あゆみ食堂のお弁当

<12>先輩と、最後にゆっくり食べたいベジ弁当

  

〈依頼人プロフィール〉
高松冬果さん 34歳 女性
兵庫県在住
会社員

    ◇

私がお弁当を贈りたいのは、同じ職場で働く10歳年下の“先輩”です。

彼女に出会ったのは、結婚後に再就職した建築関係の会社でした。まだ22歳という若さですが、地元の高専を出て、二級建築士としてバリバリ仕事をしている人です。

入社当時20歳そこそこだった先輩に対して、私は30歳過ぎ。普通なら “10歳年上の後輩”の扱いに困惑して当然なのですが、 彼女は別。年齢に関係なく「ダメなところはダメ」と、厳しく指摘してくれました。はじめこそ心が折れそうになったこともありましたが、1年半が経った今、彼女の指導に素直に感謝しています。

もともと建築関係の仕事とは無縁の私。結婚する前は百貨店などで美容部員をしていたのですが、子供が生まれたのを機に退職し、主婦業に専念していました。ある日、子供と一緒に図書館に出かけたときのこと。たまたま手にとった建築の写真集を見て、衝撃を受けました。あとで知ったのですが、それはメキシコの建築家、ルイス・バラガンのものでした。パステルカラーを使ったその鮮やかな色彩といったら! いっぺんに心を奪われ、それから本格的に建築やインテリアなど「家」にまつわる勉強してみたいと思い始めました。

今思えば、自分でもすごい行動力だったなあと驚いてしまうのですが、息子が保育園に入ったのをきっかけに一念発起。職業訓練学校に通い、インテリアコーディネーターの資格をとりました。現在は、住宅の設計などを請け負う工務店で仕事をしています。

経験が浅く、なかなか新しい仕事に慣れることができなかった私。さらに人より要領が悪く、仕事の進め方も人より遅いときています。

「びっくりするぐらい仕事が遅いですね」。入社当初、先輩から言われた言葉に、悔しいやら情けないやらで泣きながら帰ったこともありました。それでも陰ではいつも気遣いを欠かさない人で、会議が長引いて、子供のお迎えに遅れそうになったときなどは、私が先に帰られるように時間を気にして声をかけてくれます。その分、自分はいつも残業。実直すぎるほどに仕事と向き合う姿は10歳下とは思えないほど頼もしく、尊敬しきりです。

そんな先輩が11月に退職します。かねてから憧れだったフランスへ渡り、新しい挑戦をするのだとか。これまで甘えてばかりいたので、彼女がいなくなるのはすごく不安ですが、彼女のようにしっかり仕事ができる人になれるよう、頑張っていきたいと思っています。

そんな先輩と、最後にゆっくりお弁当を食べたいなと思っています。忙しい職場で、昼休憩はいつも先輩とふたり、お弁当をかきこむ日々です。それでも先輩の恋人のこと、私の家族のことなど、ガールズトークに花が咲くことも。仕事では厳しいですが、オフの時間は普通の22歳。ふと見せるかわいらしい一面が、大好きなんです。

玄米と野菜が好きで、いつもお肉ナシでもおいしそうなお弁当を作っている先輩。最後のお弁当タイムには、これまでの感謝の気持ちを込めて、先輩がわっと驚くような、美しくてモダンなお弁当をプレゼントしたいと思っています。趣味は美術館めぐりで、美しいものが好きな人です。彼女は設計の面でも細やかな配慮をする繊細な人です。そんな彼女にぴったりなお弁当を作っていただけるとうれしいです。

開けた瞬間に「きれい!」と思ってもらえる方法

炊飯器にひよこ豆とすりおろしたにんじん、ローズマリーを入れて炊き込む。ごはんにきれいな色がついて、お弁当全体が華やかな印象に。ハーブの香りも爽やか。


炊飯器にひよこ豆とすりおろしたにんじん、ローズマリーを入れて炊き込む。ごはんにきれいな色がついて、お弁当全体が華やかな印象に。ハーブの香りも爽やか。

<献立>
・にんじんとひよこ豆の炊き込みご飯
・鯖のスパイス唐揚げ
・ゆでアスパラ
・サニーレタス
・うずら卵のピクルス
・きのことドライトマトの炒め物
・ビーツのマリネ
・マッシュポテト
・コリンキーかぼちゃとクミンとすだちのマリネ

<あゆ美さんのコメント>
10歳年下の先輩へ贈るモダンで美しいお弁当をということで、秋の季節感を意識した色使いに、少しだけひねりを利かせた味付けのお料理を考えました。

これからフランスに行かれるということで、「日本の家庭の味」を感じられる献立にしつつ、ほんのりスパイスを使ってみたり、珍しいお野菜を使ってみたりすることで、味に変化と驚きを。素材の形を見せること、切り方をそろえることで、開けた瞬間に「きれい!」と思ってもらえるような、美しい見せ方を考えました。

特殊な調理法や盛り付けをしなくても、季節の野菜をシンプルに美しくみせる方法を取り入れれば、いつものお弁当がぐっときれいになるんですよ。ぜひ秋のおいしい食材を使って、美しい門出のお弁当を作ってみてください!

にんじんとひよこ豆の炊き込みご飯


にんじんとひよこ豆の炊き込みご飯/鯖のスパイス唐揚げ/ゆでアスパラ/サニーレタス/うずら卵のピクルス/きのことドライトマトの炒め物/ビーツのマリネ/マッシュポテト/コリンキーかぼちゃとクミンとすだちのマリネ

お弁当箱は、まっすぐ仕事に向き合う先輩の姿をイメージして、品がありつつ、凛とした佇まいの白木の2段箱を。フランスでもぜひ使ってもらいたいですね。


お弁当箱は、まっすぐ仕事に向き合う先輩の姿をイメージして、品がありつつ、凛とした佇まいの白木の2段箱を。フランスでもぜひ使ってもらいたいですね。

(ライター/小林百合子)

<11>がんばれ息子。剣道と自転車通学応援丼

一覧へ戻る

<13>夢に向かって就活中の妹に、力と勇気を

RECOMMENDおすすめの記事