Woman’s Talk

〈Woman’s Talk〉お芝居のことを考えている時間が一番好き 仲間由紀恵さん

私じゃないのに泣いてる! 面白い仕事だなと思います

 NHKドラマ「美女と男子」(毎週火曜22:00~)に主演。その撮影現場にうかがった。上から目線のキャリアウーマンが、弱小芸能プロダクションに出向を命じられ、素人マネジャーとしてスカウトした男子と共に奮闘する物語。テンポの早い、楽しいドラマだ。

 「え、そんな展開?って(笑)、いい意味で、期待をいっぱい裏切ってくれるドラマです。でも人生の厳しさやこの業界の厳しさをリアルに描いてくれていて、面白いなと思います」

 働く母親役でもある。が、忙しい妻に不満な夫が浮気し、離婚を突きつけられる。

 「家庭と仕事の両立って、できて当たり前と思われがちだけど、当たり前ではないよねっていう、そこもリアルだと思うんですね」

 ドラマはコメディー要素もたっぷり。これまでも、「ごくせん」「トリック」と、代表作にコメディーも少なくない。

 「私の役は、笑わせようと思ってというより、人と違う一生懸命さが出てしまって、カラ回っている、そのクスっと笑える部分が誇張され表現されているように思います。今回もほんとはシビアで痛くて辛いことなのにコメディーだから言える、その意味で、コメディーって、素晴らしい表現だと思うし、私は好きですね」

 それにしても、古くは「ごくせん」から最近では「花子とアン」の蓮子役と、役柄がほんとに幅広い。どちらも不思議と似合っている。ご本人も、自分とは全く違う人物を演じることが女優という仕事の面白さ、だと語る。

 「自分と違う人物を突きつめて、その人の感情で動く。時に私じゃないのに動いている!私じゃないのに泣いてる!(笑)と、ふと我に返り、面白い仕事だなと思います。そのなかで様々な発見もあり、自分自身を振り返ることもあり、人生の勉強をさせてもらっている感覚があります」

ときどき、「ダメだ」と思って、ヒールを履いて、スカートをはきます(笑)

 昨年、演技派の人気俳優と結婚。もっとも、その雰囲気に何の変化も感じられない。伝わってくるのは仕事へのひたむきさ、とでもいおうか。なにより「役者」という仕事が好きなのだという思いが強く伝わる。ときに「仕事しかしていないからなあ」とつぶやき、「台本を手放すことあまりないかも、お風呂にも時々持っていっちゃうし」とも笑う。

 「やはり好きだなと思うのはお芝居をつくっている時間です。台本を読んで、いろいろな解釈ができるなとか、いろいろ考えて想像を膨らませる時間が一番面白く、楽しいです」

 日頃のファッションも「Gパンとシャツが一番多いけど、ときどき、これじゃダメだ!と思って、ヒールを履いて、スカートをはいて、というときもありますよ」と笑う。

 見た目も感性も“柔和なひと”である。生真面目な分、もっと堅苦しいのかなと想像していたが、気負いなく、率直で、自然体だ。家のバルコニーでバラや沖縄の実家から送ってもらうブーゲンビリアなどの花を栽培していることを嬉しそうに話してくれた。忙しい日々のなかの、まさにオアシスなのだろう。

 この秋からは、いよいよ舞台「放浪記」が始まる。「森光子さんが半世紀かけて大事に作ってこられた舞台、いまはまだ緊張しかないですが、楽しみな面を増やして、大切に作っていかなくてはいけないなと思っています」

 伝統を引き継ぐと同時に、舞台上に、もうひとつ大輪の花を咲かせる、この人がまたひとまわり大きな女優になっていくような気がする。

撮影:森川昇/文:追分日出子

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なかま・ゆきえ(女優)

1979年沖縄県生まれ。2000年、TVドラマ「トリック」、02年「ごくせん」、06年、NHK大河ドラマ「功名が辻」主演はじめ、NHK紅白歌合戦司会を4回務めるなど国民的人気女優に。昨年、俳優・田中哲司さんと結婚。今年9月公開映画「天空の蜂」出演、10月14日からは舞台『放浪記』が始まる。

■この記事は、2015年7月9日付朝日新聞朝刊「ボンマルシェ」特集のコーナーの転載です

弱った時は、自分に探りを入れるいい時間 樋口可南子さん

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〈Woman’s Talk〉前輪が女優の仕事で、後輪が農業です 工藤夕貴さん

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