子どもの「思考力」を伸ばすために、親ができること ~パトリック・ハーランさんPR

2020年度の大学入試改革が、教育現場にインパクトを与えています。「論理的思考力」や「記述力」が重視されるようになる、というのが改革の方向性。その流れを受けて、義務教育課程における子どもたちの指導要領も、ひとつの正解を答えさせるのではなく、思考力や表現力を問う方向に変わりつつあります。貴重な小学生時代、子どもたちが豊かな感性を育みながら、考える力や表現する力を伸ばしていくにはどうしたらいいのでしょうか。

アメリカの名門ハーバード大学を卒業し、日本でコメディアンとして活躍してきたパックンことパトリック・ハーランさん。小学生の子ども2人を持つ親の立場でもある一方で、東京工業大学で非常勤講師を務めるなど、教育の現場にも携わってきました。自身がアメリカで受けてきた教育と、子どもを通してみる日本の教育。パックンが実感する日米の教育の違いとは。グローバルな時代に求められる力、そのために親ができることなどを伺いました。

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日本の教育は、「しゃべる力」を育てていない

――日本の教育に、どのような印象をお持ちですか?

まずは評価したいと思います。学力ランキングはトップクラス。人口4千万人以上の国で、こんなに高い学力を保っているのは日本だけ。すばらしいことです。なぜ日本の学力が高いかというと、底上げができているから。どの分野においても、基礎的な知識がある。世界地図で日本が見つけられない日本人はいません。さらに学校ではマナーや道徳も教えてくれる。日本人の倫理観、モラル、勤勉さ、真面目さなどは学校の影響が大きい。僕は最初に日本に来たとき、道徳の授業があることに驚きました。

――問題点については?

底上げに注力しすぎて、抜きん出る人が少ない。例えばうちの子どもはいま小学2年生と4年生。英語は毎日2時間、学校以外に勉強をさせています。ネイティブではないけどそれなりにできる。なのに、学校ではみんなと同じ内容の授業を受けなければならない。たとえば授業中に英語の小説を読んでいてはだめなの? と思う。アメリカには飛び級もあるし、同じクラスの中でも進度の早い人は先の内容をやります。
以前、授業参観に行って驚いたのが、「私語禁止」が徹底されていること。「後ろのロッカーから道具をとってきて」と先生が言いますよね。取りに行く間に、子ども同士で自然と会話が生じる。すると「誰がしゃべれって言った」と先生が注意するわけです。僕としては「私語禁止」を禁止にしたい。作業さえしていればしゃべってもいいはずです。

――そのことがどんな弊害を生んでいると思いますか?

しゃべる場面が少ないから、しゃべる技術が身につかない。議論が生まれない。討論ができない。問題提起ができない。指摘されても反論ができない。それ以前にまず「質問すること」が苦手な人が多いですよね。コミュニケーションを仕事にしている僕らの業界でさえ、それが下手な人が山ほどいる。たとえばアスリートの試合後のインタビューでよくあるのが、「今回3回目の優勝ですけど」という切り出し。なんじゃそりゃ、って。「質問」じゃないですよね。来日したハリウッドセレブがそういった投げかけを受けて戸惑っているのもよく見ます。日本人は慣れているから汲み取って話してくれるけど、聞きたいことをはっきり聞かなきゃ、世界では伝わりません。講演に行っても、質問はほとんど出ない。せっかくの出会いなのに、もったいないですよね。

知識を身につけるより、もっと大切なこと

――パックン自身は、どんな子ども時代を過ごしましたか?

いろんなことに興味関心があって、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロのように複数の分野で幅広く活躍できる人がかっこいいなぁと思って目指していました。たとえばダ・ヴィンチなら、政治学、科学、物理学、そして芸術に長けていた。僕は何かひとつだけの分野じゃいちばんになれなかったと思っています。総合点で勝負してきた。部活動もひとつ選んで極めるのが日本式ですが、アメリカは複数できます。シーズンを変えて3つ、4つのスポーツをやったり、音楽をやったり、模擬国連の活動をしたり。そうした課外活動が大学入試でも評価されます。

――アメリカの教育の特徴は何でしょうか?

日本と比べて授業がインタラクティブ(双方向)です。日本では、コロンブスは何年にアメリカを発見したこういう人で……っていう説明から入りますが、僕が受けた授業は、「コロンブスって誰?」っていう質問から考えさせ、生徒たちの言葉を引き出していくことから始まった。どんな人かという「情報」より、自分で考えて発言し、さらにそれに返してくる先生との「やりとり」そのものが大事だし、記憶に残る。考えながら、思考力を高めていくんです。しかもただ知識を出力するだけでなく、そこにオリジナリティを加えることが、中高生の頃から求められる。
たとえば動物についてのレポートを書くとします。「象はどこの国にいて、平均体重がいくらで、絶滅の危機にいる」という情報だけならウィキペディアを開けばいい。それが評価されるのは小学生まで。「象の皮膚ってどうなっているんだろう? カバやサイと同じような厚さなのか?」「絶滅から救うにはどうしたらいいのか?」など、中学生以降は独自の視線で新しいものを生み出すことが評価されます。18、19世紀は知識が大事だったかもしれないけど、21世紀のいま大切なのは、思考力、アイディア力、コミュニケーション能力です。スマホをポケットから出せば、その中にいくらでも知識は入っているのだから。

――ハーバード大学での学びの特徴は?

先生から教わるよりも、議論によって生徒同士で刺激を与え合う機会が多かったですね。寮生活だから、授業が終わって、帰って議論する。食堂でも議論する。とにかく議論の機会がたくさんあります。日本でも本当は議論したいんだけど、日本人は反論されると萎縮しちゃうから、気を遣う。みんなもっと自分の意見を表現し合って、その食い違いを楽しんだらいいのに、もったいないなって思います。

子どもには、ふだんからよく具体的に質問をしています

――ご家庭では何か心がけていることがありますか?

子どもには普段からよく質問をしています。思考力を鍛えるためには会話が大事だから、散歩の途中でも「交番はどうしてあると思う?」って。僕らが常識と思っていることを、子どもはまだ知らない。質問すると突拍子もない答えを返してくれる。それがまたおもしろいんです。食卓でも「今日学校どうだった?」じゃなくて、「今日うれしかったことは? 悲しかったことは? 初めてやったことはあった?」と具体的に聞くようにしています。

――お子さんの教育については、どのようにお考えでしょうか?

子ども時代の18年間は、貴重な時間です。クリエイティビティや遊び心を育成する期間でもある。僕は自分のことが好きで、世界で最高の人間だと思ってる。あ、ちょっと言いすぎたかな……? 今の自分がいるのは、子ども時代の自分がいたからです。どの親もそうだと思うけど、自分の子どもにいちばんいい教育を与えたいし、いちばんいい人生を歩めるように環境作りをしてあげたい。公立、私立、インターナショナルスクール、いろんな選択肢があって、どれをとっても幸せな人生になると信じている。正解はひとつだけじゃないと思います。当然、ここなら子どもが伸びていけると思える、よりよい環境の中で過ごせそうな中学校を受験することも、その選択肢の中に入ってきます。でも、やっぱりいまのこの小学生の時間って、本当に大事だと思うんです。それを全部塾に通わせていいのか、準備にかけてしまっていいのか、そういう迷いがあります。

子どもには自立する、独立する本能がある。回りからの刺激を受けて、興味を持って、調べたことを、発信したり議論したりしてアウトプットする。そのサイクルをうまく引き出して伸ばしていけば、自立して勉強できるようになります。本人の意思を大事にしながら、親の都合、金銭的、時間的なこと、全部考慮して選ぶのが僕の仕事。完璧な親じゃないけど、親として最善を尽くしたい、そう思っています。

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子どもが、急速にグローバル化が進み、大きく変動する世界において、活躍できる人材となるために必要な能力は、知識だけではありません。価値観や体験を共有していない相手とコミュニケーションする力が重要になってきます。その力を育むために欠かせないのが、論理的な思考力、そして表現力なのです。
これらの力は、まさに日本の新しい大学入試制度で求められているもの。子どもの人生を豊かなものにするために、親としては大きく伸ばしてあげたい能力であることは間違いありません。子どもの能力を伸ばすため、よりよい教育環境を選択してあげたいという思いの一方で、子ども時代の貴重な時間を受験勉強だけに費やさせて良いものかという迷い。親としてのパックンの思いは、多くの保護者に共通するものではないでしょうか。
「考える力」を重視するZ会の中学受験コースでは、小学3年生から始めた場合には1日40分の勉強を続けることで、自宅にいながらにして塾に勝るとも劣らない、中学受験に必要なチカラ=「学習習慣」+「考える力」を無理なく身につけることができます。いきなり難しい勉強から始まるのではなく、自然に「自分で勉強する」という土台を固めた上で、同じ単元を少しずつ難度を上げながら、スパイラルに学習をしていくことで、最終的には難関校も突破できる力を積み上げていきます。何より、「自分で勉強する」という姿勢が早くから身につくことで、中学受験以降も自ら「主体的に」学び続けることができるのです。
保護者向けにも、タブレットや専用アプリ経由で、ネットを通して細かく進捗状況や課題のサポートができるなど、学習効果を最大にするための「見守る仕組み」がこれまで以上に充実。自宅で取り組める通信教育だからこそ、お子さんの子ども時代の時間を大切にしながら、物事を洞察し、論理的に語り、課題の解決方法を示していく力が自然と身につきます。
(聞き手 高橋有紀/撮影 馬場磨貴)

パックン2
パトリック・ハーラン(パックン)/1970年、アメリカ・コロラド州出身。93年、ハーバード大学比較宗教学部卒業後に来日。福井県で英会話学校講師をしながら、劇団活動を経て上京。97年、漫才コンビ「パックンマックン」を結成。2008年、相模女子大学の客員教授、12年から東京工業大学で非常勤講師として「コミュニケーション」や「国際関係」を教えている。

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