Woman’s Talk

〈Woman’s Talk〉「何かを成し遂げるんだ」の思い、ずっと 吉田羊さん

小さな頃から「演じる」ことが好きでした

 人気急上昇の女優さんだ。昨年、TVドラマ「HERO」でカッコイイ検事を演じて注目され、いまやドラマ、映画の予定が目白押し。もっとも、売れっ子になって、と騒がれることに少し違和感があるようだ。
 「ブレイクって言われると、ほんとに嫌ですね。ブレイクしちゃうとあとは下るだけなので。より一層精進しないといけない、浮かれていたら足元すくわれるという思いですね、いまは」
 女優になろうと思ったのは大学3年の時。まわりが就活するなか、会社勤めする自分の姿が全く想像できず、ふと、小さな頃から「演じる」ことが好きだったことを思いだした。
 「誰かを演じるおままごとが好きで、中学1年までやめられなかったんです。高校3年の時に、体育祭で応援団長をやり、ファンクラブみたいなものができて、人前でパフォーマンスをして評価されること、私、好きかもと、それが原体験かもしれません」
 雑誌「ぴあ」に出ていた小劇場の女優募集広告に応募、ヒロインを演じ、以降、年に1、2本のペースで芝居をする世界に「どっぷり浸かっていた」。その後、映像の世界に誘われ、ドラマや映画に出演、しかし評価する人がいる一方、名前と顔が広く売れるまでには届かないできた。
 「いまの私の結果なんだろう、当然なのだと思っていましたね。だから不安とか焦燥感はなかったです。基本的に私は自信がない人なんです」
 綺麗でカッコよく、存在感もある。そんな人から「私は自信がない人」という言葉が何回も飛び出した。
 「5人兄姉の末っ子で、自分はいつも半人前との意識が強かった。家族に対する劣等感というか、姉や親に認められたいとの思いが人一倍強くて、その裏返しに自分は何かを成し遂げるんだと、その思いがずっと強くありました。でも役者になっても自分のできなさ加減を実感、できないことを探してしまいがち。多分一生芝居をしていても、満足することはないでしょうね」

成功を信じてくれる人が一人でもいれば、力になる

 いまやバラエティにも出演。旺盛なサービス精神が伝わる。手を抜けない人だなと思わせる。だからだろうか、一番好きな場所は家で、一番好きな時間は家にいる時間だと話す。
 「何もしなくていい日はずっと家にいて、誰にも会わず、体が欲するままに過ごしています。DVDを見たり、半身浴が一番好きかな。この間も気づいたら5時間も入ってました(笑)」
 そんな吉田さんが今回「挑戦した」のが映画「ビリギャル」の母親役。「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」とのタイトルで話題の実話本の映画化だ。子どもを信じ応援する前向きで優しい母親を演じた。
 「いつもは自分に寄せて役を作ることが多いけど、今回は自分をゼロにして。ご本人にお会いし、どれだけリアリティをもたせられるかが一番の課題でした。そういうアプローチは初めてでしたが、苦労した分、貴重な経験でした」
 母親そのものになっていましたよと話すと、「すごくうれしい、泣きそうだ」と笑った。「失敗だなと思った時はすごく落ち込み、家で号泣します」とも。ひたむきな人である。映画の見所について「奇跡が起きるには、ちゃんと理由があるということを伝えている映画です。成功を信じてくれる人が一人でもいれば、それだけで力になる。奇跡を起こすヒントを、映画を見てそれぞれに見つけて頂きたいと思います」。自身を語っているような、説得力ある言葉だった。

撮影:福山楡青/文:追分日出子

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よしだ・よう(女優)
福岡県久留米市生まれ。小劇場の舞台女優出身。2007年TVドラマデビュー。14年「HERO」の検事役で注目される。今年5月1日公開『ビリギャル』(全国東宝系ロードショー)出演。4月11日~「ドS刑事」(日本テレビ系列)出演など。

■この記事は、2015年4月19日付朝日新聞朝刊「ボンマルシェ」特集のコーナーの転載です

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