花のない花屋

福岡に離れて暮らす3人の姫たちへ

  

〈依頼人プロフィール〉
御舩周子さん 47歳 女性
神奈川県在住
会社員

    ◇

仕事で忙しい毎日を送る私の元気の源は、かわいい3人の姪(めい)たちです。
彼女たちは私の2人の妹の子どもたち。いちばん上は中学3年生、その下が2人とも小学校6年生。私が3年前に転勤で福岡から関東に引っ越してくるまでは、みんなでしょっちゅう会っていました。

誕生したときの感動、私の名前を初めて呼んでくれたときのうれしさ、女の子だけのお泊まり会や料理レッスン……。すべてがキラキラとしています。

大きくなってからは、私が作る料理やお菓子を特に気に入ってくれて、毎年バレンタインデーの前はみんなでチョコレートを作っていました。それはにぎやかなものでした。
私は管理栄養士の資格もあり、食品開発を仕事にしているほどの料理好きです。姪っ子たちも料理に興味をもって取り組み始めたことが何よりうれしいのです。

私が離れたところに引っ越してからも、バレンタインになれば「今年はこんなチョコ作ったよ」と報告してくれたり、ハロウィンになれば「かぼちゃケーキ作ってみたよ」「ここがうまくいかなかったけど、どうしたらいい?」などとメールをくれたり。一人暮らしで子どももいない私にとって、彼女たちとやりとりは生きる励みになっています。

最近は忙しくてなかなか福岡には帰れませんが、私の誕生日には必ずお祝いの連絡をくれます。そろそろ姫たちの笑顔に会いたいなあ。おいしいご飯を作ってみんなで女子会したいなあ。気がつくといつもそんなことばかり思っています。

今年は、上の子は高校受験、下のふたりは中学受験を迎えます。これからの人生、強くたくましく優しい女性となり、未来を切り開いて欲しいという気持ちを込めて花を贈りたいです。そして、これからも大好きな姫たちと、“叔母と姪”という関係を超えた素敵な絆を築いていけたらいいなあ……。

3人は料理、手芸、絵画、ピアノが趣味。ピンクや紫でふんわりとした感じが好きです。福岡に住んでいた頃は近所に大きなミモザの木があり、大家さんからミモザをもらうと、彼女たちも「それなんていうの?」と興味を示し、おすそ分けしたことがありました。ミモザをみると、なんとなくあの頃を思い出します。

  

花束を作った東信さんのコメント

3人の“姫”へのお花なので、ピンク、紫、黄色の3色でまとめました。ピンクのチューリップは2種類使っていて、一つはフラッシュポイントという緑のラインが花弁に入ったもの。もう一つは端がギザギザしたカリスピオンスイートというもの。これは今年出てきた品種です。チューリップは品種改良が進んでいて、毎年新しいものが出てくるんですよ。

紫はスイートピー、黄色は4人の思い出の花、ミモザです。短く切ってぐるりとまわりにたくさん差しました。ミモザは花束のアレンジにはあまり使いませんが、こうやって差すとかわいらしいですよね。

ピンク、紫、黄色という色の組み合わせはあまりしませんが、春らしくきれいにまとまりました。お姫さまたちは喜んでいただけましたか?

  

  

  

  

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

福岡に離れて暮らす3人の姫たちへ

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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