あゆみ食堂のお弁当

<4>初心を思い出す、ゆかりふりかけのお弁当

  

<依頼人プロフィール>
岡 磨理絵さん 29歳 女性
東京都在住
会社員

    ◇

5年前、大学卒業と同時に地元の関西から上京しました。就職したのは、公園の遊具や街の案内板など、公共スペースの空間をデザインする会社。駆け出しのデザイナーだった私は、とにかく懸命に仕事を覚える日々でした。

初めての東京生活で驚いたのは、家賃や物価の高さ。できるだけ節約したいという気持ちがあったのと、はじめは人見知りで、なかなか先輩たちと一緒にお昼を食べに出かけられなかったこともあり、毎日お弁当を持っていくようになりました。

はじめのうちは、できるだけ彩りや栄養バランスを考えて作っていたのですが、しょせんは「自分のためだけに作る」お弁当。徐々に適当になってきて、最後には白ごはんにゆかりのふりかけだけという、超手抜き弁当を持って行ったこともありました。そのお弁当を見たときの同僚たちの引きっぷりは、今でも忘れません(笑)。

入社して今年で6年目。仕事にも人間関係にも慣れて、今ではランチタイムは同僚たちと外食する日々です。とてもすてきな職場なのですが、じつはこのたび、転職することになりました。新しい仕事はアートスクールの企画・運営。子どもたちが放課後に立ち寄れるフリースペースで、アーティストさんと一緒にもの作り体験ができたり、アートイベントに参加できたりする空間を作る仕事です。

「子どもたちが、楽しく勉強できる場所を作りたい」。そう強く思ったのは、教育大学に通っていた学生時代。教育実習で見た実際の授業風景に、違和感を持ちました。ただ机に座ってぼんやりしている生徒たち。どうしたらもっと楽しく勉強してもらえるんだろう? そのひとつの選択として選んだ道が、前職の学校や街などの公共スペースを作るデザイナーになることだったのです。

そして今、より子どもたちの近くで学習現場を作っていける機会に恵まれました。前職とはまったく違う職種になるので不安や緊張はありますが、「楽しく勉強できる空間を作りたい」という気持ちは、ずっと変わっていません。少しずつですが、自分の夢にまた一歩近づけたような、清々しい気持ちでいます。

今回、あゆみさんにお願いしたいのは、私のためのお弁当です。5年前、ひとりぼっちで上京し、慣れない職場で頑張っていた自分。その頃はふりかけ弁当しか作る余裕はなかったけれど、それくらい必死だったのでしょう。今、新しい仕事をスタートさせるにあたって、あの頃の初心を思い出せたら……。きっとどんなことでも乗り越えられると思うんです。そういう意味で、またお弁当作りを再開したいと思っています。

子どもたちが、いつ来てもわくわくできる空間を作ること。それが私のこれからの夢です。だからこそ、私自身も毎日わくわくできるような、明るくて楽しいお弁当を作っていただけたらうれしいです。

いつもの食材でひと工夫

7~8分ほどゆでた卵は殻をむいて、スパイス醤油だれの入ったポリ袋へ。ポリ袋を使うと、少ないたれでもしっかりと味がなじみます


7~8分ほどゆでた卵は殻をむいて、スパイス醤油だれの入ったポリ袋へ。ポリ袋を使うと、少ないたれでもしっかりと味がなじみます

<献立>
・二色ごはん(ゆかりふりかけ、かぶの葉とゴマふりかけ)
・スパイス醤油漬け卵
・豆苗と鶏のササミとちくわのピーナツラー油和え
・焼きかぶ
・にんじんサラダ

<お弁当を作った大塩あゆ美さんのコメント>
今回は転職して新しいお仕事を始めるにあたり、わくわくするようなお弁当をということだったのですが、それと同時に、上京したばかりの頃の思い出の味も一緒にお弁当箱に詰め込みました。

ごはんは、ゆかりとかぶの葉を使ったふりかけで2つの味を楽しめつつ、おかずにもかぶを使うことで、無駄なく一つの食材を使い切れるようにしました。
投稿者の方が、昔よく「手抜き弁当(笑)」に使っていたというちくわは、ラー油やピーナツなどと一緒に和えて、ひと味違ったエスニックな味わいに仕上げました。

それぞれの食材はいつでもスーパーで買えるものですが、調理法や調味料を少し工夫すれば、献立のマンネリ化も防げますし、何より毎日のお弁当作りが楽しいものに変わるはずです。次はどんな味付けにしようかな、そんなふうにあれこれ考えて挑戦することで、お弁当づくりそのものがわくわくするものに変わったらうれしいなと思います。

新しい毎日のお弁当作り、気負わず楽しく続けてくださいね!

<献立>二色ごはん(ゆかりふりかけ、かぶの葉とゴマふりかけ)/スパイス醤油漬け卵/豆苗と鶏のササミとちくわのピーナツラー油和え/焼きカブ/にんじんサラダ


<献立>二色ごはん(ゆかりふりかけ、かぶの葉とゴマふりかけ)/スパイス醤油漬け卵/豆苗と鶏のササミとちくわのピーナツラー油和え/焼きカブ/にんじんサラダ

どんな献立にもなじむよう、お弁当箱はベーシックな楕円形のわっぱに。使うほどに味が出るので、長くお弁当作りを続けてほしいという願いを込めて


どんな献立にもなじむよう、お弁当箱はベーシックな楕円形のわっぱに。使うほどに味が出るので、長くお弁当作りを続けてほしいという願いを込めて

(ライター/小林百合子)

<3>いつも「できたてドカ弁」を配達してくれた母へ

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<5>医者を目指して猛勉強中の、10歳の娘へ

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