花のない花屋

小学校受験で合格した6歳の一人娘に

  

〈依頼人プロフィール〉
吉橋若実さん 42歳 女性
東京都在住
公務員

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6歳になる一人娘がいます。昨年の秋にふと、近所の私立小学校を見に行くと、とてもいい雰囲気でした。歩いて行けるし楽しそうだから「ちょっと受けてみる?」と、軽いノリで、娘の「お受験」がスタートしました。

私たち夫婦は小学校受験をしたことがありませんし、「なんとしても私立!」というわけではありませんでした。でも、子どもと一緒に学校見学へ行くと、娘はノリノリになり、「早く学校に行きたい!」「制服を着てランドセルをしょいたい」と、親がびっくりするほどやる気満々になってしまいました。

教室は毎週土曜日。お弁当を持って、朝10時から午後2時半ごろまで“勉強”します。午前中は読み書きを習ったり、話を聞いた後にその内容に関することを答えたり。季節の花や行事、モノの名前を覚えたりもします。そして午後は工作や体操。「お受験」の独特な世界があり、私にとっても新鮮でした。

夏や冬には特別講習などもあって、私たちは「そこまでやるの?」と驚きの連続でしたが、娘は嬉々として取り組んでいました。難しい問題も、解き方を教わると大人より早く解いたり、やり方を私に教えてくれたり。私が6歳の頃とはまるで違う! 娘は「もっと宿題欲しいなー」とまで言い、親がどん引きするほど(笑)はまり込んでいました。

もしかしたら、タイミングもよかったのかもしれません。無理強いはさせないようにしましたが、子どもが「やりたい」というときにチャンスを与えれば、どんどん伸びていくのだなあと、子どもの力にびっくりしました。

それから1年が経ち、無事、試験に合格しました。これだけ頑張ってきたのだから、受かっても落ちても「花まる」をあげるつもりでしたが、合格をいただいたので、ぜひ東さんのお花を娘にプレゼントしたいです。

娘はキラキラ、ひらひらしたもの、ピンク、赤、水色といった女の子らしいものが好きで、将来はパティシエになりたいそうです。とはいえ、好きなのは洋菓子より和菓子。できれば和風の華やかさのある花を、大きな花や小さな花も混ぜてつくっていただけたら嬉しいです。

  

花束を作った東信さんのコメント

合格おめでとうございます。「花まる」をそのままストレートに表現しました。娘さんが好きだというピンク、赤、水色の小花を中心に使い、まあるいお花畑のようにしています。

ピンク系はネリネやブバリア、バラなど。和風の花が好きとのことなので、千日紅も加えました。ブルー系はブルースターやデルフィニウム、ビバーナムの実です。

ピンクとブルーを組み合わせることはあまりないのですが、実際にやってみると意外と素敵な組み合わせになりましたね。

かわいらしい花束、気に入ってもらえたでしょうか?

  

  

  

  

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>「花のない花屋」まとめ読み

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

小学校受験で合格した6歳の一人娘に

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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