ほんやのほん

「子どもとアウトドア」の前に読みたい3冊。『岳物語』ほか

撮影/猪俣 博史

子どもが成長してきてそろそろアウトドアデビューをしたい、とお考えの方、HOWTO本とともにぜひ読んでいただきたい書籍を3冊ご紹介いたします。

何を一緒にできるか。『岳物語』

山が好きなことから「岳」と名付けた子の、保育園から小学校にかけての成長を椎名誠目線で描いています。

日常の子どもが育っていく毎日の中で気づく徒然日記やキャンプなど野外での書き物が多い著者が、日本中いろいろなところに「岳」を連れて行き、親を超えた、男同士の信頼関係が深まる様子が記されており共感を呼びます。また、端々に「カヌーイストの野田知佑」との触れあいも書かれ、彼が発する言葉も深みがあります。

私の故郷が椎名誠さんの住家「小平、花小金井」だったため、学生の時に初めてこの本を読みました。初めて読んだ時からこの人間関係がとてもうらやましくなりました。そしてアウトドアを愛する私が自らが母になったとき、私は母だけどこの父親の気持ちを持ちながら子育てをしていこうと思い、再読しました。

子どもの成長を、著者だけでなく奥様を含めた目線であたたかく見守る姿勢が、奥様の助言を含め、子育ては共同作業であることも共感しました。毎日べったり一緒にいれば良いわけではなく、一緒にいる時間に何を一緒にできるか、それは子どもの目線から言えば「なにをしてあげるか」というものでは決してない、ということが重要だとこの本に学びました。

2人で旅をしているときこそ、大自然が結びつける親子関係があることも文章から感じます。アウトドアの活動は非日常的なことではなく彼らにとって生活の延長であり、アウトドアでは「相手を受容する」こころが芽生えることを感じます、この本は、子育てとアウトドアの助言集だと思います。

子どもがよりいとおしくなる
『父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない』

平成版、岳物語の発売だと思いました。違う点は椎名誠さんはもともとアウトドアにたけている方で、布施さんはお子様の誕生をきっかけにアウトドアや新しい視点に立った方というところで異なっています。なのでより生活に身近な感じが漂い、子育てをしている親であれば、日常的に誰にでも起こるような内容に「あるある!」と首を大きく縦に振ることでしょう。

「たった5~6年しかない子どもとの時間を、仕事や自分の趣味だけで過ごしてしまうのはもったいない。」と言い切り、子育ては母親のもの!のような概念を大きく覆しています。一冊あっという間に読み切ってしまいます。そして読み終えた後はこどもがよりいとおしくなります。

「父としての青春期」を大いに謳歌(おうか)するきっかけになる1冊です。

山道具を日常の一部に。『一生ものの、山道具』

山岳雑誌編集者・小林百合子、スタイリスト・金子夏子、デザイナー・森美穂子、ヘアメイクアーティスト・小池瑠美子、アウトドアユニットnoyama(料理家・山戸ユカ、写真家・野川かさね、木工作家・しみずまゆこ、編集者・高橋紡)らでつくる山を楽しむ会。

本格的な登山道具本ではないかもしれませんが、noyamaのメンバーは山登りのベテランですし、セレクトされた山道具はどれもおしゃれです。非日常的にとらえられがちな「山道具」を日常生活の一部として大いに活躍するものが紹介されています。

アウトドアライクな商品が好きな方、山道具を山使用だけで終わらせていた方、ぜひ読んでみてください。また野川かさねさんの写真も雰囲気がありすてきですので、ぜひ本棚の一冊の仲間入りを。

(文・羽根志美)

>>おすすめの本、まだまだあります

PROFILE

蔦屋書店 コンシェルジュ

12人のブックコンシェルジュの皆さんに、
そのとき一番おすすめの本を、週替わりで熱くご紹介いただきます。

●代官山 蔦屋書店
間室道子(文学)
●二子玉川 蔦屋家電
岩佐さかえ(健康 美容)/大川 愛(食)/北田博充(文学)
嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)
松本泰尭(人文)
●湘南 蔦屋書店
川村啓子(児童書 自然科学)/藤井亜希子(旅)
八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)

羽根志美(はね・ゆきみ)

湘南蔦屋書店 アウトドアコンシェルジュ。
前職のアウトドアメーカーでの知識を生かして選書を行い、自らもとにかくアウトドアが大好きな2児の母。子どもから大人まで楽しめるアウトドアイベントも多く企画運営している。
湘南T-SITE 湘南蔦屋書店ホームページはこちら

311後の分断を乗り越える「人の心」。『ビオクラシー』

一覧へ戻る

インテリアとショッピングの「内側」から、都市を知る。『TOKYOインテリアツアー』ほか

RECOMMENDおすすめの記事