あゆみ食堂のお弁当

<33>季節を感じる楽しみを教えてくれた祖母、90歳の誕生日に

  

〈依頼人プロフィール〉
菊地清香さん 30代 女性
東京都在住
会社員

    ◇

今年の9月で90歳を迎える祖母と一緒に暮らし始めたのは、私が3歳の頃でした。二世帯住宅だったので普段の食事は別々でしたが、4歳下の妹が生まれたとき、祖母が母親代わりになって世話をしてくれたことをよく覚えています。

幼稚園に通っていた私に祖母がもたせてくれたお弁当。母からの伝言で、私が酸っぱいものが好きだと知った祖母は、酢の物や野菜のごま酢あえなど、工夫をこらしたおかずを詰めてくれました。はじめて食べたゆかりご飯に感激して、それ以来大好物になりました。

受験生だった夏、家族旅行に参加せず、ひとり家に残っていた私に夕食を作ってくれたのも祖母でした。季節の行事ごとに作ってくれた料理も忘れられません。お正月の煮豆や筑前煮、ひな祭りのちらしずし、春の筍(たけのこ)料理、秋の栗渋皮煮……。料理を通して季節を感じる楽しみを、祖母に教えてもらいました。

そんな祖母も、最近はめっきり台所に立つことが減りました。今度は私が! と張り切って料理を作るのですが、あれだけおいしいものを作ってくれた祖母が喜んでくれるようなものを作れているのか、自信がありません。

何を作っても「おいしいねえ」と喜んで食べてくれる祖母。ときどき「おばあちゃんの好きなおかずは何?」と聞いてみるのですが、「べつにないよ」と返ってきます。戦時中、食糧難の時代に育った祖母にとって、おかずを選ぶなんていうぜいたくはなかったのかもしれません。だからなおさら、おいしいものをたくさん食べてもらいたいのです。

最近、だんだんと食が細くなってきた祖母。9月に迎える90歳の誕生日(私と1日違い!)に、お祝いのお弁当を贈りたいと思っています。「食べることの楽しみを教えてくれてありがとう」。そんな気持ちを込めて、祖母の好きなものを少しずつ、たくさん詰め込んだお弁当にしたいのです。普段料理はするのですが、彩りとバランスのいいお弁当というのはどうも難しく……、ぜひあゆみさんにアドバイスいただけたらと思い投稿しました。

祖母の好きな食材はエビです。私が作るもののなかでとくに喜んでくれるのは親子丼で、卵料理が好きみたいです。お肉、お魚ともに少しの時もありますが、なんでも食べていて、それが元気の秘訣(ひけつ)かもしれません。野菜ではトマトが好きなようです。90歳を目前にしても体を動かすことが好きで、庭木の手入れをしたり、外の掃除をしたり。本当に働き者だなあと感心してしまいます。足踏みミシンでよく裁縫をやっていて、小さい頃は洋服をたくさん作ってくれました。祖母が作ってくれた夏のワンピースは、一番のお気に入りでした。
祖母に喜んでもらえるよう、お弁当作り頑張ります! よろしくお願いします。

食べやすく、見た目も華やかなお稲荷さん

湯むきは、トマトのヘタのついていない方に十字に浅く切り込みを入れ、沸騰した湯に入れます。皮が少しめくれてきたら氷水に取り、皮をむけば完了


湯むきは、トマトのヘタのついていない方に十字に浅く切り込みを入れ、沸騰した湯に入れます。皮が少しめくれてきたら氷水に取り、皮をむけば完了

<献立>
飾り稲荷
鯛(たい)のすだちこうじ漬け焼き
牛とごぼうのしぐれ煮
トマトとセロリとわかめの中華風酢の物
かぼちゃの茶巾絞り

<あゆみさんからのメッセージ>
おいしいご飯を作ってくれたおばあちゃんへ、誕生日に一緒に食べるお弁当をということで、食べやすく、見た目も華やかなお稲荷さんを考えました。お稲荷さんはごはんをお揚げで包むイメージが強いですが、今回は袋状のお揚げの中に酢飯を入れ、上は閉めずに飾り付けをしてみました。酢飯は大葉とごまを混ぜてさわやかな風味に。飾り付けにはおばあちゃんが好きな卵とエビを使いました。

そして、酢の物のおいしさを教えてくれたおばあちゃんのために、フルーツトマトとセロリ、わかめの中華風酢の物も。トマトは湯むきして皮をとることで、ツルッと食べやすい食感にしました。季節のおいしい味を教えてくれたおばあちゃん。ぜひ教えてもらったことを思い出しながらお弁当を作ってみてくださいね。

■飾り稲荷
*材料(お稲荷さん16個分)
白米  3合
大葉  5~7枚
白ごま 大さじ2弱
ゆで枝豆  適量

合わせ酢
米酢 100cc
砂糖 大さじ2
塩 小さじ1弱
昆布(2センチほど)
*合わせ酢は前日にあらかじめ作ってなじませておく

お揚げ 8枚(稲荷16個分)
水 1カップ
酒 1カップ
砂糖 130g
しょうゆ 1/2カップ
塩 小さじ1弱

錦糸(きんし)卵 適量
卵 3個
酒 大さじ1.5
塩 少々
*フライパンで薄焼きにしたものを細く切る、上記は作りやすい分量

ゆでエビ 適量
*エビは塩と酒を少々加えてゆでる。沸騰させずに弱火で火を通すと食感良くゆで上がります。

*作り方
*お稲荷を作る前日に油揚げを煮含める作業をする
1 油揚げを半分に切り、鍋に油揚げと水を入れ火にかける。沸々としてきたら、ふきこぼれないように火を弱めて10分煮てからザルにあける。

2 水を張ったボウルに1の油揚げを入れる。優しくもみ洗いして油を落としてから水気をしっかりと絞る。

3 破れないように油揚げを開く、ひっくり返す。
*ひっくり返すことでお揚げの内側までしっかりと味が染みる。

4 水・酒・砂糖・しょうゆ・塩を鍋に入れ、ひと煮経ちさせる。全体に煮汁が回るように油揚げを並べ、中火にかける。沸々としてきたら弱火にし、落とし蓋(ぶた)をして10分ほど煮含め、火を止める。粗熱が取れたら落としラップをして冷蔵庫で一晩置く。

*当日
1 白米を研いで水切りし、炊飯釜に移して1割ほど少ない水加減で20~30分
浸水させてから炊飯する。

2 前日に炊いた油揚げを適度に絞り、ひっくり返して元の状態に戻しておく。

3 炊き上がったご飯をボウルに出し、合わせ酢90ccを全体に回しかける。
大葉と白ごまを加え、うちわなどであおぎながら切るように混ぜる。

4 合わせ酢を手につけ、酢飯を稲荷に入れやすい大きさに16個分軽く握る。

5 酢飯を6のお揚げに入れ、上に錦糸卵・エビ・枝豆を飾る。

飾り稲荷/鯛(たい)のすだちこうじ漬け焼き/牛とごぼうのしぐれ煮/トマトとセロリとわかめの中華風酢の物/かぼちゃの茶巾絞り


飾り稲荷/鯛(たい)のすだちこうじ漬け焼き/牛とごぼうのしぐれ煮/トマトとセロリとわかめの中華風酢の物/かぼちゃの茶巾絞り

誕生日のお祝いということで2段重を。お花見やホームパーティーにも使えます


誕生日のお祝いということで2段重を。お花見やホームパーティーにも使えます

(ライター/小林百合子)

<32>妊活しながら再就職。これからも夫と一緒に

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<34>東京で働く妹たちへ。いつか今の一生懸命な日々を思い出すように

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