。小さな居酒屋のような雰囲気です。

 フローリングのリビングには、シングルシーターの椅子を二つ置いてあります。ソファで寝っ転がりたいというのでなければ、シングルシーターは場所も取らないですし、ダイニングチェアにもなり、使い勝手がいいですよ。

 椅子に座ったり、畳であぐらをかいたり、立ったり寝転がったり……自分が動くことによって部屋のシーンが変わりうるのです。

「ベルトコンベア」がある部屋の半分がパブリックスペースだとすると、あとの半分がプライベート空間です。そちら側には寝室、ウォークスルークローゼット、洗面台、トイレ、バスルームなどを縦にまとめました。

 この物件は東と西、両サイドに窓があるので、風通しを生かすためにバスルームに大きな窓をつけ、リビングとつなげました。こうすることによって、寝室からリビングまで風が抜けます。ふつう、クローゼットは湿気のたまるところには置きませんが、今回は例外。風通しがいいので、サニタリールームの壁面収納をクローゼットにしています。

 部屋の造りは、一見、以前紹介した「RIKUBUN」と似ていますが、コンセプトはまったく違います。生活のどこに重点を置くか、何を優先させるか。それによって家全体の作りが変わってくるのです。

(構成・宇佐美里圭)

PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

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