花のない花屋

誰よりも努力している彼へ

  

〈依頼人プロフィール〉
桐谷真智子さん(仮名) 34歳
東京都在住
会社員

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6歳年下の彼と、半年ほど前に付き合い始めました。職場が一緒で、以前から働くところを見ていて誠実な人だなと思っていましたが、仕事をしているだけでは、あまり本心などは見えません。でも、そのうち一緒に食事に行くようになり、向こうから「付き合いたい」と言われ、「そんな風に見ていてくれたんだ」と意識するようになって、交際が始まりました。

彼は今どき驚くくらい古風で、礼儀やマナーを大切にする人です。仕事はとにかく一生懸命で、朝は6時くらいから、夜は深夜2時くらいまで、休日もいとわず働いているときもあります。クライアント、上司、先輩、後輩にいたるまで心を砕き、プライドを持って仕事をする姿を見ていると、年上の私でも尊敬の念を抱いてしまいます。

体調が悪くても、仕事に没頭しがちな彼を見て、正直どうしてそこまで……?と思ってしまうこともあります。私なら多少仕事をセーブして、調節するのに、と。でも仕事が今の彼を支えていることはわかっているので、誰よりも応援したいと思っています。

ただ、あまりに無理をしすぎるので体のことが気になります。最近は忙しくなりすぎて気力がなくなり、休日、何も手につかなくなるときもあります。今はあまり元気がない彼に、心が明るくなり、華やぐような花束を作っていただけないでしょうか。

彼はファッションが好きで、洋服や靴、小物にもこだわりがあります。普段はブラウンやパーブルなどシックな色味が好きなので、かっこいいグリーン系などのアレンジが似合うかもしれませんが、同時に心が明るくなるようなお花だとうれしいです。ちなみに星占いや少女漫画などが好きで、私より女の子っぽい一面もあります。よろしくお願いします。

  

花束を作った東信さんのコメント

グリーンの植物を使いながらも、心が明るくなるアレンジ……。しかも男性に贈る花束です。男の人はデティールがわからない人も多いので、どうせなら“ド迫力”にしようと思い、思い切ってガツン!としたアレンジにしました。

ポイントはアロエの花です。プロテアやパフィオペディルム、バーゼリア、ピンクッション、ストレチア、スノードロップの球根など個性的な花もたくさん使っています。観葉植物のサンセベリアは3本入れています。これは花が終わっても土に入れ替えて育てられます。

黄色い花火のような菊は佐賀菊。こういうふうに少し立てて使うと、いわゆる菊とは違う印象になりますよね。また、トルコキキョウやナデシコなども差し、仕上げにグリーンネックレスを巻きました。

彼は元気がないとのことでしたが、若いのだからまだまだ!花を見てエネルギーチャージをし、頑張って下さいね。男は仕事です!30代はブルドーザーのようにガンガン働き、人生を楽しんでください。

  

  

  

  

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

誰よりも努力している彼へ

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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