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夏だ! 祭りだ! 踊らにゃ損々

『大好きに会いに行こう! 世界のお祭り(フェス)&イベントガイド』(サンクチュアリ出版)、trippiece(トリッピース) (監修)、1620円(税込み)


『大好きに会いに行こう! 世界のお祭り(フェス)&イベントガイド』(サンクチュアリ出版)、trippiece(トリッピース) (監修)、1620円(税込み)

夏はなぜか、ドキドキそわそわする季節だ。

近所に遊びに出るよりはバッグ一つで無茶な冒険をしてみたくなったり、普段気にもならないのにふと恋に落ちてみたり。夏のこの感覚は、遺伝子レベルで私たちの体に刻まれて入るような気さえするのだ。だからなのか、日本のお祭りも世界のイベントごとも夏は特に盛り上がる。暑い。そして熱い。だからこそ祭りを楽しむための1冊を紹介したい。

この数年、世界で開催される祭りやイベントへ参加すること人が増えているという。『大好きに会いに行こう!世界のお祭り&イベントガイド』は、現時点で私でも参加可能な世界中の祭りとイベントがまとめられた今までにない一冊。そう、祭りは参加するということが何よりも大事なのだ。

そもそもの祭りの起源は、「五穀豊穣」への感謝と祈りといわれているが、いやあ、世界は広くて深い。本書を読むと、目からうろこの祭りが一年を通して世界中で開催されているのだ。

有名なスペインのラ・トマティーナは、バレンシア州ブニョールという小さな町に四万人もの人々が集まり、なんと約六十万個のトマトが飛び交い、皆をトマトだらけにする。この祭りの起源は正確には分かっていない。野菜売りのスタンド前での喧嘩でトマトを投げ合った、住人同士での階級闘争、様々な言われがあるのだが、ただただトマトにまみれてばか騒ぎをする。

ほかにも、世界一のプロデュース集団と言われるブラジルリオのカーニバル。

各家庭の手作りヨーグルトの最優秀賞を決めるブルガリアのヨーグルト祭り。勾配45度の坂からチーズを転がしてとにかく追いかけるというチーズ転がし祭りなど、意義を問うことさえはばかられるような催しも多い。本の中には、祭りを通してただただ「今を生きる」を謳歌(おうか)する人々が登場する。

そもそも地域で行われていた祭りは、その準備や本番では必ずご近所同士の集まりを生み出す。あいつ今日顔出さなかったな、ちょっと体調悪そうだったな、というようなお互いの気づきが、その地域のコミュニティーや人々の健康をきっと支えてきたのだろう。

そんな祭りも今では誰もが参加可能となり、世界中の人々の交流の場になりつつある。祭りの持つ役割は多様化したが、変わらないことはただ一つ、同じ阿呆(あほう)なら踊らにゃ損だということ。

今日も世界のどこかで、人々は祭りに踊り祈り、歌い跳ねる。
それは肉体的で美しく、それこそがライブなのだ。これだけネットで繋がることができても、それでも人は祭りに酔う。今年も短い夏を楽しもう。

(文・大西 真那)

PROFILE

蔦屋書店 コンシェルジュ

12人のブックコンシェルジュの皆さんに、
そのとき、一番おすすめの本を週替わりで熱くご紹介いただいています。
●代官山 蔦屋書店
間室道子(文学)
●二子玉川 蔦屋家電
岩佐さかえ(健康 美容)/大川 愛(食)/北田博允(文学)
嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)/松本泰尭(人文)
●湘南 蔦屋書店
川村啓子(児童書 自然科学)/重野 功(旅行)/羽根志美(アウトドア)
八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)

大西真那(おおにし・まな)

代官山 蔦屋書店のオープン前から同店の企画に携わり、現在は、料理と旅行のフロアの責任者として店頭に立つ。旅行好き、島好き、島の中では瀬戸内の直島好き。

こんな風に年を重ねたいと思わせるバイブルのよう

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低く静かに響く波の音。心の澱を洗い流す海小説

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